幕末恋華>> 原田左之助>> (待ち時間) - 歳祝い

書名:幕末恋華
章名:原田左之助

話名:(待ち時間) - 歳祝い


作:ひまうさ
公開日(更新日):2006.5.31
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:521 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚

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p.1

 一年で一日特別な日。

「左之さん」
 壬生寺の境内で隣に座っている人をみると、大口を開けて団子を食べている。その姿が楽しくて笑いを零す。

「この間お店に来た変な人の話なんですけどね」
「!?」
 あ、むせてる。

「その人が言うには西洋では生まれた日に歳祝いをするそうですよ」
「左之さんは何時のお生まれですか?」
 聞いたとたん、両肩を掴まれた。

「へ、変な人って男か!?」
「はい?」
「何もされてねーんだなっ?」
「…はい」
「なんだよ、驚かせんなよ」
 危なく団子が詰まるところだったと笑っているけど、まだ私の質問に答えてくれていない。

 じーっと見つめていると抱き寄せられた。

「んで、お前はいつの生まれなんだ?」
 照れているときはいつも私から顔を背けてそうする。見るなっていうけど、そんな左之さんが可愛くて、クスクス笑っていたら困った顔が帰ってきた。

「正確な日は分からないんですけど、母様がおっしゃるには今頃らしいです」
 それからしばらく黙っていたかと思うと、急に抱き上げられ腕の中に収められた。

「左之さんっ!?」
「じゃあ、今日でいいな」
 にやりと目の前で笑っているけど、その奥の瞳は真剣そのもので。

「おめでとう、だな」
 こつんとあたった額が少しだけ熱くなった。

あとがき

あー…幕恋でものすっごく甘い話を考えようとすると左之になるミラクル。
(2006/05/31)