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書名:読切
章名:テーマ(500文字制限)

話名:テーマ「ショート」 - ショート


作:ひまうさ
公開日(更新日):2008.10.30
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:462 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚

テーマ「ショート」

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p.1

 明るい灯に目を凝らす。といっても陽は高いし、戸外は明るい。少し視線を外せば、池の鯉が斑の体をくゆらせていて、とても涼しそうだ。

「余裕だな、出来なきゃ飯抜きだぞ」
 男の忠告に慌てて、灯に向き直る。

 最後の鍛練は剣風で目前の灯を消さずに彼に一刀を当てることだ。もう一週間も続けているが、まるで出来る気がしない。

 俺の余りのふがいなさに、飯まで賭けられた。それでも、出来る気がしない。

「できそうか?」
 つぅっと首筋を汗が滑り落ちる。このままではまずい。

 俺が動こうとする前に、静かに男が言った。

「灯はテメェの護りたい女だ。向こうには女の背中を襲おうと狙う獣がいる。どうやって助ける?」
 かすかに吹いた風で灯が消えそうになった。



 思うより先に体が動き、風音さえ立てずに、それを斬っていた。



「…やりゃあできんじゃねェか」
 ニヤリと笑う男の左腕が、大きく切り裂かれている。

「灯は命と同じ、風は剣と同じよ。瞬く間に失う」
「失うものか」
 カラカラと去って行く男の背に強く言い返し、俺は護るべき主の下へ向かった。

 風が灯を凪いでいった。

あとがき

一投稿(五百字)制限で書いた話。
(2008/09/29)


公開
(2008/10/30)