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書名:うさぎ関連小話&小ネタ
章名:うさ耳会長

話名:うさ耳会長 - 11) ウェディング


作:ひまうさ
公開日(更新日):2009.11.6
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:1114 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚
デフォルト名:/静葉
1)
ごっちさんへ

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p.1

 木製のドアを軽くノックすると、室内からは「どうぞ」と軽い応答が返ってくる。俺は中学生みたいに高鳴る鼓動を押さえつけ、深く深く息を吸って、ゆっくりと吐き出す。

 なんでこのドアを開けるだけにこんなに緊張しているかというと、この向こうには俺の彼女がいるからだ。別に彼女が世界一可愛いのは当たり前で、それだけで緊張しているわけじゃない。だって、この向こうにいる彼女と俺は今日結婚するのだから。

 ドアの向こうには既に花嫁衣裳ーーウェディングドレスに着替えた彼女がいて、たぶん俺が来るのを待っていてくれるはず。待たせて機嫌を損ねた彼女を見たい気もするけれど、やはり最高に綺麗な彼女の笑顔を一番に見たい。

 よし、と気合を入れなおして掴もうとしたドアの取っ手が、その位置をずらした。

「静葉さん、何してるの?」
 ドアの向こうから鈴鳴るような声が聞こえて、彼女が姿を現す前に、俺は慌てて部屋へと入った。いくらなんでも廊下なんて誰が来るかわからない場所に、今の彼女をさらすわけにはいかない。

「何?何?」
 肩を掴んで彼女を部屋に押し戻すと、目の前ではいつものように二本のぴんとたった、白くてふわふわした毛に覆われた細長いーーウサギの耳が目に入る。ヴェールはその下で静かに揺れて、普段よりいっそうウサギ耳と彼女は同化しているみたいだ。

 手が触れる肩は隔てる布もなく、しっとりとして滑らかな感触を伝えてくる。普段は露わにしない項もアップにした髪のおかげでよく見える。俺を振り返る彼女の笑顔を正面に収めるために、俺はゆっくりと手を動かし、彼女を百八十度回転させる。

 小さな風に煽られるようにウサギ耳が揺れ、彼女の胸元では小さな虹が光り輝く。細身で小さな彼女を飾るのは白のレースで出来た純白のウェディングドレスだ。回転にあわせて、ふわりと広がるドレスの裾を両手で摘んでいるのは、それだけ動きにくいということだろう。

 完全にこちらに向き直った彼女は小さく右に首を傾ける。普段の薄化粧よりは濃い目だが、控えめに引かれた赤いルージュは瑞々しい光を放っている。まるで俺に食べられるのを待っている白雪姫の林檎のようにーー。

「だめよ、静葉さん」
 急に口を抑えられて見下ろすと、少しだけウサギ耳を伏せた彼女が顔を赤らめて笑ってた。

「せっかく静葉さんのために、綺麗にお化粧したのに落ちちゃう」
 一瞬、それもいいなと考えかけたが、こんなに幸せいっぱいの彼女の笑顔も曇らせるなどという暴挙、俺にはできない。大人しく、その耳元まで身体を屈め、囁く。

「じゃあ、式の後ならいいか?」
 俺の愛しいウサギ耳の彼女は、ぴんと耳を立たせてから、相好をふにゃりと崩して、俺だけに優しく微笑んだ。

あとがき

 女性向け夢はよくかいたし、二次創作夢はよく書いたけど。自分の小説で、しかも男性向けドリームとか、ハードル高っ!


 ごっちさんのみ転載可です。
 名前はオリキャラから静葉くんをデフォルトにしました。何故かというと、和名キャラで、たぶん一番不幸だから!(え


 久々に書くドリームがまさか自分のオリジナルの二次になるとは思いませんでした。リクエストでいただいた冗談みたいな話を、書いてみました。
 やばいわ、私疲れてるのかな。何なんでしょうか、この激甘。書いててもやばいと思ったけど、読み直したら尋常でない甘さだ。
(2009/11/06)