幕末恋風記>> 本編>> (慶応三年霜月) 12章 - 霹靂

書名:幕末恋風記
章名:本編

話名:(慶応三年霜月) 12章 - 霹靂


作:ひまうさ
公開日(更新日):2006.8.30 (2007.1.7)
状態:公開
ページ数:9 頁
文字数:13511 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 9 枚
デフォルト名:榛野/葉桜
1)
1-冬の朝:揺らぎの葉(89)
2-憂い:揺らぎの葉(90)
3-生きたいと:揺らぎの葉(91)
4-襲撃:揺らぎの葉(92)
5-霹靂:揺らぎの葉(93)

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p.1

1-冬の朝







 地面に足を乗せるとざくりと霜柱が折れ解ける音がした。気にせずそのまま足を進める。どこを踏んでもそうなのだから、わざわざ道を変える必要はない。手にあるのは扇子一つ。大小の太刀は部屋に置いてあるが、ここに危険はない。あったとしても懐剣二本で事足りる。一打を防げれば、報せることが出来る。

 扇子は片手で剣を構えるようなものだと思う。誰に教わったわけではないが、あの人の技を見て、そう感じた。舞の呼吸は剣に通じている。だから、これが出来れば私はもっと強くなれる。

 まだ朝早く、お天道様も顔を出さない薄闇の中、白扇子を構えて、目を閉じる。

 静寂の中に音はない。まだ眠る家々の寝息に耳を澄ませる。剣は人を起こすが、舞を人を穏やかに眠らせると母は言っていた。中禅寺湖のように穏やかな心を持つ人だった。

 彼女の最後に見せてくれた舞は心に刻まれているが、時が来るまで舞ってはいけないと言われている。だから、今は想いのままに舞う。遠い空の下のもう会えなくなってしまった人のために。

 自分の体が段々と蝕まれていくのがわかる。今日動かなくなるのか、明日動かなくなるのか。日々が恐怖との戦いになっている。今の自分の敵は誰よりも己の恐怖だ。今は剣よりも舞がこの体がどう動くのか、動かせるのか教えてくれる。力はいらない。冬のこの清廉な朝の空気に乗るだけで良い。世界の波と舞の波が重なれば、自ずと音楽が生まれてくる。

「早起きやき、葉桜さん」
 ぴたりと手を止め、目を開く。てっきり眠っているものと思っていた。

「お互い様でしょう、梅さん」
 見上げると彼は二階の屋根から飛び降りるところで、慌ててその場から離れる。

「く~ぅっ、ひやいやか!!」
 そりゃあ、素足で庭に降りりゃね。仕方のない人だ。狙われてる自覚がないんだから、本当に困った人だ。辺りに他の気配もないことだし、と彼に背を向けて屋内に足を進める。すぐに近くまで来る気配があるので、わずかに体を左にずらす。

「わっ!」
 あっさりと避けたところで体勢を崩す才谷の隣で足を止め、くすくす笑いを零す。

「えずいぜよ~、葉桜さん」
「余計なことを考える方が悪い」
 新選組を出て、直ぐに葉桜は才谷を探した。それは容易なことではないのだけれど、幸いにも葉桜には豊富な人脈というものがある。居場所はわからずとも逢いたがっているということさえわかれば、渡りをつけてくれるような人物もあるということだ。

「はやすっかり具合は良さそうやき」
 笑っている葉桜が差し出す手を才谷が笑いながらしっかりと掴む。動揺一つしないことに残念そうな様子もみせないが、それでもこの男に告白されたのはつい最近だ。すべてが終わったら、という約束通りに才谷は共にいて手を出すようなことはしない。

「おかげさまで」
 才谷と再会する直前、葉桜は天誅組と称する連中に襲われた。もちろんこれまでもそういうことがなかったわけじゃない。新選組の葉桜といえば、京でもかなりの有名人となっている上に、葉桜は決して相対する敵を殺さない。故に敵は増えてゆくというワケだ。

 体調は決して万全ではなかった。体にはまだ土方から受けた痛みが残っているし、わずかに熱もあっただろう。なによりも揺らぎのせいで、完全に力を出し切れる状態ではなかった。相手方もそれなりに腕の立つ者をそろえてきていたので、加減は出来なかった。

 葉桜が辛勝という場合、それは相手が絶命しての勝利だ。才谷が到着したとき、丁度そういう状態だった。血の滴る太刀を手に、倒れ伏す男達の中で葉桜は首を項垂れて立ちすくんでいた。あのとき、きっととても情けない顔をしていたのだと思う。太刀を懐紙で拭き、鞘に収めて近くまでいくと、才谷は黙って葉桜を抱きしめた。もう大丈夫だと、囁いた。そのまま倒れた葉桜を連れ帰ってくれて看病までしてくれた。

「ほりゃあよかった。じゃー、稽古はこの辺でそろそろ朝餉にするがでよ」
「石川は?」
「はや起きて待っちゅうが」
 わずかに顰められた眉に気が付かないワケじゃない。でも、気が付かないふりをしておこう。ふたたび先に立って歩こうとする葉桜の隣を今度は才谷が歩く。

「じゃあ、さすがに朝風呂とはいかないな」
「…しょうまっこと、葉桜さんは風呂が好きやき」
 まだ不機嫌さを残す声に顔を見上げて、笑う。

「梅さんも綺麗な方が好きでしょ?」
 怪訝そうな顔が輝く前に走って屋内へ入る。

「葉桜さん、ほりゃあーー!」
「石川、おはよう」
 出迎えてくれた石川ににこりとわらいかけると、彼は苦笑を返してくる。

「おはよう、葉桜さん。朝からあまりこの人を調子に乗せると大変だぜ?」
「ふふん、大丈夫だって。石川がいるじゃん」
「それは暗に、俺に助けろって言ってるのか?」
 にやりと笑って返すと、相手もしっかりと笑って返し。そのまま葉桜を通り過ぎて、才谷の腕をひっつかむ。

「何するがなが、石川っ」
「はいはい、もう朝餉だから。余計なことはしないでさっさと部屋に戻る」
「邪魔するとおんしでも容赦しやーせんぜよ!?」
「はいはい」
 ずるずると引きずっていく石川の後を葉桜はくすくすと笑いながら、部屋へと戻った。

 楽しい楽しい毎日が、いつまでも続くと良いけれど。それでも時間は刻々と過ぎてゆく。留まることがあるなら、そんな力があれば、止めたいと思う。でも、無理なことを願っても仕方がないなら、全力で守るだけだ。

(大石が、大人しく言うことを聞いてくれるといいんだけど)
 朝餉がくるまでの間、ふと見やる窓の外は、冬晴れの青を惜しげもなくばらまいていた。わずかなちぎれ雲が風に流れる様を、葉桜はただぼんやりと眺めた。



p.2

(才谷視点)



 山南さんから葉桜さんの話は聞いていたから、知っている。だけど、本人の口からそうだと聞いたことは一度もなかった。しかし、再会してからの葉桜さんの様子からすると、信じざるを得ない。ーー葉桜さんが徳川を守る巫女だということを。

 朝餉の後、葉桜さんがこくりこくりと首を、体を揺らしている。その肩を抱き寄せる。

「眠いがかぇ?」
「ん…ごめん。少し、休ませて」
 立ち上がるのも面倒なのか、そのまますぐ近くで静かに寝息が聞こえてくる。まったく無防備なのはそれだけ信用されているということだろう。嬉しいような哀しいような、でもとても愛しさの募る複雑な感情が自分の中に渦巻いている。

「まったくよく眠る人だ」
 石川の呆れた声に苦笑する。本当に、再会してからとてもよく葉桜さんは眠っている。一日の大半は眠っているように思う。起きているときは扇子を使った稽古をしているか、食事をするかしかしていない。いや、おそらく出来ないのだろう。今の葉桜さんにとって、動くことは多大な労力を必要としているようだ。

「ーーどうして、葉桜さんは新選組を飛び出してきたんだろうな」
 不思議そうな問いかけに対して、わしは答えることは出来ない。葉桜さんの秘密を勝手に明かすわけにはいかない。すべては、わしを守るために来てくれたのだと、言うわけにはいかない。

「ほがなことは、わしが好きで好きでたまらなかったからに決まっちゅう」
「そういう冗談を言うから、葉桜さんにあしらわれるんじゃないか?」
 痛いところをついてくれる。たしかに好きだと言っても信用されないのは、わしの軽口のせいだろう。だけれど、あの船で別れる前とは少しだけ変わったと思う。何がとは明確に言えないけれど、それでも何かが変わったと感じる。どういうことなのか、それはわからない。

 身体をずらし、彼女の頭をそっと自分の膝に移動する。よほど深く眠っているのか、起きる気配はない。

「才谷さん、あんたーー本気なのか?」
「何のことなが?」
「葉桜さんのことだよ」
「わりぃなが?」
「ーー時期は、悪いな」
 そんなことを言われても、時節で人を好きになるワケじゃない。葉桜さんとは運命のようなものを感じる程、強く惹かれるのだ。一生に一度、会えるかどうかの最高の出会いをして、話してみれば自分とかなりよく似た思想を持ちながら、新選組で剣を振るう女性。そんな女性との縁を振り払えるほど、わしは器用じゃない。

 彼女が「約束」を終わった後、もう一度聞いてみるつもりだ。一緒に来ないか、と。

「葉桜さんが新選組を抜ければ、何の問題もないがで。そうにかぁーらん?」
「そう簡単に承知しないだろ」
 言われなくても、そんなことはわかっている。だから、眠っているその耳にそっと囁く。

「なあ、葉桜さん。わしと一緒に来てくれやーせんか?」
 眠っている彼女はあの時と同じように哀しそうに、困ったように微笑んでいた。



p.3

2-憂い

(山崎視点)





 寒さに自分の両肩を抱きしめる。葉桜ちゃんはこの寒い中、どこに行ってしまったのだろう。町中探しても誰もどこにいるのか教えてくれない。挙げ句、余計な話を聞いてしまっては気分も滅入ってくるというものだ。こんなとき、話せないこの憤りを分かってくれるのは葉桜ちゃんだけだった。彼女も同じように話せない気持ちを知っているから、お互いに側にいて安らげた。

 葉桜ちゃんがいてくれるから、アタシは新選組でこうして監察方を続けていられたって思ってる。

 先月の神無月十五日から少しずつ葉桜ちゃんは弱っていた。最初はアタシも気が付かなかったくらいなのに、十日も過ぎると明らかに顔色が悪い。問い詰めるまで、あの子のお役目のことをすっかり忘れていたことが悔やまれる。幕府が大政奉還して、葉桜ちゃんに何の影響もないはずないのに、それに気付かれまいとしていた葉桜ちゃんを想うだけで、心が締め付けられるようだった。

 心配されたっていいじゃない。それだけ大切に想われてるんだから。それなのに、なんでひとりで全部頑張ろうとするのよ。アタシはそんなに葉桜ちゃんにとって頼りないの?

「ご苦労だったな、烝。今帰ってきたのかい?」
 勇ちゃんに声をかけられ、顔を上げて返す。

「そっ、今さっき鍬ちゃんと一緒に戻ったトコよ」
「鍬ちゃん?」
「大石鍬次郎のコトよ。今は鍬ちゃんも調役じゃない」
 何か言いたげだけれど、それどころじゃないのよ。勇ちゃんもトシちゃんも、どうしてそんなに悠長にしてるの。葉桜ちゃんが心配じゃないの?

「で、今日は何か収穫はあったのか?」
 あるから来てるんじゃない。さっさと報告を済ませ、その間気になる言葉を呟いていたトシちゃんに向き直る。

「ところで、トシちゃん」
「なんだ?」
「葉桜ちゃんのことだけど、トシちゃんには何か連絡あった?」
 明らかに曇った様相にため息をつく。言葉なんかなくても、この人は感情豊かだ。そう言ってたのは葉桜ちゃんで、それからアタシのもよくわかるようになった。

「そう」
 あの葉桜ちゃんがアタシに何も言わなかったのに、トシちゃんにだけ行方を言うなんて真似をしてるとは思えない。連絡がないのが同じってわかっただけいいのかしらね。

「居場所はまだわからないか」
「わかってたら聞いてないわよ。京にはいるみたいなんだけど、あの子人望あるから」
 まさか町人を締め上げるわけにもいかない。

「…連絡ぐらいするように言っておくんだったな」
「本当に一週間で戻るっていったの?」
「……」
 アタシじゃなくトシちゃんにだけ、葉桜ちゃんはそれを言い残していた。トシちゃんと稽古をした翌日から一週間、休暇をとることを。勇ちゃんとトシちゃんにだけ手紙が残してあったけど、どちらにも行き先は書いてなかった。ただ一言ーー心配しないで、と。

 無茶言わないでよ。アンタが大切だから、心配するに決まってるでしょ。手を貸してあげられないなら、心配くらいさせなさいよ。

「山崎」
「トシちゃん、アタシは心配したいのよ」
「…ああ。葉桜が帰ってきたら、直接言ってやれ」
「当然よっ」
 言い捨てて、アタシは再び町へ出た。仕事と他に、葉桜ちゃんを捜すために。

(ねぇ、アンタどこに行っちゃったの?)
 見上げた空に問いかけても、白雲たなびく青空は何も答えてはくれなかった。



p.4

(伊東視点)



 藤堂くんから葉桜さんが姿を消したという話を聞いた日から、妙に胸がざわついている。彼女とは夏に茶屋で話して以来、しばらくお互いに会うこともなかった。私もいろいろと忙しかったせいもあるが、山南さんの話ではひどく体調を崩しているらしいとか。

 元気だろうか、と仲間たちの討論を背に窓から空を見上げた。そうすることで葉桜さんが、私は私がやるべきことの為に新選組を出たのだと言うことを教えてくれる気がするのだ。何をなさねばならないのか、それを。

「大政奉還がなされた今こそ、我々は動かねばなりません」
 私の言葉に藤堂君と篠原さんが揃って頷く。

「そうですね」
「うむ。だが、色々と不穏な動きもあることだ。油断はできんな」
 そうして話し始めた矢先、その文が届いた。薩摩藩大久保様からの書簡だ。内容に眉を顰める。まさか、葉桜さんが言っていたのはこれのことなのだろうか。

「伊東先生、どうかしたんですか?」
「新選組が…坂本さんを狙っているということなのですが…」
「新選組もバカじゃないですよ。そんなコトしませんって。今、坂本さんを討っても幕府側にとっては損にしかならないコトぐらい、誰だって分かりますよ」
「私も、そう思います。今、坂本さんがいなくなれば長州と薩摩は一気に武力討幕へ傾いてしまいます。新選組が坂本さんを狙う理由はありません。この手紙、怪しいですね」
「大久保さんがオレたちをダマそうとしてるってコトですか?」
 藤堂君の言葉と、葉桜さんの言葉が重なる。まさか彼女はこうなることまで知っていたというのだろうか。

 山南さんは葉桜さんの忠告に耳を傾けなさいと言っていた。彼女は先見の者だと。故にその言は真実で、伝えるということは彼女がそれを回避したがっていると言うことだ。ここで彼女が一番大切に思うことが重要になる。葉桜さんにとっては、大切なのは新選組というよりもむしろその目に映るひとすべてだ。戦いを回避したいと常に願い、人の死に恐怖する。だが、ただ恐れ戦くというわけではなく、彼女の中では明確に守るべき命に優先がある。

「真実がどうであれ、坂本さんの無事だけでも確認しなければ。藤堂くん、篠原さん。坂本さんのもとへ急いでください」
「坂本さんは今、近江屋にいるそうです。くれぐれも冷静に、冷静に対処するようお願いします」
 すっかり大久保様の書簡を信じ込んでいる篠原さんが、続いて服部さんが出て行き、最後に部屋を出る前の藤堂君を少し引き留める。彼は新選組を信じている方であるし、何よりも桜庭さんと恋仲である。葉桜さんについて何か知っているかもしれない。

 だが、淡い期待はやはりしないほうが良かったかも知れない。

「坂本さんのことも葉桜さんのことも、何かわかったら一番に伊東先生のおしらせします!」
「頼みます」
 彼を見送ってから、また空に目を向けた。今ここにいたら、彼女の意見を聞くことも出来た。それに今ここにいれば、これほどの不安を感じることもなかったということが、わずかに後悔を残している。力ずくでつれてくることも出来はしないが、それでも。

「ーーどうか、無事でいてください。葉桜さん」
 空に願わずにはいられなかった。



p.5

3-生きたいと

(葉桜視点)





 鋭く刃の触れ合う音で目を覚ます。それと、人の呻き声。あまりにもひどい寝覚めだ。起き上がり、枕元の刀を手にして、気配を探る。

「はぁ…はぁ…はぁ…」
 荒い自分の息遣いだけが闇に響いている。ひとしきり気配をさぐり、何もないことを確かめてから深く息をつく。こんなことをもう何度繰り返したかしれない。ここに来てから何度も何度も夢を見る。間に合わない、という夢を。

 いつまでこんなことを繰り返せば、私の役目は終わるのだろう。いや、役目でなくとも今一番彼が危険なことはわかるのだ。きっとここに私はいたに違いない。だけど、知らなければきっとこんな夢は見ない。才谷が、石川が自分の目の前で殺される夢なんて。

 袖で伝い落ちてくる顔の汗を拭い、部屋を出る。宿の中ではまだ宴会でもしている連中がいるのだろう。けっこうな騒ぎが聞こえる。

「すまん、水を一杯くれ」
「は、はい!」
 膳を下げている最中の女中に言付けると、彼女は急いで走り去った。その場で座り込む。だめだ、何かくらくらする。近くの壁にふらりと寄り掛かろうとしたら、反対側から強く引き寄せられた。

「…葉桜さん、何をしているんだい?」
 聞いたことある声、だけど。なんだろう、深い眠りが邪魔をする。

「…なところで眠るのは…」
 なんて言っているのか。ああ、駄目だ。ちゃんと聞かないと。ふわりと空中に意識が飛んだのは、たぶん抱き上げられたせいだと思う。

「石川、」
「私、あんたも好きなんだ」
「守らせて、ほしいんだ」
 私の言葉に彼は頷いてくれた気がした。もちろん、了承なんてされなくったって、私が勝手にそうするだけのことだ。

 父様が言っていた。感謝されたくてしてるわけじゃない、自分がそうしたいからしているだけのことなんだから、了承とか理解とかそんなものはいらないんだって。その代わり、自分がそうしたことの責任だけはちゃんと取れよって。梅さんがこの先生きてたら、きっと日本は素敵な国になる。これ以上戦争なんかも起きないだろうし、多くの人が死ぬこともなく。平和に皆が酔いしれるほどに。

「一緒に、時の先を生きていたい」
 保身の為じゃない。本当に徳川がどうなっても構わないんだ。ただあまり多くの血が流れることなく、平和が訪れれば。こんな願いは無理なのかな。

 頬に当たる篤い手に頬をすり寄せる。

「無茶、しないで」
 何か言ったみたいだけど、葉桜には何も聞こえなかった。聞かなかった。

 ただ深い眠りに落ちていった。



p.6

(石川視点)



 腕の中の重さを手に、ゆっくりと振動を起こさないように部屋までの道を戻る。おそらく多少のことでは起きないだろうけど、それでも今の葉桜さんにはゆっくりと眠っていてほしい。

 才谷さんが彼女を連れて戻ったときには何事かと思った。今がどういうときか、本当にこの人はわかっているのかと心配になった。だけど、いつでも彼の考えは俺には遠く及ばなくて、何故か初めて会ったときから葉桜さんにも同じように感じていた。二人はとてもよく似ている。そう、葉桜さんが新選組にいるということが不自然だと感じるほどに。

「あ…」
 走ってきた女中が俺の少し前で足を止める。その手には水を湛えた碗を持っている。

「…あの、葉桜様に…」
 まったく、こういう人様の迷惑をまったく顧みないところまでそっくりだ。彼女から碗を受け取ろうとすると、うっすら葉桜さんが目を開ける。まだ寝惚けているらしく、眼はとろんと宙を彷徨っている。

「水、飲むかい?」
 小さく頷くので、すこし廊下の端によって膝をつく。女中から碗を受け取り、ゆっくりとその口元に流し込む。咳き込まないように、ゆっくりと。零れないように、ゆっくりと。だけど、それは到底無理な話というものだ。

 入りきらない水が彼女の口端からこぼれ落ち、細い首を伝い落ちてゆく。びくりと身体を震わせ、そっと碗を押し戻す小さな手。この人をこんな風に小さいと感じることなんて今までなかった。そういえば、自分よりもずいぶんと年下だと言う話を思い出す。

 女中に碗を返し、またそっと彼女を抱いて部屋へと戻る。襖を開くと、真剣な顔で才谷さんが待ちかまえていて、入るなり葉桜さんを奪い取った。

「葉桜さんに、なんちゃーじゃしちゃーせんにかぁーらんね?」
「できるわけないよ」
 才谷さんの執着も相当なものだ。これで起きているときも真面目にしていれば、葉桜さんだって本気にしてくれるに違いないのに。

「何なが?」
「いいや、なんでも?」
 苦笑する俺を才谷さんが不審そうに見る。それに対して、軽く返す。才谷さんが真面目に言わない分、俺にも機会があるって、期待してしまうじゃないか。

 夢現とはいえ、葉桜さんは俺を好きだと言ってくれた。それだけで、俺には十分だ。今はまだ答えることも出来ないかも知れないけれど。

「一緒に、生きていたい」
 あの言葉を信じて、これからも頑張っていける。幕府を倒して、葉桜さんと生きる未来を作るために。

「才谷さん、話をしないか」
 何度話をしてもいい。何度だって話せばいい。彼女の考えと才谷さんの考えはとてもよく似ているから、それで少しでも葉桜さんのことをわかりたい。そう想うのは、今からでも遅くはないだろう。

 才谷さんが座る間に窓辺へと寄り、空を見上げる。冬の澄んだ空気に月が冷たい光を送り込んでくる。その月に希う。

ーー葉桜さんと、才谷さんと、同じ未来を見たい。

ーー俺は、葉桜さんと生きていたい。

 願いは強く想えば叶うのだと聞いたことがあるから、だから願う。叶うように、祈りを込めて。

 俺の願いが月に届いたかどうかわからないけれど、目の前で腕の中の女を起こさないようにそっと腰を下ろす友人に視線を向けた。



p.7

4-襲撃

(才谷視点)





 腕の中で葉桜さんは表情もなく、ただ無心に眠っている。ここにある確かな温もり。それを欲したときにはもう道は定まっていたのだろう。彼女を救いたいから、わしはわしの道を行く。

 話があるという言葉の通り、石川は単刀直入に訊いてきた。

「才谷さん、あんたまだ幕府に情けをかけるつもりか?」
 彼のこの飾らない所は好ましいが、それにしてもやはり完全に同じ道とはいかないのか。

「ああ、そのつもりじゃ」
「あんた本当に甘すぎるぜ!」
 声を荒げる石川に対して、口元に指を立てる。

「しっ」
 腕の中の存在に視線を落とすが、彼女は目覚める様子もない。結われていないそのままのまっすぐな髪は手にとってもするりと抜け落ちる。まるで、葉桜さんという存在そのもののように掴み所がない。

 石川が落ち着くのを待ち、続ける。

「何事も荒っぽい手段はいかん。禍根を残せばまた次の火種になるだけぜよ」
 禍根を残せば、彼女の身が危うくなるばかりだ。徳川の業のすべてを受ける役目がなくとも、きっと彼女ならば危険の中に進んで身を投じてゆくことだろう。大切な者たちを守るためには己の命さえ厭わない人だから。

 新選組の、いや、山南さんが気にかけるのもわかる。放っておけば、葉桜さんはいつ目の前からいなくなってしまうかもわからない。しっかりと手を握っても、強く抱きしめても、留めることは誰にも出来ない。弱い者がいれば救いに走り、強い者には決して屈しない。だけれど、誰よりも命の重さを知っている人だから。

 石川は葉桜さんのことを少しは好いているようだが、その本質までには気がついていないのだろう。

「いや、物事を大きく変えるには一度根こそぎぶち壊す必要がある! 江戸であれ、室町であれ戦乱の中から平和をつかんだ!」
 彼の言うことも一理あるが、それではダメだ。葉桜さんの望む道に、争いがあってはいけない。これ以上、彼女に苦しんで欲しくはないから。

「大勢の人が死による。それでもえいのか?」
 躊躇うと思った。だが、石川はわしとまったく同じ考えではないのだと思い知らされる。

「この世に流血なき革命はない!」
 心のどこかで信じていた。石川だけは、同意してくれるものだと。

 だが、結局は彼女だけなのか。腕の中の温もりを抱く手に力を篭める。たったひとりでも理解者があるなら、わしは進んでいけるから。葉桜さんが望むと言ってくれた未来を作るためなら、なんだって出来るから。

「…石川」
 意を決した言葉は、階下の騒々しさにかき消される。腕の中で、まだ葉桜さんは深い眠りについている。

「何ごとだ?」
「一階におるもんじゃろう。ほたえな!」
 直後、二人の男が刀を手に飛び込んできた。



p.8

(葉桜視点)



 耳元で唸る轟音で一気に覚醒した。大砲を間近で撃たれているような音だが、違う。開いた目の先には鉛色の鈍い輝きがある。以前に見せてもらった六連発の短銃だ。そして、私を抱えている人物は。

「な、梅さん!?」
 気がついた私を押しやるように、どける。

「はよぅ逃げやーっ」
 目の前には怯んでいる剣士が三人。まだ誰も怪我をしている様子はなく、銃痕は畳に黒々とついているばかりだ。もうひとりとすぐ横のに視線を走らせれば、彼は負傷しているらしく、左肩を右手で抑えている。にもかかわらず、畳に点々と鮮血が滴っている。

「い、石川っ」
「俺は大丈夫だ。あなたは窓から早くっ」
「馬鹿言うな!」
 才谷の腰から小太刀を抜き放ち、才谷と石川の前に立つ。

「私はこのために来たんだ」
 今戦わずして、いつ戦うというのか。二人を助けるためにもらった貴重な休暇はもうあと一日しかない。剣を手に立ち上がり、深く息を吸い込む。

「な、何をゆうちゅうんながっ?」
「すぐに片付ける。二人とも大人しくしていろ」
 私の言にいきり立つ男たちを無限に構えて、待ち構える。平静を失った相手を倒すのは容易い。

 まず、向かってきた相手の剣を冷静に小太刀で受け止める。空いた手で懐剣を取りだし、心臓に突き立てて抉る。温い水が体に吹きかかってくる。

「ぐっ!!!」
 絶命した相手を力で押し倒し、次に向かってきた相手を小太刀で一刀の元、斬り伏せる。息は、あがらない。一歩も動かずに二人を倒した後で、相手に向かい、剣先を突きつける。

「去れ。この二人を傷つけることは、新選組の葉桜が許さない」
 残った相手に氷の言葉を放つ。今必要なのは、相手を圧倒する威圧感。それならば、幼少の頃から叩きこまれている。

「今ならば、命だけは助けてやれる」
「…ひっ」
 慌てて出て行く男の影が部屋から消えるのをどこか遠くに眺める。むせ返る血の匂いが、気持ち悪い。だからこそ余計に機嫌が悪くなる。また、着物を汚してしまった。山崎に怒られるだろうかと場違いなことを考えている自分が遠い。

 剣を一振りして血を払う。懐から懐紙を取り出し、剣を拭く。血に汚れたことのない人の剣を汚してしまった。汚れたことのない剣に血を吸わせてしまった。今はその罪悪感だけが残っている。

「…ごめんね」
 謝るのは汚してしまった剣と、その剣で奪った命に対して。彼らは才谷に執着が強すぎるから、脅すだけでは引かないのだとわかった。ここから自分がいなくなっても、危険がないように殺すしかなかった。

 だけど、この手が血に染まるのは何度目だろう。誰に恨まれたって構わないけれど、だけど。

「葉桜さん」
 後ろから抱きしめてくる男の腕を抱える。外さないと、ダメなのに。

「梅さん、汚れるよ」
「構いやーせん。気にしやーせき、今は泣きーや」
 優しい優しい言葉と声に助けられても、泣くわけにはいかない。

「遅くなって、ごめん。怪我、ない?」
「ああ、葉桜さんのおかげやか」
 礼を言われているのに、ちっとも嬉しくない。大切な人は守れたのに、どうしてこんなに苦しいのかな、父様。

 ふわりと私を包む空気が暖かくなる。父様に包み込まれるみたいに、昔みたいに。それだけで、なんだか安心した。

(まあ、いいや。助けられたんなら、それで)
 閉じた瞳から一筋だけ涙を零した後で、葉桜は意識を失った。



p.9

5-霹靂







 嫌な夢を見た。全部終わったのに、助けられたのに、血の匂いが消えない。

「甘い、血の匂いがする」
 夢の中で繰り返される大石の言葉に吐き気がする。洗っても洗ってもぬぐえないほどの血がこの体にこびりついていることぐらいわかってる。でも、こんなに濃く感じる事なんてなかった。

 助けて、と叫びたい。血の匂いはキライだ。命の絶えてゆく香りだから。命を吸い取る香りだから。懐剣の柄を弄り、中から丸薬を取りだして飲み込む。良順に調合してもらっている安定剤だ。気休めでも、その香りを感じないでいたかった。いつもなら、これを飲むだけで次第に香りは薄れるのに。

 今はどうしてか薄れない。

「父様…助けて…っ」
 良順は父様が近くにいると言っていた。闇に顔をあげて助けを希う。でも、力のない私に父様は視えない。現れてくれない。

「…助けて…っ」
 布団を抜け出し、襖を開ける。それで、やっと気がついた。

 全部、おわったはずなのに。

「…な、んで…」
 部屋中に充満する血の匂いで吐き気がする。その視線の先には、血溜まりに沈む石川と才谷の姿が映る。

「ど、ーして…? 終わったはず、でしょう?」
 ふらふらと近寄り、ぺたんと腰を下ろした。触れた石川の体はもう温もりが薄い。

 どうして、気がつかなかったのか。終わったなんて、誰もいってないのに。まだ一日は終わっていなかったのに。

「うっ…葉桜さん…か」
 かすかに聞こえる呻き声に気づき、才谷に駆け寄る。こっちも失血が酷い。自分の帯を解き、止血する。でも、そうする間にもどんどん白い帯は赤く染まってゆく。

「死んじゃ駄目、梅さん!」
「泣き、なおせ」
 虫の息で話しかけるかすれた声は、もう力がない。死んでしまう。このままじゃ、私だけじゃ、駄目だ。

「誰か、助けて。梅さんを、助けて…!」
 締め付けても血が止まらない。こんなに深い傷なんて、どうしてこれほどの人がこんな。

「おんしは、怪我を、しちゃーせきか?」
「してないよ!」
「…良かった」
「良くないよ!! 誰にやられたっ!」
「…言えば面倒なコトになるぜよ」
 それだけで充分、だ。落ちる涙を構わずに才谷の傷を縛り上げ、命が消えていかないように抱きしめながら囁く。

「大石だな?」
「! …違うぜよ、階段から落ちてもうただけぜよ…」
「ウソ。階段から落ちて刀傷はつかないよ」
「は、ははっ…しょうまっこと、葉桜さんはなんちゃーお見通しやき…」
 苦しい息の元で無理に笑う。でも、どんどん体が冷たくなっていく。

 自分じゃないみたいに零れてくる悔しさで、身が震える。こんなときにどうして、何も出来ない。本物の巫女なら、怪我を治したりだってできるのに。私にはこの身体一つで業を昇華することしかできない。

「葉桜さん、泣きなおせ」
 無茶を言うな、という言葉が出てこない。力のない自分が悔しくて、情けなくて。そんな涙を止める術なんか知らない。

「梅さん…?」
 弱くなる鼓動に恐怖する。このまま、意識を失っちゃダメだ。何でもイイ、話さなければ。

「な、なあ。この間船で話したこと、覚えてるか?」
 自分の声が震える。

「あの時、もうひとつ言ってなかったことがあるんだ。私ーー」
「知っちゅうがよ」
「え?」
「山南さん、から、全部、聞きゆう。葉桜さんが、幕府を守る、影の巫女だと」
 とぎれとぎれに紡がれる言葉に驚いたけど、それなら話は早い。

「巫女でなかったら、本当に梅さんと共に行ったよ」
「…巫女で、なければ?」
「皆が平等で幸せな世界、私も一緒に見たいんだ。だから、なあ、死ぬなよ」
「…葉桜さん」
「生きて、くれよっ」
 命を分けられるというのなら、こんな命すぐにでも差し出すのに。

「葉桜?」
 見知った気配に振り返ると、彼はひどく驚いた顔をしている。でも、丁度良い。才谷から体を離し、中村にすがりつく。

「半次郎、助けて! 梅さんを、助けて!!」
「落ち着け、葉桜。一体何があった?」
 手ぬぐいで私の顔を強く拭き、問いかけてくる。ああ、ちゃんと話している場合じゃないのに。

「梅さんを助けて…お願い…!!」
 敵とか味方とか、そういうことを考えている余裕なんてない。とにかく自分一人じゃ助けられないのは確かで、こういう状況で葉桜を斬る人でないことだけが確かだ。でも、万が一ということだってある。

「今の私が新選組だということが問題なら、斬ればいい。ただ、梅さんは…!」
 聞こえる呻き声に才谷の両手を掴む。恐ろしく冷たい手を両手で包み込んで、命が消えないように温もりを伝える。

「ま、待ちやー、頼む、から、この子は、助け、とおせ、頼む、この通りじゃ…」
 苦しい息の元、どんどん冷たくなる身体をもう一度抱きしめる。どうか、まだ連れて行かないで。この世界から才谷を奪わないでと願い続ける。

「もう、もういいから。梅さん、黙って」
「葉桜さんは、生きな…いかん…そ、にかぁー、らん?」
「梅さんもだよ。攫ってくれるって、約束したじゃないかっ」
「あ、ああ、そうやった」
 なあと小さく囁かれる。最期に、一度の口づけを、と。

「最期じゃない…これは、また会うための約束だから、な」
 触れるだけの口づけをして、才谷から身を離す。それから半次郎をふり見ると、彼は困ったように笑って、才谷を抱え上げた。

「そんな顔をするな。また、会える」
「きっと助けてくれ」
「ああ。だから、葉桜、もう泣くな」
「梅さんを死なせたら、一生恨んでやるからな」
「わかっている。おまえも、ここでのことは一切他言無用と」
 頷くと満足して半次郎はいなくなった。

 その後のことは正直全く分からない。ただ気が付いたら山崎が泣きそうな顔で人の顔を覗きこんでいて、起きたことの気付いて小さく「馬鹿」と言われた。冷たくなっていた石川の姿もなく、ただ夥しい血痕と私だけが部屋にいたそうだ。

 どうなったのかわからない。だけど、少なくとも才谷は生きているはずと信じたい。他ならぬ戦友が連れて行ったのだから、そうだと信じたい。

(ーー大丈夫、だよね。半次郎)
 問いかけに答える者は、当然誰もいない。ただ風に頼りを聞くほかにはーー。



あとがき

1-冬の朝


これからへの伏線。
でも、やっぱり体調は崩したまんま。
(2006/8/28 09:52:29)


2-憂い


新選組代表で山崎、御陵衛士代表で伊東さん。
いろんな人に心配されて生きているこのヒロインはかなりの幸せ者です。
(2006/8/28 14:43:46)


3-生きたいと


新規作成。
(2006/9/6)


書き直したので、分離。
(2006/9/13)


4-襲撃


Web拍手で書いた文を追加。
もうちょっと続きます。
(2006/9/12 11:24:43)


5-霹靂


梅さんのトゥルーエンドを参考に書いているんですけど
第一稿でつい、大石を殺しちゃって。
読み返してから、次回からヤバイ!と気が付きました。
うーん、気が付いて良かった。
人斬り半次郎とは何か番外編とか書けそうな気がします。
でも、気力が持たない気もします(笑。
既に本編でいっぱい×2です。
梅さんに怪我一つ負わせないとか、そういうことまでは最初から考えていません。
ゲーム自体が好きなので、あの流れを出来るだけ変えずに書きたいです。
でも、少なくとも攻略キャラ全員に生き残ってほしいというのは、我が侭でしょう。
わかっていても押し通しますけどね。
ヒロインなら戦い自体が回避できたかもしれません。
でも、そこまで大きく変えることはできません。
他の話が崩れるのも困る。


さて、中途半端ですけど、この章はここまで。
もっと明るくしたいんだけど、次章はあれですからねぇ。
どうしましょう?(聞くな。
少しでもホッとできるようにはしたいんですけど、あの章は死人が多すぎです。
誰かなんとかしてください(無理。


そういえば、続編が制作決定したみたいですね。
どうやらヒロインは立場が選べるみたいです。
桂さん攻略したいな、桂さん!!
実は密かに大好きなんですよ~。
て、この話の前半で書いてるからバレバレか(笑。
(2006/8/30)


追加したのに合わせて修正しました。
結局、まぁ、薩摩に連れて行かれるんですけど、こっちのほうがいいかなぁっと。
(2006/9/12 11:58:45)


「裏の巫女」→「影の巫女」に変更。
(2007/1/7 16:06:31)