目が覚めると側に誰かがいる。それが当たり前になるのはとても問題ではないだろうか。
「Good Morning, honey」
「……ほあぁぁ……、おはよ」
大口開けて欠伸をする私を見ながら、伊達は柔らかく笑う。それこそ、妹でも見る目なのだと思っていたのだが。
「ハニィって、どういう意味?」
「Ah?そうだな……」
あ、これはからかう時の目だ。
「アンタとか、そういうのと同じだ」
「嘘!絶対、別な意味があるでしょ」
伊達は小さく舌打ちする。
「勘が良くなったな」
「そんだけ、藤次郎が私をからかうからでしょ」
あれから、私は最初に出会ったときのようなぶっきらぼうな言葉でも、片倉と話すような丁寧な言葉でもなく、里にいたときのような幼い物言いが増えてしまった。それというのも、伊達や他の者達が私を子供扱いするからだ。
「Umm…… cleverになったな、葉桜」
意味はわからなくても、子供扱いしているのはわかる。
「そうやって、子供扱いして!」
「大人として扱ってほしいのか?」
そういうと、急に伊達は私を抱き寄せた。ちゅっ、と音を立ててこめかみに唇をよせ、それから額、まぶたの上、頬、と降りてきて。
「ちょ、ちょっと、どこ触って……っ」
接吻に気を取られている間に、下から掬い上げるように私の胸を撫で回して、むにむにと揉み始める。
「大人として、扱って欲しいんだろ?」
唇の端をぺろりと舐められ、足に固いものが押し付けられて、一気に顔が熱くなる。
「あ……うあ……こ、子供で、いい、です……っ」
強弱をつけて胸を揉まれて、形が変えられると気持いいような擽ったいような、変な気分になる。
「
耳元で囁かれると、ぞくりと身体中が痺れるようだ。
「ん……やぁ……っ」
私の眦を生理的な涙が流れ落ちると、伊達はそれを舐めとって、ようやくやめてくれた。
「Sorry, 急ぎ過ぎたな」
「藤次郎の馬鹿ぁ」
「OK,OK.後で、葉桜の好きなもの買ってやるから、機嫌直せ」
ただ抱きしめて、ぽんぽん、とリズムよく叩いてくれる伊達に、先ほどされたことも忘れて安堵した私はそのまま眠ってしまったのだった。
あれから時々だけどこうされるのは気持よくて、でも、その先が怖い。だから、ごめん、と私は小さく小さく、伊達の広い胸の中でつぶやいた。
腕の中で眠る葉桜を見ながら、俺は複雑な気分だった。葉桜が本当の意味で俺を頼ってくれるようになってから、彼女の身体は思い出したように成長を始めていた。胸も年頃に膨らみ、身体全体が丸みを帯びていて、腰つきもなかなか女らしくなっている。
あの日から「一人にしない」という約束どおりに毎晩同衾しているが、最初のうちはともかく、いいかげんに手を出さないのは限界になってきている。俺だって、健康な男子であるわけだし、好み通りに育った女が腕の中にいるわけで。どうしてこんな拷問を受けねばならないのかと思いつつも、やはり逃げずに腕の中にいてくれるのは嬉しい訳で。
たぶん初めて葉桜の舞う姿を見た時から俺は虜になっていたのだろう。それに気づかずに同衾したのも悪かったのだ。俺を親兄弟のように慕ってくれるのは嬉しいが、そこから先の一歩がいまいち踏み込めなくなってしまった。
今日はせっかく「大人扱いしてほしい」というから、調子にのって触っていたが、やはり見た目の成長はともかく、中身はまだまだ子どものままだ。勢いに任せて嫌われてしまうのも困る。
「
願いを舌に乗せ、眠っている腕の中の愛らしい少女へくちづけると、葉桜は幸せそうに笑ったようだった。
手を出せばいいのに。
へたれな筆頭をお届けしました。
筆頭視点で書いたのは初めてだけど、キャラつかめてないので微妙だ……ごめんなさい!
(2011/07/16)
公開
(2011/07/18)