ガラス玉を不思議そうに彼女が覗き込む。その瞳に自分が見ているのと同じモノが映っているとは限らない。彼女は非魔法族で、魔法とは無縁に生きてきたからだ。
「先生ー、これスノウボール?」
「水晶だよ。何が見える?」
「綺麗なスノウボールですね。それに中に見えるお城も本物っぽい」
本物だと何度言っても、彼女は信じない。
「綺麗ですねー…」
外にはここと同じぐらい雪が積もっている。彼女が僕の元へ通ってくるようになって、もうすぐ一年が経とうとしていた。
そっと立ち上がり、彼女の背後に立つ。振り返った彼女はきっと驚くだろう。
「そこはホグワーツ」
耳元で囁く。だけど、よほど魅せられているのか、いつものような慌てた反応はない。
「ホグワーツ?」
「僕の通った学校だよ」
「これが学校…さすがイギリスですね」
なにがどう流石なのかわからない。まあ、彼女はいつもこんな感じだ。
「行ってみたいかい?」
「美味しい紅茶、ありますかね」
本気で悩んでいる彼女に思わず笑いが零れる。彼女の基準はいつもそれしかない。
「そうだね。特別な紅茶ならあるかも」
くるりと振り返った彼女が近い距離にもかかわらず、こちらの襟首を掴む。
「是非、行きましょう」
予想通りの言葉に、また笑った。
行けません!
そんなことしたら、子世代書かなきゃならないじゃないですか
これ以上キャラ増やしたら…読み直さなきゃ…。
最近映画の影響か、ポタ読みの方が増えているので、心ばかりの御礼です。
メインの更新は現在、和な方向なんで。
(2007/08/06)