うちの会長はかなり人気のある人だ。やることは突拍子もないが、押さえるところは押さえているし、見た目も美人の部類に入る。
実家は剣術道場で、師範代として指導もしているらしい。その上、県内でも有数の進学校として名高いうちの学校で、入学時からずっとトップを独走している。
文武両道を絵に描いたような女性で和風美人。人気がないほうがおかしい。
そんな会長の頭にある日耳が付いていた。ウサギのような長い耳だ。
「会長、いくら自由な校風ったってそれはないでしょ」
彼女が不思議そうに首をかしげると耳も一緒に動く。
「それって?」
「頭の上のそれですよ」
「…かわいいでしょ?」
よくお似合いです、と仕方なく同意する。悲しいほどに良く似合っている。硬派な美人が犯罪的な可愛さを得てしまった。
「どうしたんですか、それ?」
「生えてきたに決まってるじゃない」
空は青いに決まっていると同じに断言されてしまった。自慢げにうさ耳もぴんと立っている。
「て、生えてるんですか?」
危ない。危うく聞き逃すところだった。
「朝起きたら生えてたの。イタタ…」
耳をつかみ引っ張ってみたが確かに取れないし、会長はひどく痛がっている。本物だ。
「痛いって言ってるでしょーっ」
「ぅ…っ」
鳩尾に的確に拳が入った。会長は俺を殴り飛ばした後で、耳をそっとさすっている。
「君、ウサギの耳はそうやってひっぱちゃいけないって、小学校で習ったでしょ」
「でも会長」
抗議しようとして直視し、失敗したと思った。いつもは硬派な美人だが、今日はうさ耳で可愛さが∞乗だ。涙目で耳をたれてて、めちゃめちゃ可愛い。
「みんな面白がって引っ張るから、腫れちゃったじゃないの」
「会長、朝からずっとそうやってたんですか?」
「こうなったら、新しい校則を申請するわよ」
ウサギの長い耳はただの飾りらしい。俺の話は一向に聞いてもらえる様子はない。
「ウサ耳を引っ張ったら、私の下僕になること!」
「やめてください、会長っ。みんな喜んじゃいますからっ」
今日も学校は平和だ。
ケータイSNSのサークルで「うさ耳」暴走したので、さらに暴走してみた。アホな話が書きたかっただけです。
…疲れていたんですよ。
友人に、「ハルヒ」みたいといわれた。そうかもしれない。
(2008/10/14)
公開
(2008/10/30)