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書名:GINTAMA
章名:RE-TURN

話名:しあわせなゆめ


作:ひまうさ
公開日(更新日):2008.11.4
状態:公開
ページ数:3 頁
文字数:1060 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚
デフォルト名:/美桜
1)
優しい憧憬
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p.1

 あの日から一度も忘れたことはなかった情景がある。それは瞼を閉じれば目の前に蘇ってくる仲間達の声と、先生の優しい声。

「熱出すのなんて何年ぶりだ?」
「うーん、覚えてないなぁ」
 閉じた瞼の上からひんやりとした手ぬぐいと、面倒なんだか優しいんだかわからない銀時の優しい声。

「だいたい美桜は加減ってモンを知らな過ぎんのよ。人生、適当にやったってなんとかなるんだから、もうちっと力抜いたらどうだ」
「それ、こないだ近藤さんにも言われた」
「例の病気はもう治まったんだろ? そんなに一生懸命疲れなくたって」
「それも土方に言われた」
 黙り込んでしまった銀時を小さく笑う。ああ、なんだかこんなに落ち着いた気分は久しぶりな気がする。

「少し、眠るね」
 今、瞼の上に手ぬぐいが載っていてよかった。だって、こんなにも目が熱い。



p.2

 蝉の声と、仲間達の騒がしい声で目を覚ます。そっと目の前で揺れているうちわに手を伸ばす。

「やっと気がついたね」
 膝枕をしてくれていた先生が私に笑いかける。

「いくらみんなと遊びたいって言っても、ちゃんと休まないとだめだよ」
 どうやら遊んでいるうちに倒れたらしい。起き上がると、すぐに銀兄が駆け寄ってくる。

「あ、こら。まだ起きちゃ駄目だろ」
「んーん、私も遊ぶ」
「後で遊んでやるから、もうちっと休んどけ」
「今がいいの」
「だーめーだっ!」
「先生、遊びに行ってきていい?」
「気をつけていっておいで」
「やったーっ」
 駆け出す私の後ろで銀兄はいつまでも先生を睨んでて。先生が何かを言うと、すぐにきびすを返して、追いついてきた。



p.3

 目を覚まし、穏やかで暖かな日差しのはいる部屋でぼんやりと考える。誰もいない部屋。だけど、どうしてこんなに温かいのだろう。

 襖が開き、こちらをみた少年が慌てて出て行き、銀兄がやってくる。

「おー起きたか」
 こくりと肯く。

「腹減ってるか?」
 首を振り、手を伸ばす。

「銀兄」
 銀兄は少しの動揺を見せてから、私の布団の傍に座り、肩を押さえて寝かしつけた。

「だから寝てろって言ったろ。先生のいうことは当てになんねえ」
 じっと見つめると銀兄はしかたねぇなと私の隣に横になり、布団の上から私の身体を叩く。

 穏やかな旋律と近い息遣いに安堵し、白濁とした意識の向こうで誰かが笑っているのが見えて、手を伸ばした。

「しょー…よ…せんせー…」
 その手を強く掴んで私を睨む銀時を小さく笑い、またまどろみに身を委ねる。

「オマエはまだ行くんじゃねーぞ、美桜」
 優しい、優しい声と温かな熱に包まれて、幸せの眠りが私を護るように包みこんでいた。

あとがき

癒されたくて書いた話。こんなんばっかだ(笑。
(2008/11/04)