はーさん>> その他読切>> 面倒

書名:はーさん
章名:その他読切

話名:面倒


作:ひまうさ
公開日(更新日):2009.2.13
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:486 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚
テーマ「面」


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p.1

 意識までもっていきそうな抜ける蒼に手を翳す。そこを無粋に横切る白雲を見て、私はそのまま手を下げた。緑の木々と涼しげな石庭が目の前に広がる。

 辺りは蝉の合唱と湿気で余計に暑さがいや増す。

「だるー」
 じっとりと肌に吸い付く浴衣の中に風を入れても全然足りない。夕暮れに夕立でも降れば、少しは和らぐかもしれないが、今蒸し暑いというほうが問題だ。

 ぐったりと縁側に倒れると、木の床はひんやりと少しの冷たさを伝えてくれた。

「今日はおやすみー」
「またそーゆーことを…」
「こんな日に相談なんか受けてらんないよ」
「お・し・ご・と・ですっ」
「め・ん・ど・う・ですっ」
 区切って強調する小間使いの幼女にきっぱりと言い返すと、彼女の頬がぷくりと膨らんだ。そのまま彼女が踵を返す音と共に涼しげな音色が響いて、慌てて起き上がる。

「え、そのフロートはっ?」
「お仕事しない人にはあげませんっ」
 無情に遠ざかる冷たい飲み物を少しだけ目線で追いかけたけど、蝉の声がことさらに大きく聞こえて、ぐったりと私はまた縁側に倒れた。

「追いかけるのも面倒ー」
 夏は暑いものだし好きだけど、たまには手加減して欲しい。

あとがき

 面、で最初に浮かんでたのがはーさんて。しかも「面倒」て。
 なにかこう人格を疑われそうなネタ。
 面倒事は好きじゃないけどちゃんとやりますよ、はい。
(2009/02/08)