あれから1年が経った…
4月の入学式…あの教会でぶつかった少女…
ずっと探し続けたあの笑顔…
今は俺の隣で微笑み続ける…
おまえは気づいているのか…
あの約束を…おまえは覚えているのか?俺を…
「葉月くん!おはよう」
「…ん?なんだ、おまえか」
「冬休みなのに公園でお昼寝?風邪ひいちゃうよ?」
「…別に…寝てない…考え事してた…」
「考え事?どんな?」
「…教えない…」
「ケチ!!」
「…あっ…おまえ今から時間あるか?」
「ん?あるけどどうしたの?」
「正月だし…初詣行かないか?一緒に」
「初詣?でもわたしこんな格好だし…」
「…気にするな…行くぞ」
「あ!待ってよぉ」
初詣なんて何年ぶりだろう…
人ごみが苦手な俺はもう何年も初詣なんてしたことがなかった。
初詣で願うことなんてなかったから…
あの頃の俺は一人ぼっちで、願いなんて叶わないと決め付けていた…
でも今年は違った…あいつを見つけられたから…
神様がもし本当にいるなら…俺のたった1つの願いを叶えてくれ…
俺の願いはただ1つ…あいつが笑ってくれる事…
その願いを叶えてくれるなら…
「葉月くんは何をお願いしたの?」
「…なにも」
「せっかくお参りに来たのに?じゃあ何してたの?」
「おまえのおでこのシワ、見てた」
「…シワ寄ってた?」
「…寄ってた。必死な顔で願い事してたな…」
「そ、そうかな?」
「叶うといいな。おまえの願い事…」
「うん。葉月くんの願い事もね」
「俺の願い事?」
「うん。何か1つでもあるでしょ?願い事。それが叶うようにわたしもお願いするね」
「…おまえ…ヘンなヤツだ。…じゃ帰るぞ」
俺の願い事…これはいつか叶えられるだろうか…
叶えられるなら…大切にしたい…
俺の願いはおまえ…だから、今以上に大切にしたい…
やっと深い森を抜けて巡り会えたから…
Fin
2003,1,1 A HAPPY NEW YEAR
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