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書名:GS
章名:マスター

話名:日向の夢


作:ひまうさ
公開日(更新日):2006.8.18
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:565 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚

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p.1

 目の前の彼女は悔しげに小さな拳を握り締める。テーブルを叩かないのは目の前のものが壊れてしまうのを恐れてだ。

 ガラスの板にはどうやってから透明と白の模様が色塗られ、その上には少数だがカラフルなキングやらポーンやらルークやらが、端の曇りないこれまたカラフルなキングを追い詰めている。

「少しぐらい手加減してよ」
 これでも十分手加減したんだけどなぁ。問題はそれだけ彼女が読み易いということ。

「で、勝ったほうの言うことは絶対だったよな?」
「う…っ」
 泣きそうに困った顔をするのは卑怯だよ。そんな顔をされると…苛めたくなる。

「じゃあ」
 テーブルを回って抱き上げると案の定慌てる。

「ま、まって!」
「待たない」
 彼女をベッドに座らせ、俺も隣に座り。

「ええと、その、も、もう一回」
「やだ、俺眠い」
「じゃあまた今度ってことで!」
 苦し紛れな彼女にわざと顔を寄せるとぎゅっと目を閉じる。まったく、俺は待つって言ったのに信用されてないんだな。

「え?」
 彼女の膝の上は柔らかくて、暖かな日差しの匂いがする。

「1時間ぐらいしたら起こして」
「…そんなことでいいの?」
「物足りない?」
「ううん。…いいよ、わかった」
 彼女が俺の髪を漉くのを目を閉じて感じる。暖かな日差しの匂い。

「おやすみなさい、義人」
「おやすみ」
 わずかな時間、俺は日向の夢を見る。

あとがき

一条さんリクエストで、ときメモGSのマスターでした。
いかがでしたでしょうか?
久々に書いてみたけど、そういえばマスターは本当にほとんど創作だから、なんでもありと気づいた(笑。
(2006/08/18)