パラパラと葉に当たる滴の音を聞く。
隣の部屋から流れてくるギターの稚拙な演奏に思わず小さく音階を口づさんでいた。
不意に音が止む。
「弾いてていいのに」
言った直後に隣室との壁ごしに、彼は話しかけてきた。
「リクエストは?」
「恋のうた」
「…無茶いうな」
呆れた声を小さく笑う。
「じゃあこれは?」
小さく口づさんだ曲の後、しばらく反応はなかった。
「知らない?」
「…知ってるさ。けど、これは」
「弾けない?」
リクエストは、願いはたったひとつ。
Say You Love ME.
いつか聴かせてくれるだろうか。いつになったら伝えられるだろうか。
愛してる、と。