ホグワーツ中がバレンタインに沸き返っている中、私はいつも通りにそこにいた。
手元にはリリーに借りた恋愛小説。本の中もバレンタイン真っ直中。
そして、彼が来る。顔を向けると眩しいくらいの笑顔を向けてくる。
「今日、何の日か知ってるか?」
こくりと頷いて、ローブのポケットから小さな包みを差し出したら、ものすごく驚いてから嬉しそうに受け取ってくれた。
「チョコじゃない、けど」
「サンキュ」
包みを開けた彼が、笑顔のまま強ばる。
「あー…一応聞いて良いか?」
包みの中には、胃腸薬一瓶。と、小さな小さなチョコレートの一片。
「いっぱいもらうって、聞いたから」
他の人のは受け取らないって言ったシリウスに驚いていたら、チョコを口に放り込んでからキスされて。
「こっちで十分」
と、言われてしまいました。