目の前の彼女は悔しげに小さな拳を握り締める。テーブルを叩かないのは目の前のものが壊れてしまうのを恐れてだ。
ガラスの板にはどうやってから透明と白の模様が色塗られ、その上には少数だがカラフルなキングやらポーンやらルークやらが、端の曇りないこれまたカラフルなキングを追い詰めている。
「少しぐらい手加減してよ」
これでも十分手加減したんだけどなぁ。問題はそれだけ彼女が読み易いということ。
「で、勝ったほうの言うことは絶対だったよな?」
「う…っ」
泣きそうに困った顔をするのは卑怯だよ。そんな顔をされると…苛めたくなる。
「じゃあ」
テーブルを回って抱き上げると案の定慌てる。
「ま、まって!」
「待たない」
彼女をベッドに座らせ、俺も隣に座り。
「ええと、その、も、もう一回」
「やだ、俺眠い」
「じゃあまた今度ってことで!」
苦し紛れな彼女にわざと顔を寄せるとぎゅっと目を閉じる。まったく、俺は待つって言ったのに信用されてないんだな。
「え?」
彼女の膝の上は柔らかくて、暖かな日差しの匂いがする。
「1時間ぐらいしたら起こして」
「…そんなことでいいの?」
「物足りない?」
「ううん。…いいよ、わかった」
彼女が俺の髪を漉くのを目を閉じて感じる。暖かな日差しの匂い。
「おやすみなさい、義人」
「おやすみ」
わずかな時間、俺は日向の夢を見る。
一条さんリクエストで、ときメモGSのマスターでした。
いかがでしたでしょうか?
久々に書いてみたけど、そういえばマスターは本当にほとんど創作だから、なんでもありと気づいた(笑。
(2006/08/18)