GINTAMA>> RE-TURN>> 愛おしい場所

書名:GINTAMA
章名:RE-TURN

話名:愛おしい場所


作:ひまうさ
公開日(更新日):2009.4.30
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:838 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚
デフォルト名:/美桜
1)

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p.1

 風呂上がり、手拭いを首にかけたまま、縁側で月を肴に杯を傾ける。

 居候の家には未成年がいるので、中身は水だ。ようは雰囲気がほしいだけともいう。

 昼間は何が何でも洋装にしているが(でなければ戦いにくいので)、夜ともなれば、薄橙の浴衣をゆるめに着ているだけなので、風通しは良すぎるほどだ。

 夜空には星を隠す煌々とした光放つ宇宙艇が航行しているが、月が見えないこともない。少し前までいた場所だけれど、今この地上にいることは悲しさよりも嬉しさを沸き起こらせる。

 ここ以上に愛しい場所など。

「銀ちゃん?」
「なんだよ」
 唐突に背後からべったりと抱きついてきた気配に、落胆と苦笑を投げる。

「また勝手に来て。妙さんに怒られるよ」
「じゃあおまえがうちに来い」
「冗談」
「じゃあ来て下さい」
 やけに低姿勢だなと顔を見ると、平静を装ってはいるが引きつった笑い顔だ。この表情を過去幾度となく見ているだけに、私はくすりと苦笑する。銀時は隠しているけど、彼はオカルト系にてんで弱いのだ。

「また怖い話でも聞いたの?」
「ち、違ぇよ。神楽が寂しがっててだなぁっ」
「はいはい、じゃあ寝付くまでならいてあげる」
 部屋に戻り、壁のハンガーに掛けておいたロングコートを手にする。

「…銀ちゃん、着れないんだけど」
 後ろから抱きしめてくる銀時に呆れた息を吐く。

「それ、やめねぇ?」
 それ、と指すのは私の手にした赤いロングコート。

「これがないと、外に出れないよ」
「別にそこまで寒くねぇだろーよ」
「寒くはないけど」
 これがないと不安。

 少し戸惑った気配の後で、銀時はくるりと私の身体を回転させた。胸に私の顔を押しつけさせて、よしよしと頭を撫でる。

「しかたねぇから、今日は俺がそばで寝てやるよ」
「妙さんに怒られても知らないよ」
「そんときゃそんときだ」
 一人用の布団に二人で寄り添い、銀時の腕を枕に眠るのは、いつ以来だろう。

 何年たっても、ここがどこよりも愛しい場所だというのは変わらない。ここ以上に愛しい場所など、なくていい。

あとがき

アニ銀153「寝る子は育つ」を見て
無性にうちのヒロインに銀時のそばで子守歌を歌わせたくなったんですが!
書いてみたら、何故か恒道館道場に居候するヒロインのところへ忍び込んでました
何故!?自分が一番わからない…。


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(2009/04/30)