ひたりひたりと滴が落ちる。ながれながれて川となる。
その河には紅い色がついている。
「運命なんて言って誰が最初っから負けてやるかっ」
構え直したベレッタからも雫は落ち続ける。肩口までの髪からは透明の滴が落ち続ける。
「私は、誰にも負けない! 誰も死なせやしないんだから…ッ」
言い様に放った三発の鉛は闇の向こうで断末の悲鳴を響かせた。
全身で息をする私の肩に手がかかる。
「もうやめろ」
「っ」
「もう、いいんだ」
振り向いた時に姿はなく、私は流れ落ちる透明を手の甲で拭った。