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書名:GS
章名:GS3@桜井兄弟 - I Still..

話名:16. Let’s play together!


作:ひまうさ
公開日(更新日):2014.8.8
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:3727 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 3 枚
デフォルト名:荒川/美咲
1)
遊園地デート。

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p.1

 三学期の学年末試験も終わった日曜日、私はカレンさんとみよさんと遊園地で遊ぶことになった。試験明けのお疲れ会、といったところだ。

 半年前から急に厳しくなったカレンさんのファッションチェックに敏感になった私は、きちんとはばたきネットで情報収集をしてから本日の服を決めた。シフォンブラウスと総レースのスカートに、ロングニットカーディガンを羽織っている。髪は今月のラッキーアイテムだとあったシュシュだ。

 女の子だけで遊ぶほうが、琥一君と遊ぶよりも気合が入っている気がするのは気のせいではない。それぐらい、カレンさんのチェックは厳しいのだ。

 電車で遊園地に向かった私は遊園地の入り口近くで、直ぐに彼女を見つけた。が、近くにある見慣れた二人の姿がある気がするのは、私の気のせいだろうか。数度目を目を瞬かせていると、私に気づいた琥一君が私を見つけて睨むような目を向けてくる。その隣で、琉夏君が嬉しそうに顔をほころばせ、手を振ってくる。

(えー……、えぇぇー)
 聞いてないよ、とカレンさんに目を向けると、嬉しそうに手招きされた。仕方なく、私は彼女に足を向ける。

「バンビ、遅い!」
「カレンさん……」
「みよ、今日はちょっと用事ができて来れなくなったんだって。アタシもさっきオジサマに呼び出されちゃってさ―」
 あからさま過ぎて、笑えてくるおせっかいだ。

「カレン」
 私がめったにしない呼び捨ての笑顔で詰め寄ると、カレンさんは目線をわずかに泳がせた。

「ごめん、ミヨがこの方がいいって言うからさ~」
「みよさんが?」
「うん、今後のためにも、一回一緒に遊んでおいたほうが、ハードルが低いでしょって」
 何のハードルだ、何の。

 仕方なく幼馴染たちを顧みた私は、おそらくは情けない顔で苦笑していたのだろう。

「よう」
 先に声をかけてきたのは珍しく琥一君で、苦笑いを浮かべているようにみえる。

「琥一くんも誘われたの?」
「あー、俺はオマケだ」
 彼の言葉の意味がわからず首を傾げていると、その隣で琉夏君がいつもの笑顔で挨拶をしてくる。

「よっ」
「琉夏くんも、おはよう」
「ククッ、見慣れたメンバーだな」
 確かに下校や昼休みはよくいるようにもなったが、こうして遊ぶこと自体は初めてだ。そう考えると、少しだけ気持ちが上向く。楽しいといいな。

 携帯電話の着信音が流れ、カレンさんがとったのが見えた。何か話をしながら、私を見て、目が合うとそらされる。なんだろう。

 通話を終えたカレンさんが、申し訳無さそうに私に頭を下げた。

「ごめん、バンビ! オジサマから本当に緊急の収集がかかっちゃって、すぐに戻らなきゃいけなくなったの」
「花椿先生が?」
「そう。でも、もうチケット買っちゃったし、せっかくだからバンビは遊んできてよ」
 そういって、手のひらに押し付けられたチケットを確認する間もなく、顔を近づけてきたカレンさんが、にやりと笑いながら囁く。

「検討を祈る!」
「へ?」
「じゃ、また学校でねっ」
 私が何か言葉を発する前に、カレンさんはあっという間に身を翻して駆けて行ってしまった。

 あれ、なんでいきなり琉夏君、琥一君と三人で遊ぶことになってるの。

「花椿さん、どうかしたの?」
「あ、うん。なんか、お家の方で何かあったみたい。……三人で遊んできてって……」
 チケットを数えた私は、それに気づいて、頭を抱えたくなった。そこにあるチケットは、どうみても三人分で。

(ミヨさんもカレンさんも、後で、覚えてなさいよーっ)
 最初から私を幼馴染たちと遊ばせるのが目的だとしたら、納得できてしまうこの状況。しかし、二人になんのメリットがあるというのか。まあ、私を誂うことが目的の大半と言えなくもないけど。それにしたって、不可解過ぎる。ていうか、半年前のアレが原因としたら、おせっかい過ぎる友人たちだ。

「……はぁ」
「どうした、荒川」
「なんでもないよ。二人共、今日は他に予定ってあるの?」
 二人共にないと告げられ、私は二人とともに遊園地へと足を踏み入れた。

 こんなところに女友達以外と遊びに来るのは、何時ぶりだろう。家族で来たこともあったと思うけど、よく覚えていない。

 遊園時の浮かれたバックミュージックや、外装に目をキョロキョロと彷徨わせていると、入り口で道化師みたいな着包みが、ハート型の風船を差し出してくる。

 ついそれを受け取った直後、私の視界を遮るように琥一君が着包みとの間に立った。風船を持っていない方の手は、琉夏君に掴まれている。

「まずはジェットコースター、ゴーカートチェイスと……お化け屋敷!」
 振り回すようにその場を連れ出されていくと、後から琥一君が追い付いてきて、私を挟んで反対の隣に並んだ。

「……一つ余計だな。行くぞ」
「余計?」
「うーん、この時期お化け屋敷はやってないと思うよ、琉夏君」
「じゃあ、メリーゴーランドだ」
「あぁ?」
「そうだね、メリーゴランドだ。まあ、まずはジェットコースターにしようよっ」
 案内板を見て、三人でジェットコースターに向かう。午前中とはいえ、既に行列ができている。二列になって並んでいるようなので、琉夏君と私がそのまま並び、後ろに琥一君が一人で並ぶ。当然、ジェットコースターに乗るときもそのままだ。

 あっという間に終わったジェットコースターを降りてから、また三人で歩き出す。

「ハァ……怖かった。ジェットコースターはもういいよね?」
「じゃあわかった。最後の一回ね?」
 もう一回並んで乗ろうという琉夏君に、私は救いを求めるように琥一君を見上げる。

「もう……ねぇ、琥一君」
「あと一回だ。ガマンしろ」
 しかし、無情な返答が返される。

「琥一君もジェットコースター中毒か……」
 次は絶対、自分の乗りたいものを主張しよう、と強く決意する私を尻目に、無常にもジェットコースターに連れ込まれてしまう。今度は私の隣は琥一君だ。

 もう、今日はジェットコースターに乗るのは遠慮したい。疲れた。

 ジェットコースター脇のベンチでぐったりと座り込む私の隣に琉夏君が座り、背中をさすってくれる。

「大丈夫、美咲ちゃん?」
「おい、ルカ、ちっと頼んだ」
 琥一君がどこかに行ったようだけど、目で追う余裕もない。

「少し横になったら?」
「ん、大丈夫……」
「遠慮しないで、オニイチャンに頼りなさいな」
 ぐらりと身体を肩を揺らされ、私は琉夏君の膝に頭を載せる形で横になった。目の前を琉夏君の手で覆い隠される。

「ごめん、無理させちゃった?」
「大丈夫」
「美咲ちゃん、さっきから大丈夫しか言ってないよ」
「……そう?」
「俺らの前で無理はしないでいいから」
「……うん」
 降ってくる穏やかな琉夏君の声は、優しく心に伝わってくる。私と琉夏君はお互いに壁を作っているのだろう。だから、私もそれを壊してしまえばいいのかもしれない。でも、どうしたら壊せるのか、私にはわからないんだ。

 近づいてくる足音に、ぴくりと肩を揺らし、私はまぶたを開く。

「まだ寝てていいよ」
「もう平気、だから」
「いいから」
 耳元で囁くように言われて、びくりと私は身体を震わせた。耳に吐息がかかって、くすぐったい。

「ちょ、琉夏君っ」
 抗議の声を上げたのと、駆け寄ってきた琥一君が呆れた声をかけてくるのは同時だった。

「なにしてんだ、ルカっ」
「ははっ、二人共変な顔っ」
 飲み物を買ってきたらしい琥一君から、私は起き上がって、カップを手にする。中身はコーラだった。氷入りで、ひんやり冷たくって気持ちいい。

「あぁ、生き返る……」
「え、美咲ちゃんって、ゾンビだったの?」
「もうっ、そういう意味じゃないよっ」
 笑いながら否定している私と、そして琉夏君をじっとみていた琥一君が不意に優しい顔で小さく笑った。

「ルカ。ゴーカートでレースするぞ」
「え、ゴーカート?」
 私が訝しげな声を上げるが、琉夏君は心得た様子で頷く。

「美咲ちゃん、賞品やって?」
「わたしが賞品なの?」
 そうだと二人に頷かれた。つまり、もう少し休んでいていいってことだ。ゴーカートはここから少し離れた場所にあるけど、そのぐらいなら歩けるだろう。二人がゴーカートで勝負しているのを見ているだけでいいと。

「……私も乗りたい」
「あ?」
「けど、今日は我慢しとく」
 渋々頷いていると、二人から噴出されてしまった。本当に、これじゃ、妹分扱いだ。悔しいから、意趣返ししてやる。

「私が賞品なら、じゃあ、一緒にメリーゴーランドだね」
 とびっきりの笑顔で宣言すると、琥一君が顔を引きつらせる。

「待て待て……負けたらだよな?」
「勝ったらでしょ」
「そうだよ?」
「じゃ、勝てねぇじゃねぇか!」
「じゃ、コウの負け。行くぞ!」
「待てコラ!」
 戯れ合う二人の後をゆっくりと追いかける途中で、私は空を仰いだ。なんだろう、この懐かしい感じ。小さい頃もこんな風に遊んでいたのだろうか。

 二人のことを夢に見たのは教会で遊んだ隠れんぼと、それから引越の少し前のことだけしかない。他はほとんど思い出せていない。

 思い出さなきゃ、いけないと思う。でも、このままでもいいと思ってはダメだろうか。

「美咲ちゃんーっ」
 遠くから聞こえる琉夏君が私を呼ぶ声に、私は彼らを見て、大きく手を振って、駆け寄った。 

あとがき

これでやっと一年目終わりです。
最初は絡みなしで一年終わるかと心配しましたが、文化祭でメイド喫茶にした辺りから流れが変わりました。
ナンパ撃退イベントって美味しいですよねv


今の好感度。
桜井琥一→友好
桜井琉夏→友好
花椿カレン→大好き
宇賀神みよ→大好き
その他→普通


4月辺りからときレスやってるけど、やっぱりGS3が気になってきたので、続きを書いてみました。
やっぱ桜井兄弟いいですよね。
一番苦手なのは野球少年かな。なぜだろう。
ちなみにダントツで好きなのは藍沢先生ですっ!


2年目の予定はこんな感じでイベントを進められたらいいけど、そもそも見てないイベントとか台詞が保管されてないイベントとか、色々あるので、やっぱりもう一度やりたいなぁ。


2-01. Nickname
2-02. Primrose(ルカ「サクラソウ」)
2-03. Hanahuda(コウ「花札」)
2-04. Mail(設楽聖司「携帯メール」)
2-05. Tightrope(ルカ「屋上にて」)
2-06. relay race(「対抗リレー」)
2-07. cleaning in progress(新名旬平「掃除中」)
2-08. Joint extracurricular lesson(設楽聖司「合同課外授業」)
2-09. haunted house(コウ「お化け屋敷」)
2-10. School Trip(修学旅行)
2-11. shelter from the rain(コウ「余多門(よたかど)高生にからまれる」「髪おろし」)
2-12. Rakugaki chess lectures(紺野玉緒「落書きチェス講座」)
2-13. Christopher(ルカ「クリストファー」「部屋デート」)
3-14. School Festival(2nd.)
2-15. skate(コウ「苦手なもの」「部屋デート」)
2-16. Christmas(2nd.)
2-17. Hatsumoude(2nd.)
2-18. First love(藍沢先生イベント)


3年目予定はこんな感じ。
3-01. Kou\\\\\\\\\\\\\\\'s home cooking(「コウの手料理」)
3-02. in planetarium(コウ「プラネタリウムで」)
3-03. in the sea(ルカ「海で」)
3-04. Primrose(コウ「教会の前で」「サクラソウ」)
3-05. in cave(コウ「洞窟の中で」)
3-06. fireworks(花火大会)
2-18. Aren’t you two going steady?(付き合ってるの?)
3-07. Onigiri(ルカ「おにぎり」)
3-08. School Festival(3年目文化祭、新名旬平「カノジョ」、紺野玉緒・設楽聖司「3年目文化祭」)
3-09. Romeo and Juliet(ルカ&コウ「学園演劇」「ツーショット」)
3-10. Brothers fight(「△関係崩壊・喧嘩」)
3-11. Christmas
3-12. Hatsumoude.
3-13. elder brother(コウルートイベント)
3-14. Like or Love(ルカイベント)
3-15. Loved ones


たぶん、予定より増えたり減ったりします。
(2014/08/08)