教卓の真ん前で、女の子達は騒ぎながら小さなアルバムを広げていた。先日終わったばかりの修学旅行での写真だ。
でも、中身は彼女たち自身のものでなく、一冊ごとに名前が書いてある。
「奈津実、うますぎ~」
「これなんて激写じゃない!?」
春霞も『葉月』と書かれた一冊を手に取る。さすがモデル。何をしていても絵になる写真だ。…気づかれないように撮るの、大変だったろうな。
「どうどう、オネーサン! 今なら、一枚100円のところだけど、お友達価格で50円よ?」
お友達って、奈津実にはほとんどなんじゃ…。
「よくこんなにとったねぇ~」
「当たり前よ。こんなチャンスのがしてなりますか」
チャンスって、なんの。
もう一冊、『姫条』を手にとってパララと捲る。こちらはカメラ目線が多い。それに他の男の子もかなり写ってるのに、彼の気づいていない写真が多い。
「はーい、焼き増しして欲しい人は、こっちに名前書いてね~っ」
ちゃっかりしているというか、なんというか。
「春霞は、もっちろん買うよね? 好きなの持ってってじっくり選んでイイよ」
ほぼ強制(笑)。
誰のアルバムを見てみますか?
▽2002/09/25 『葉月 珪』と書かれたアルバムを手に取る。 gs120020927
▽2002/09/25 『姫条 まどか』と書かれたアルバムを手に取る。 gs120020926
▽2002/09/25 『氷室 零一』と書かれたアルバムを手に取る。 gs120020928
▼2002/09/25 (あれ?…私の名前…?) gs120020929