夕陽がアスファルトを淡く照らす。そこへ伸びる長い長い影を踏みながら、一人で歩く。
たぶん、家に帰れば遅くなったことを怒られて、言い訳なんてしてもしなくても怒られて、食事をしてても遅いと文句を言われ、しまいにゃ風呂が長いと笑われて。
へらへら笑って過ごすにも限界がある。
「ここに私の居場所はないけど、生まれ変われるわけでもましてやトリップできるわけでもないし」
明日も頑張ろう、と今日も押し入れの二階で眠りに落ちた。なんでって、小柄な私にとって押し入れは丁度よいベッドだったからだ。
布団に入って数秒後、私はいつものように真っ暗な夢の中へ落ちていった。だからといって、眠っているときの夢なんて覚えていることはほとんどないのだが。
本当は特別何かができるわけじゃなくても良いから、普通の人と同じぐらいには何事も出来るようになりたい。特別じゃなくてもいいから、普通の人のように要領良くなりたい。
何をやっても他の人のようにできなくて。何をやっても他の人よりも遅くて。何をやっても、否定され続ける。そんな世界で生きるのは辛いけど、自分で死ぬことが出来ないぐらいには臆病だ。
どこかへ行きたいと願っても、現実から逃げられるわけもない。
そんなことを考えていたせいだろうか、こんな状況にあるのは。
▽2007/09/12 「やっと起きやがったかコノヤロウ」 gin20081210
▽2007/10/03 「…痛い…?」 gin20081211
▽2007/10/10 「神楽ちゃーん。これ、どこの子?」 gin20081212
私は私の世界が欲しかった(土方の場合) - 1#醒めない夢
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