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書名:幕末恋華
章名:原田左之助

話名:待ち時間


作:ひまうさ
公開日(更新日):2006.4.3
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:378 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚

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p.1

 待っている時間は嫌い。独りでいる時間は嫌い。独りにする人は、嫌い。

「悪かったって」
 目の前で両手を合わせて私を拝み倒す男を横目で睨みつける。

 かの有名な新選組の組長で。強面の上に、首にはじゃらじゃらと鎖をつけて、見るからに恐ろしげな人なのに。

「別に怒ってないです」
「うそつけ」
 私の前ではこんなにも情けないこの人が大好きです。

「左之助さん」
「マジで悪かった。反省してる。このとーり!」
「だから、本当に怒っていませんって」
 いぶかしげな彼にくるりと背を向けて、笑いを含ませながら続ける。

「独りは嫌だけど、左之助さんを待っている時間は大好き」
 左之助さんがどんな顔で来てくれるのか、考えている時間は大好き。

「だから、もっと遅く来ても大丈夫ですよ?」
 微笑むながら言う私の頭を抱き込んで、

「馬鹿言え」
 左之助さんは優しく、照れくさそうに、少し不満そうに呟いた。

あとがき

「揺らぎの葉」では優遇されない原田さん。
待ち合わせに遅れてきたコトで詫びる原田さん。
書いてみて、意外と自分でも気に入っているんじゃないのか?と考えた原田さん<ォィ。


幕恋で恐らく滅多に書かないキャラを選んでみました。次は誰にしよう。
(2006/04/03)