1#隠し事
私は目覚めてから、しばらくの間は城にいることを政宗様に命じられた。それは、私の体調を心配してのことだと理解できるし、私自身にもここまできて逃げ出すつもりはない。眠っている三年もの間世話になっているのだから、今更だ。ーーあちらこちらの闇の気配は気になるけれど、緊急を要するほどのものもない。
再会した梓と美津には、涙ぐんで抱きつかれた。梓は胸とか色々と成長して、かなり羨ましい体型になっている。まあ、あの時にあったかすがには及ばないけれど。
「葉桜、箸が止まっているぞ」
「政宗様たちと食事しないでいいんですか、片倉様」
「……その政宗様の命だ」
なぜか私の部屋には二人分の膳が運ばれ、私は片倉様と食事をとっている。それも向い合って、だ。
想いが通じあったとはいえ、これまでだって大して話をしたわけでもない。じゃあ、なんで好きなのかと問われても、即答はできない。ただ好きなのだ。
そんなことを考えながら、漬物を口に運びつつ、片倉様を見るが、相手はただ黙々と食事をしている。
(……き、気まずい……)
咀嚼するものの、飲み込むのが辛い。
「……ごちそうさま」
耐えかねて、膳に手を合わせた私を、片倉様は気遣わしげに見る。
「もういいのか」
「はい、もう満腹です」
なんとか笑顔を作って言うと、丁度食事を終えた片倉様も箸を置いた。それから膝を進めて近づいてくる。
私がなんだと思うまもなく、片倉様の手が近づいてきて、私の前髪を避けて、大きな手が私の額を覆う。
「っ」
「熱はない、か?」
むしろ今!と叫びそうになりながら、私は両目を閉じて首を振った。
「ほ、本当にもうなんともありませんからっ! 説明したとおり、私たちの眠りは回復を強く促す作用があるんです。だからっ、そっ、その……っ」
なんともないんだと訴えながら見上げると、急に頭を押さえつけられた。
「か、片倉様っ?」
なんでか上から苦笑する声が聞こえるんですけど。
「さっきは自分から迫ってきたってのに、少し触れたぐらいで変なやつだな」
「迫っ……?」
なんのことだと眉を寄せる私の顎に片倉様の手がかかる。それで、自分がさっき何をしたのかを思い出した私は、一気に顔に熱が集まってしまった。
「あああ、あれはっ、だから、たたた確かめる方法の一つでしてっ」
「あれが?」
「……呼気の呼応で、えと、あの……その、舞姫だけにその、わかる徴があるんです……っ」
片倉様の手を掴んで外そうとするが、びくともしない。痛いわけではないが、身動きができない。恥ずかしいのに、逃げ出せない。
「どんな風に?」
「せ、説明するんですかっ?」
本気ですかと尋ねると真面目に頷かれてしまった。
どうしよう、今直ぐ旅に出たい。
視線を彷徨わせる私を、どこか片倉様は愉しそうに見ている。ーーえ、愉しそう?
「……人が悪いですよ、片倉様」
「なんだ」
「からかってるでしょう」
こっちは慣れない感情に振り回されて、必死に振舞ってるのに、それを楽しんでるだなんてひどい。恨めしげに見やると、やっぱり苦笑され、手を外して頭を撫でられた。
「俺も、少し浮き足立ってるみてぇだ。葉桜が起きて動いてるのが、まだ信じられなくてな」
なにしろずっと眠っているのを見ているだけだったんだ、と言われてしまえば、私としては罪悪感に胸が締め付けられる。
「私も、また片倉様にお会いできるなんて、その上思いが通じるなんて、想像も出来ませんでした。私はあの時が最期だと思ってましたから」
そうだ、あれが最期だと、覚悟を決めていた。だから、未だに現実味がないのは私も同じ。
絶対に無理だと思っていたのだ。どんなに想っても報われない。だから、あれを最期にすっぱりと諦めようと思っていた。
「もしも俺が言わなかったら、どうするつもりだったんだ」
問われてから、困ったように笑ってしまった。どうするかなんて、私にはひとつしかない。
「また旅暮らしに戻るだけです。それが早いか遅いかの違いになるだけですから」
舞姫には役目がある。それを私は決して忘れるわけにはいかない。今はここ奥州に、片倉様の側に留まるにしても、長くはいられない。そう定められている。
目の前の片倉様の顔が険しくなった。でも、私は隠すつもりもないし、隠せるとも思っていない。
「舞姫は負を運んでしまう存在で、長く留まれば留まるだけ、その場所に穢れを運び、災厄をもたらします。舞は一刻それを祓うことができても、完全になくすことはできません。だから、いつかは」
最後まで言葉を継ぐ前に、私は喉を詰まらせ、俯いた。せっかく思いが通じても、いつかは片倉様から離れなくてはいけなくなる。それを言うことが辛い。言わなきゃよかっただろうかと後悔がかすめたものの、やっぱり隠し通せる自信はなかった。だったら、やはり今言ってよかったのだ。
私は意を決して、片倉様を見上げ、微笑んだ。
「いつかは片倉様とお別れしなくてはなりません」
折角想いを告げてくれて、ミヤであると知れたのに、こんなことを言わなければならないのは辛い。でも、言わないでいるわけにもいかない。
片倉様から伸びてきた手にびくりと体が震え、私は思わず目を閉じていた。
「何故、今それを言う」
苦しげな片倉様の声に、私はゆっくりと目を開けた。
片倉様は顔を強張らせて、握った両手を膝において、私を見ている。それを私は真っ直ぐに見つめ返し、小さく笑った。
「最初に片倉様が言ったんですよ。私が隠し事が苦手だって」
「……そうだったな」
深く息を吐いた片倉様が片手で顔を覆う。それから、たっぷりの間をおいて言う。
「いつだ」
「え?」
「いつ出ていくつもりなんだ」
言われた瞬間、私の顔が熱くなった。怪訝そうに片倉様が私を見る。隠しておけるわけないとわかっていても、こればかりは言い辛い。
「片倉様次第、といいますか」
「……どういうことだ?」
オロオロと視線を彷徨わせる私を見ている片倉様には、何も伝わらない。さっき、隠し事はしないと言った手前、黙っているわけにもいかない。
「…………………………あかちゃん」
やっと私が紡ぎだした言葉をきいた片倉様はますますわけがわからないという顔をしている。そりゃあ、そうだろう。
私は両目を閉じて、胸に両手を当てて、何度か深呼吸してから、やっと片倉様を見た。体中が熱の塊みたいに熱い。
「子供が出来たら、でていかないといけないんです」
「……子……?」
「舞姫は子を孕むと、里に戻ります。そこで一人で産み育てることが定められているのです。これは、舞姫の秘術を他に伝えないためのものでもあります」
危険な技ですから、と続けると、片倉様は当然の疑問を口にする。
「だが、葉桜のいた里というのは、もう……」
「ありませんけど、たぶん出ていくことになります。次に舞姫を継ぐとすれば、私の子ということになりますし、おそらく力も強いでしょう。私が産まれるときも相当大変だったと聞いています」
どうなるのか、私は知らない。私は里で一番幼かったから、見たことがないのだ。
「……大変なんだな、舞姫ってのは」
「ええ、特異体質でもなければとっくに滅んでますよ」
私が苦笑していると、そっと頭を撫でられた。
「話しづらいことをよく話してくれた」
「……ごめんなさい」
「つまり、子ができるまではここにいられるんだな?」
「……そ、そう、なります」
「……成実あたりにでも聞くか……」
「へ?」
片倉様が何かをつぶやいたかと思うと、急に抱き寄せられた。当然のように、私の鼓動は高鳴る。
「確か、前田の風来坊と甲斐の信玄公が詳しいはずだな」
「え、えと、そう、ですね」
「そっちも当たってみるか。今は状況が違うことだし、何か知ってるかも知れねぇだろ」
「何かって」
はっと気がついた私が顔をあげると、至近距離に片倉様の顔があって、私は思わず固まってしまった。
「もしもそうなったとして、身重になった葉桜を一人で放り出せるわけねぇだろ。もしもの時は俺も一緒に行くからな」
「そっ、なっ、ええっ!」
「否はなしだ」
「えええっ」
私の驚きの声に、頬を片手で押さえつけられる。
「ここまできて、俺から逃げられると思うなよ」
「っ、逃げる、なんて……」
真っ直ぐに私を見下ろしてくるこの強い目から、逃げられるなんて思ってない。思ってないけど。
口づけの予感に私が思わず目を閉じると、一瞬の間の後で舌打ちされた。それから、今度こそ深く口付けられる。
触れた場所から、深く心がつながり、片倉様の焦りが伝わってくる。触れ合いたい心は同じだけど、そうすることで別れが近づくことはわかってもらえたようだが。それでも、求める心は留まらない。私だって、片倉様のものになりたい。でも、まだ今は思いが通じ合えただけでもいっぱいいっぱいで、これ以上のことは自分でもどうしたらいいのかわからない。
「……っ」
「勝手にいなくなんじゃねえぞ、葉桜」
くちづけの合間に囁かれる言葉に、私はただ頷く以外できなかった。
本当は、離れたくなんかない。折角思いが通じたのだ。片倉様とずっと生きていきたい。ここで、ずっと隣で笑いあいたい。
それでも、舞姫の枷が私を苦しめる。慶次は冗談のように辞めてもいいというが、そんなことできるわけない。私は姉様たちの願いと一緒に生きていくと決めているのだ。ーー姉様たちは私の自由にしても許してくれるかもしれないけれど、そんなふうに投げ出せるわけがない。
時が満ちたとき、私自身もどうなるのかわからない。でも、できるだけ長くいっしょにいたいと願うぐらいは許してもらえるだろうか。
2#二人だけの夜
起きて翌日には私は片倉様と城を後にすることができた。政宗様は何かと理由をつけて、私が城にいるようにしようとしたみたいだけど、片倉様が全部抑えてしまった。
そして今、私は片倉様と畑の前にいる。片倉様はちょっと待ってろといって、畑に入っていったきりだ。手持ち無沙汰な私は、そのへんの石に座って、少しずつ陰ってきた空を眺める。あと二刻ぐらいで日が暮れてしまいそうだ。
ゆっくりと深呼吸すると、ここは片倉様の匂いと気配にあふれていて、私は心が満たされてゆくのを感じる。充実した気は呼吸するのと同じくらい自然に世界に溶け込み、目を閉じると世界が見渡せてしまう。
夢のなかにいるように微睡んで、ゆらゆらと漂う。
「葉桜っ!?」
ひどく焦った片倉様の声で、私は目を開いた。息を切らせた片倉様が私に手を伸ばし、加減もなく両肩を掴むので痛い。
「痛いです、片倉様」
私がそれを訴えると、不安そうに瞳を揺らしている。
「……すまん、葉桜の姿が一瞬揺らいで見えて……」
消えてしまうかと思ったのだと言われて、私は目を見開いた。自分の体に目を落とし、片倉様を見る。
「消えてませんよ?」
「そうみえたんだ」
どういうことだろう、と首を傾げていると、中へ入るぞと促され、畑のそばに立てられた極普通の家屋に案内される。
中に入って直ぐ、私は片倉様に強く抱きしめられた。
「驚かせんじゃねぇ」
そんなつもりはなかったのだが、心配されるのは心地よいのと同時に戸惑う。
「何をしてたんだ?」
「片倉様を待ってただけですよ。座って、空をただ眺めてました」
「そうか」
私がそう報告すると、片倉様は苦笑しながら、収穫物を持って離れてゆく。
「政宗様と成実様は城下で夕餉なんですかね?」
「……なに?」
私が何気なく言うと、眉間に皺を寄せて、私をみている。何か変なことを言っただろうかと考えてみたものの、思い当たらない。
「さっき、二人で綺麗な姐さんたちと呑んでるのが見えた……あ」
そこまで口にしてから、私はやっと自分の失言に気がつき、顔をこわばらせた。
気が緩んでいるせいか、それとも長い間濃い眠りの中にいたせいか、少し感覚がおかしくなっているみたいだ。さっき片倉様が消えてしまうかと心配したのはこのせいもあるのだろう。
「葉桜、どうした?」
私の前にしゃがんだ片倉様が気遣わしげな目を向けてくる。怖がられていないことに胸を撫で下ろし、ゆるく笑う。
「……お腹、空きましたね」
少し怪訝そうにしていたものの、片倉様はすぐに作るから待っていろと言って、私の頭を撫でる。私はその手を掴み、くるりと位置を入れ替える。
「食事ぐらい、私が作りますよ。片倉様は座って待っててください」
「葉桜はまだ病み上がりだろう」
「治ったって、政宗様に言ったのは片倉様ですよ」
「っ、あれは……っ」
待ってくださいね、と私は勝手場に立つ。と、すぐに隣に片倉様も立った。
「手伝うぐらいなら、かまわねぇだろ」
「は、はいっ」
そうして、二人で夕餉を作り、二人で食べて、二人で片付けまで終えた後で、片倉様は私の正面に膝を突き合わせて座り、問いかけてきた。
「隠し事はしねぇって言ったな」
顔を背ける私の両手を片倉様が掴む。
やっぱり夕刻のあれはごまかせないな、と諦めて私は笑った。
「……私って、根っからの舞姫らしいんですよね。昔から、ちょっと気が緩むとすぐ飛んじゃうっていうか」
どう話したものか、考えながら話していたが、通じるはずもない。私も回りくどくするつもりもない。
「片倉様を待っている間に、すっごく気分が良かったんです。片倉様の気に満ちたこの場所は、私にとって里にいた時と同じくらいに心地よくて、気が緩んでしまって……気がついたら、城を抜けだした政宗様たちが見えてたんです」
その時の私が、片倉様には消えてしまいそうに見えたのかもしれませんね。なんて、笑いながら言ったものの、自分でもこんな人ではない自分のことを話すのは、なんというか寂しい。自分が人ではないのだと言わなければいけないのが、ひどくつらい。片倉様と違うというのが、たまらなく哀しい。
「本当に消えてしまうということはないんで、安心してください」
いなくなることはないとはっきり言ったが、片倉様はまだ不安そうだ。こんなに大きな人なのに、こんな時ばかり小さな子どもと変わらない。
「こういうことも、直になくなります。里長はミヤと想いが通じ合えば、肉体と魂の結びつきが強くなるって、おっしゃってましたから」
不安そうな片倉様の胸に私はそっと手を添えた。と、強く抱き締められ、私は体勢を崩して、片倉様に寄りかかる形になった。当然ながら、私は慌てる。まさか、言葉の影に隠した意味に気づかれたのだろうか。
まさか本当に想いが通じるだけで、そうなるはずがない。心の繋がりは必然的に身体も求めるようになる。そして、舞姫は次代を身篭る準備のために、肉体と心を強く結びつけるのだ。
こんなこと、言えるわけがない。
「顔が紅いな」
「っ、そ、それは、か、片倉樣がっ」
軽く音を立てて、額に口付けられる。
「そろそろ寝るか」
「寝……っ!」
動揺する私を片倉様は小さく笑った。
「一緒に寝るか?」
「っ、か、からかってるでしょうっ」
片倉様はこらえ切れないという様子で笑い出し、今度は立ち上がって奥の部屋へ行く。私も付いて行くと、既にそこには布団が二組、ぴったりと寄せて敷いてある。
「ーーーっ」
動揺する私のとなりで、片倉様は深く息を吐きだした。それから、何か小さく呟き、私を顧みる。
「心配しねェでも、今すぐにどうこうしようって気はねぇよ」
大きな手が私に伸ばされるだけで、私はもう自分でもどうしたらいいのか、オロオロとしてしまう。
しないといわれても、私は里で男はそういう生き物なのだと教わっているし、そういう作法だって教わっている。……全ては舞姫の教育の一環となっていることだ。だから、どうしたらいいかわかってはいるし、後は私次第だということもわかっている。
「この小屋は部屋数も道具も大しておいてねぇんだ。だが、布団は離しておくからそれで我慢してくれ」
想いは同じで、だったら私がするべきはひとつだ。
私はつばを飲み込み、意を決して、片倉様の袖を掴んだ。顔が熱い。
「い、一緒に、寝て、い、いただけないでしょうかっ」
「は?」
思いっきり聞き返され、マジマジと見つめ返されたが、私は目を逸らさずに続けた。
「だだ、だからっ、さっきの!」
「……あれは……」
困った様子の片倉樣は、私をじっと見てから、また苦笑する。それから、宥めるように私の頭を叩いた。
子供扱いされてることに、安堵半分不安半分。でも、私だって、里の女だ。覚悟は出来てる。
片倉樣が私に背を向けた隙に、私は着物の帯を静かに解いた。しゅるり、と衣擦れの音に気づいた片倉樣が振り返り、目を丸くする。私が襦袢姿になったところで、怒った様子で大股で近づいてきた。
「何してやがるっ」
襦袢の襟に手を掛けた私を押し留めて、片倉樣が手を抑えてくる。それを私は少し哀しい気持ちで見上げる。
「片倉樣が、好きなんです。だから、覚悟はできてます」
「っ!」
怖くないわけじゃない。でも、片倉樣にだったら、私はすべてを委ねられる。
迷っていた片倉樣は一度目を閉じた。そのまま数秒考え込んだかと思うと、私を引き寄せ、口を合わせてくる。口内に入ってくる舌に自分の舌を絡め取られ、翻弄されながらも私は必死について行く。これだけでも十分過ぎるぐらいなのに、その先なんて考えるのも無理だ。気持ち良すぎて、身体から力が抜けていく。
「っ、はっ」
力の抜けた私の腰を片倉樣の大きな手が支える。それでも立っていられない私を一瞬抱えた片倉樣は、ほんの少しだけ日向の香りのする布団にそっと横たわらせた。私が目を開くと、ぼやけた中に眉根を寄せた苦しげな片倉樣が映る。
少し荒れた土の薫りのする太い指が私の目元を拭う。
「こんな震えて、口吸いだけでガチガチで、何が覚悟はできてるだ」
「こ、これはっ、そそ、その……武者震いですっ!」
片倉様は小さく息を吐き出すように笑った。笑うと強面の顔がほんの少し柔らかくなる。
「そんな風にしなくても、今更葉桜から離れるつもりも逃がしてやる気もねえよ。だから、無理はするな」
無理をしているつもりはないのだけれど、と困惑する私の頭をそっと撫でる。そんな風にされたら、片倉様の優しさが伝わってくるから、私は泣きたくなってしまうというのに。
目を閉じてしまった私の隣に、片倉様が横たわる。そちらを見ようとした私の目蓋の上に大きな手が乗り、押しとどめる。
「葉桜は余計なことを考えずに眠れ」
そんなことを言われても、触れられているだけで緊張しているのに眠れるわけがない。自分の心臓の音がいつもよりも大きく聞こえて、今にも爆発してしまいそうだ。
「む、無理ですっ」
「そうか」
でも、確かにこんな状態であんなことやこんなこと、できるわけがない。その前に間違いなく、息が止まる。じゃない、気絶する。
「……話、を……そう、話を、しましょう。私、片倉様のお話が聞きたいです」
知り合ってからそれほど多くの話をしたわけじゃないし、私は自分のことは話しているが、この人のことは知らないことのほうが多い。
「俺の話?」
「はい、あ、片倉様はどんな子供だったんですか?」
そうして、ゆっくりと話す深い片倉様の声を聞いているうちに、寝足りていたはずだったのに、私はゆっくりと眠りに落ちていった。
1#隠し事
一応、25.5#Do you like me~の辺りの伏線回収です。
読み返したら、爆弾残してた(笑えない)
え、全文が爆弾?はっはっはっ、……はぁ……orz
後日談、まだ書き足りないなぁ(え
(2012/06/22)
おまけが新章になったので、タイトルをおまけじゃなくしました。
(2012/06/28)
2#二人だけの夜
おまけで書いているはずが、なんかもう別な章が始まってる気分です。
omake1#が一晩目で、これが二晩目。
しかも、オチがない(え
(2012/06/25)
一度は完結にしたんですけど、すいません。
もう少し続けさせてください…っ
(2012/06/28)