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書名:GINTAMA
章名:RE-TURN

話名:RE-TURN - いつかその日まで


作:ひまうさ
公開日(更新日):2008.9.26
状態:公開
ページ数:2 頁
文字数:7028 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 5 枚
デフォルト名:/美桜
1)
柳生編
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p.1

 地球での美桜の快援隊での主な仕事は荷物の警護だ。それらを無事に商売相手へと引き渡し、代金を受け取る。基本、美桜が関わるのは現金払いされる方の仕事で、今回のようにカード払いの時は楽すぎるから関わらない。

「この猫アレルギー対策の薬は最近宇宙での評判がいいんですよ」
 そんなことを取引相手と交渉している仲間を他所に、辺りへと首を巡らせる。こういう堅苦しい現場は好きじゃない。

「庭、見せてもらってもいいでしょうか?」
 相手から了承をもらい(完全に肯いていたかどうかは定かではないが)、ふらりと庭へ出る。この広い敷地内には広い道場があって、大抵はそちらで門人が集まり、稽古をしているらしい。

 ここは天下の柳生道場。刀を禁止されたこの国でなお力を持つ侍のいる場所、と聞いていたはずなのだが。

「…つっまんねぇのー…」
 両腕を伸ばし、首や肩を動かして、少し堅くなった気のする筋肉を動かす。この時代でなお発展を続ける道場だから、多少の期待はしていたのだが、危険もなければ覇気もない。トラブルでも起こってくれればいいのだが、仕事中のトラブルの責任は自分に降りかかる。そんなのは陸奥さんに後で絞られるので遠慮したい。

 暇だなぁとふらふらと歩いていたら、聞き覚えのある声がした。

「え、美桜さん…?」
「あれ、お妙さんじゃない~。こんなところで会うなんて奇遇ねぇ」
 ここ数日は快援隊の仕事で留守にしていたから、会うのは久しぶりだ。万事屋や、真選組のみんなは元気にしているだろうか。ま、あの辺は多少のトラブルじゃ死にそうにないが。

「いつ、江戸に戻ってたの?」
「今日だよ。あ、今夜には恒道館に戻るから。お土産はハーゲンダッツでいい?」
 いつもなら一週間分とでも要求してきそうなものだが、急に妙は黙り込んでしまった。いつも笑っていた彼女には似つかわしくなく、俯いて泣きそうなのを堪えている。

 あー何かあったんだなと思った。だけど、無関係の人間が踏み込むことでもないだろう。

 彼女のいる部屋の縁側まで近づき、腰を下ろす。

「江戸の少し郊外に泊まってくるってだけなのに、みんな過保護だよねぇ。私、これでも銀ちゃんと張れる腕はあるのにさぁ」
 自分の過去について、彼女には少しだけ語ってある。

「男とか女とか、関係なくて全然構わないんだけど。ここはもっと変わってるね」
「え?」
「親がいるのはいいことだけど」
「…美桜、さん?」
「だからって縛られることはないって、言ってあげたんだけどなぁ。九兵衛には通じてなかったのかな」
 振り返ると、大きな目を見開いて、こちらを凝視している妙がいる。

「美桜さん、あなた…九ちゃんを知ってるの?」
 立ち上がり、片目を閉じる。

「誰も何も間違えちゃいない。でもさ、自分の人生なんだからやりたいように生きなきゃ。でなきゃ、とりかえしのつかない後悔をするよ」
 願うのはただひとつ。

「自分でもバカだと思うけど、やめられないんだわ。誰にも同じ過ちを繰り返させたくない。知らせたくないから、さ」
 ふらりと庭へ踏み出しながら、振り返らずに続ける。

「お妙さんもさ、後悔しないように生きなよ。私はあなたの気っ風のいいところが好きだよ」
 快援隊の情報を舐めてはいけない。もちろん、こんなつまらない任務のためについてきたわけじゃないんだ。ここにいれば、力になれると思ったから。

「…美桜さん、九ちゃんは…っ」
「手は出さない。必要、ないでしょ? すべてはあなたが決めることだ」
 離れてしまったからわからない。だけど、合流した仲間が告げる。

「美桜さん、すぐにここを離れましょう」
「へ、なんで?」
「さきほどからどうにも嫌な予感がします」
 勘の働く男の肩に手を置く。

「んー、ひとりで帰れる?」
「何か用事でもあるんですか?」
「ちょいと野暮用できちゃった」
 正門が見えるところで立ち止まる。

「快援隊には迷惑かからないようにするからさ、頼むわ」
「また、陸奥さんに絞られますよ?」
「そんときゃそんとき、なんとかなるって。あっはっはっ」
 仲間を送り出してから踵を返そうとして、その男と目が会う。髪の長い、確か、東条とか言ったか。

「どうしました? お帰りはあちらですよ」
 彼が指すのは正門で、私が行きたいのは彼の向こうだ。

「ここまできて柳生敏木斎殿にご挨拶もせずに帰るのは失礼でしょう」
 それまでののんびりとした空気を変えず、視線だけを鋭くする。

「一剣士として」
 彼が一瞬ひるんだ好きにその身体を飛び越える。くるりと回って、後方に着地し、すぐさま駆け出す。

「なっ」
「大丈夫! 仕掛ける気ないからっ」
 走りには自信もあるし、隠れるのはお手の物。しかし、追いかけてこないのは別の理由が出来たようだと、足を止めてほくそえむ。ふくれあがる闘気は正門からやってきている。

「意外と行動力、あるじゃん?」
 ここで見つかってはまずいな、と目当てのゴミ屋敷へと足を進めた。



p.2

 柳生一門の敷地内の一画に、ゴミ屋敷、と称される場所がある。そこには柳生敏木斎が集めた数々のがらくたが眠っているらしい。この屋敷の者はあまり気にもかけていないが。

「ちわーっ、敏木斎さん。廃品回収に来ました~」
「なんじゃお主か」
 屋根から身軽に降りてきた美桜を彼は不機嫌そうに見た。実は、これが初対面というわけではない。

「掘り出し物とかないですかねぇ」
「勝手に探すがいい。わしゃ、これから忙しいんじゃ」
「またまたぁ~。せっかく、若君、が頑張ってるんだから、大人しく見物してたらいかがですか?」
「そうもいかんのが世の常でなぁ」
「世知辛いですねぇ」
「世知辛いのぉ」
 二人でぶつぶつと言いながら、美桜はゴミ屋敷へ、敏木斎は母屋へと歩き出す。互いの距離が少し離れたその隙、ひょいとゴミの山から一枚の小皿を美桜は投げた。

「なんじゃ」
「必要なんでしょ」
 敏木斎は何も言わない。

「あんまり、孫馬鹿もすぎるとウザいですよ」
 何も言わずに彼が去った後で、美桜はまた息を吐いた。

「こんだけの山をどーしろっての」
 やらなければ始まらない。恩を売っておくためにも、とたすきを掛ける。まあ、格好をつけたところでどうにもならない作業なのだが。

 この荷物全体をうちの倉庫(敏木斎が借りた)に移動する大仕事。

(やっぱり、手伝ってもらったほうがよかったかなぁ)
 考えても後の祭りでなので、さくさくと荷物を箱に詰め始める美桜だった。

 小一時間も経とうという頃、一際盛大な合戦の音が聞こえる。

「…楽しそー…」
 だいたい自分だけが何でこんなことをしなければならないのか。少しぐらい、混ぜてくれてもいいのに。

「てか、混ざってもバレない? 万事おっけー?」
「もう終わったよ」
 きらりんと目を輝かせる美桜を落胆させる声は、もっと疲れ切っていた。振り返ってその姿を認める。ふらふらと近寄ってきて、美桜の膝にぱたりと倒れる。

「敏木斎さん」
「子供はすぐに成長しちまう。わしらがどれだけ大切にしてやっても、それは」
「それは当人にとって必ずしもそうとは限らない」
 彼の言葉を継ぎ、そっとその頭を撫でた。

「のぉ、美桜さん」
「そっとしておいてあげるのが一番ですよ。だって、敏木斎さんは自分の守りたいものを守っていただけでしょう?」
 ゆっくりとその目が閉じられる。

「あんたは何でもわかるのか?」
 ふるふると首を振る。

「ただ、人より…多く世界を見ただけだと思います。私には守るべき場所がないから、ふらふらと空を旅して、多くを見てきましたし、多くを経験しましたから」
 必要のない経験だって、あったかもしれない。知らなくていいことはきっといっぱいあった。でも、今はそれを知っているのが誇らしい。

「ねえ、私たちのように知っている者がいるのだから、すこしでも狭い彼らの世界へ道をつなげてあげましょうよ」
 美桜の膝に気持ちよさ気に頬を寄せる。

「あんた、九兵衛の力になってやってくれんか。わしらでは、」
「甘ったれないでください」
 優しく、だけれど厳しくつなげ、敏木斎を立ち上がらせる。

「追い詰めたのがあなたたちなら、解放してあげられるのもあなたたちだけですよ」
 そして、強く微笑む。

「ま、可愛い弟ですからね。たまには手を貸してあげないこともないですよ」
 敏木斎がいぶかしむ。

「あんた、」
「妹でもいいですよ。どんな格好が似合うかしら~」
 脱力した小さな男から手を離し、ゴミ屋敷の荷物詰めへと向き合う。あと少しで終わるだろう。

「最初から、全部知ってたのかぃ」
「何が」
「九兵衛のことよ。あの子が、」
「ああ、とても可愛いお孫さんですね」
 彼の言葉を遮り、楽しそうに言ってやったら、彼は照れくさそうに「へっ」とも「けっ」ともつかない擬音を発して、美桜の隣に立った。

「あーあ、こいつらともお別れか」
「快援隊で責任を持って処分させていただきますよ。もちろん、その際にちゃんと柳生を通して、ね」
「寂しくなるのぉ」
 とてとてと積み上げられた段ボールに近寄り、中の物が見えないのに語りかける。

「なにしてんですか?」
「ここに戻ってくるように呪いしてるのよ」
「あっはっはっ、そんなことしなくても、こちらで使えるようにしたものをここにおけるようにしたらいいだけじゃないですか」
 それから、はいと紙切れと鍵を渡す。

「そこが倉庫の場所ですから、弄りたかったらいつでもどうぞ。あと、鍵ね」
 本当は預けてはならない物のはずだった。ここの家の者にも言われている。だけど、これだけ大切にする人の物を持ち去ってしまうというのに無下にはできない。

「これからも定期的には回収に来ますけど、あんまり増やしすぎないでくださいね」
「ありがとうな、美桜さん」
「どうしたしましてー」
 ケラケラと笑いながら仕事に戻る美桜を敏木斎の他にも見ている者がいた。

「なんで美桜がここにいるの? 仕事でしばらく帰れねーっていってたじゃねぇか」
「これも仕事。怪我人はさっさと帰った~」
 振り返らずに、ひょいひょいと箱詰めしてゆく。

「仕事って、ここで?」
「そう。今回の取引相手はここの宗家様ですことよ~。あんまり楽だから、前宗家様の力仕事も引き受けちゃった」
 ぱたぱたとふたを閉じて、封をして、中身を書いて。

「美桜ー、私も手伝うネ」
「ああ、神楽ちゃんは手を怪我してるんだから、駄目だってばっ」
 近づいてくる神楽に制止の手を挙げる。

「こらこらこら、怪我人の手はいらないって言ったでしょ。今日はさっさと帰りなさい。ああ、それから」
 財布から万札を一枚取り出し、新八に握らせる。

「これでさ、今夜はお妙さんの好物並べてよ。私も日が暮れる前には帰れると思うからさ」
「あ、九兵衛も間違いなく呼びなさいよ。折角ここに来たのに、まだ全然会ってないし、どうやら会えそうもないしね」
 全員でぎょっとしなくてもいいでしょうに。

「知り合い?」
「なんか、惹かれるものがあるのよねーあの子」
 言ったとたんに銀時と土方が迫ってきた。

「待て待て待て。銀さん、そんなの認めないよ? だってお前女じゃん。あいつも女じゃん。また今回見たいのはゴメンだぜ」
「恋愛対象じゃないって」
「じゃあ、さっきのはどういう意味だ」
「弟とか妹とか、そんな感じ?」
「そんな可愛らしいもんか?」
「いやいや君たちわかってないよ。九兵衛が女の子の格好で、おにいちゃん、とか言ったところ想像してみなって。絶対可愛いからっ!」
 少し考えた二人が同じタイミングで頬を赤らめる。で、銀時。

「な、美桜」
 嫌な予感がして、少しだけ退く。が、すぐに自分で積んだ段ボールにぶつかってしまった。

「ちょっとおにいちゃんって言ってみ?」
「銀ちゃん、頭の中までクルクル天パになったの?」
「天パは関係ねぇだろ」
 ぐらぐらと上が揺れている気がする。てか、今マジでやばくないか。

「昔は言ってたじゃん」
「そうだっけ…?」
 ヤバイヤバイ。このまま怪我人を段ボールの下敷きにしてもいいものか。それ以前にここまでの私の苦労が水の泡になるのはどうか。

 ここは早めに降参しておいた方がいいかもしれない。

「ね、」
 上目遣いに見つめてみる。お、効果あり? …後ろはすごく期待しているところ悪いけど。

「ぎんにい、」
 かつての呼び名を舌に乗せる。

「先に帰って待ってて」
 ダメージを受けたのは銀時だけで、後ろでは怪訝な顔をしている。

「おま…それは反則だろ…っ」
「昔の呼び名でしょ?」
 グシャグシャと頭を掻いた銀時に睨まれる。言うとおりにしたのに、なんでそんなに怒ってるかな。

 それから、ぐいと私の頭毎引き寄せる。

「けーるぞ」
「私、仕事中」
「美桜さん」
「うるさい、総悟。今は取り込み中で、」
 近寄ってきた総悟が面白い提案をするから、するりと銀時の手を逃れた。聞いていた銀時が青い顔をする。

「だ、駄目だ駄目だ。おま、それは駄目だって!」
「えーいいじゃん。今回、土方も頑張ってたしー、の割にご褒美無いみたいだし?」
「俺にも後で頼みます。あ、ついでに近藤さんも」
「な、何だ?」
 楽しそうに近づいてきた美桜を前に、土方も近藤もひるんでいる。私と、きっと少し後ろにいる総悟もイイ笑顔だろう。

「おにぃちゃん、明日の式にはお邪魔するから」
 二人死亡。振り返り、総悟にVサインを返す。しかし、総悟は少し頬を赤らめ呆然としていた。

「明日の式って、近藤さんの?」
「ほほほ、猩猩星から依頼されたの。向こうの式はこっちとちょーっと違うから、入りような物があってね。昨日届けた所よ」
「ちょっと違う?」
「あの式は私は遠慮したいわね~。ま、近藤さんには頑張れって伝えておいて」
「美桜さん、それから旦那達にもその件でちっと相談があるんでさァ」
 困った顔で沖田から依頼を受けた万事屋は快く承諾し(食事が食べ放題だから)、美桜は少し考えてからパスした。

「私の役目じゃないから」
「さすがに美桜さんはメシで釣れやせんねィ」
「近藤さんに恩はあるけどねー。式ぶっ潰れても、坂本さんに迷惑かからないだろうけどねー。バブルス王女はいたく近藤さんを気に入ってるみたいだし」
「このまま近藤さんが連れていかれちまってもいいんですかィ?」
「少し困るけど、まあ、なんとかなるんじゃないかな?」
「美桜さんっ」
 焦った総悟の言葉を遮り、美桜はケータイを取り出す。どうやら、荷物を運び出す手はずが調ったらしい。

「人で数人こっちによこして。うん。もうまとめ終わったから」
 電話中の美桜の肩に、銀時が腕を回す。

「石段は流石に上れないっしょ。通してくれない? わかった、なんとかする」
 しかし、まったく気にせずに美桜は腕を振り払って歩き出した。

「な、もう仕事終わりだろ?」
「現在進行形でめっさ仕事してるだろーが」
「一緒に帰ろうぜー」
「神楽ちゃんをさっさと病院に」
 後ろで盛大に骨の鳴る音がした。振り返り、息を吐く。神楽が自力で直そうとして、さらに悪化させているのが目に入ったからだ。

「敏木斎さん、門開けてやって」
「私が行こう」
 母屋から少年が歩いてくる。だけど、美桜はそれが少女だと知っている。

「お久しぶりです、美桜さん」
「九兵衛はなかなか大きくならないな」
「家系です」
 きっぱりと言い切り、駆け出す者はどこかすっきりとした顔をしていた。前にあった時よりも数段、いい顔をしている。

「かーわいーいなーぁ」
「美桜、頼むからそっちの道に行くんじゃねぇぞー」
「そっちってどっち?」
「~~~っ」
 わかっていて返す私の頭をぐしゃぐしゃと撫でる銀時は複雑そうな顔をしている。俺の気も知らずに、てか。知っていても返す気はさらさらない。

「銀ちゃん、今日は仕事だけど」
 隣で唸っている男を横目に見ながら話す。

「明日、式場でね」
「え、でも、今、お前、」
「行かないとは言ってないよ。王女から招待されてるもん」
 ポケットから取り出したそれを見て近藤が大声を上げる。

「な、なー!?」
「お仕事ご苦労様って、いただいちゃった。行くのやめようかと思ってたんだけど、近藤さんが相手だっていうなら、お祝いしてあげないと。あ、ブーケも頼まれてたんだっけ。なんか、すっごい懇意になっちゃってさー」
「ま、ちょっと、美桜ー!?」
「そーゆーわけで」
 ひょいと、一歩先へ飛び越す。続いて歩いてきた銀時らがそこへつく。

「またね」
 短銃を手にした美桜がすかさず近くの木を撃つと、銀時たちを包み込む大きな網が出現した。

「な、美桜ー!?」
「お仕事あるから、またねー」
 彼女と入れ違うように救急車が入ってきて、銀時たちは強制的に詰め込まれて連れていかれた。

 残った美桜の隣に、最初に共に来た仲間が立つ。

「良かったんですか、一緒に帰らなくて」
「あの馬鹿どもは放っておくと病院にいかなそうな気がするからいいのよ。あ、仕事終わったら私も大江戸病院に行ってくるわ」
「…何も支払いまでしなくても…」
「いいのいいの。あいつらには返しきれない恩があるんだ」
「そう思うなら、普通に相手してあげたらいいじゃないですか」
「やーだ。そんなの恥ずかしいでしょ」
 ててて、と足音を立てて、階段を下りる。その姿を眩しそうに眺めているのをかすかに顧みて確認した美桜は、片手を振って合図した。

「わからなくて、いいんだ」
 知らせたいわけじゃない。恩を売りつけたいわけじゃない。ただ願うのは、そばにいることが許されている幸せだから。

あとがき

柳生編を見た直後で書いてたものを一応、まとめなおしました。
最後がねー。式まで書くかどうか。
気が向いたら続きを書くかもしれない。
関係ないけど「かもしれない運転でいけ」を見て以来、ヅラ寄りです。
ヅラに対しての主人公は白兎なので、そっちを書かないと。
(2008/09/26)