ホグワーツで一番大きな木の下は、心地良い風が吹いていた。今日は、卒業式。みんな一緒にいられる、最後の日。
私は校長に頼み込んで、今、ここにいる。最後の歌を歌うために。
卒業しても、また逢えるようにと願いを込めて。力を増幅させてきた、この忌まわしい杖を握り締めて。真っ青な雲一つ無い空に言葉を繋ぐ。
いついつまでも、この幸せな時間を忘れぬように。世界中が優しくあるように。魔法族も非魔法族も関係なく。人も自然も分かたれることなく。いついつまでも、この最高の時を忘れ得ぬように。
歌い終わりにはいつも彼の足音と私を呼ぶ声がしていた。それも、今日でおしまい。
「シリウスに言葉の祝福をあげる」
真実は明かせないけれど、貴方の幸せを一番に想ってる。なんだよ、と優しく笑う彼にそっと口づける。
「“貴方の幸福は貴方だけの物”」
遠く離れてしまっても。きっとここで過ごした時間を忘れないように。
卒業祝いとかじゃないですが。
「言霊使い」シリーズを書き始めた目的です。
シリウスが生き延びた理由が、この主人公のせいであればいいなぁと。
でも、肝心の台詞忘れた(笑。
(2006/03/13)