GS>> GS3@桜井兄弟 - I Still..>> 02. Girls Talk

書名:GS
章名:GS3@桜井兄弟 - I Still..

話名:02. Girls Talk


作:ひまうさ
公開日(更新日):2013.2.19
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:2611 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 2 枚
デフォルト名:荒川/美咲
1)
夢と言いつつ、変換がないっていう。
しかも女の子しか出てこない(笑)

前話「01. Before the entrance ceremony」へ p.1 へ あとがきへ 次話「03. Part-time job interview」へ

<< GS<< GS3@桜井兄弟 - I Still..<< 02. Girls Talk

p.1

 入学してすぐ、私にはちょっと変わった友人ができた。花椿カレンさんと宇賀神みよさん。カレンさんはボーイッシュでかっこいい女の子で、みよさんは占い好きの女の子。これがよく当たることで有名らしい。

 そして、入学以来、私は幼馴染みだと言った男の子たちと会うことはなかった。(いや、一度だけ、寝坊した私は禁止されているはずのバイクで通学する二人と行き合った。でも、二人とも非常なことにそのまま私を置いていってしまったので。)すれちがうこともない。それを不思議に思わなかったのは、やっぱり新しい環境に慣れることと、勉強に追いつくのに必死だったからかもしれない。はば学の授業は思っていたよりも進捗が早くて、おかげで一学期に期末は散々だった。補習受けたのなんて初めてだったよ。

 ていうか、ここのシステム鬼だよ、鬼。なんで学年の全順位貼りだすのさ! おかげで、全校生徒に私の赤点がまるわかりだし。はぁ。……あの琉夏君も赤点なし、琥一君も赤点一ぐらいなのに、なんで私は赤点三なの。へこむわー。

「バンビ」
「うぅ、みよさん~」
「応援してる」
「応援だけじゃなく、知恵を、知恵を授けて~っ」
「くすっ、バンビなら、大丈夫」
 泣きつこうとしたけれど、みよさんは謎めいた苦笑を残して去っていってしまった。みよさんは試験問題の占いはしないひとなのだ。けっこう頭も良くて、五〇位前後を常にキープ、らしい。

 夏休み中はもう勉強漬けでしたよ!と、言いたいところだけど、カレンさんやみよさんに誘われると断れなくて、私たちはよく遊んだと思う。そうそう、カレンさんて一人暮らしなの。セキュリティ完備のデザインマンションに一人ってのもだけど、中がさ、さすがって思わず口に出しちゃうほど洗練されてて、隙がないっていうか! クーラー効いてて涼しいっていうか!!

「バンビ、そこの問い、間違えてる」
「え、どこどこ?」
「ミヨ~、そろそろ休憩しよ~」
 三人で広いダイニングのテーブルに宿題を広げている姿は、もうこの夏の定番だ。ちなみにプールも行ったし、海も行ったし、遊園地も行ったし、水族館も、カラオケも行ったし。……全部はばちゃに載ってたデートコースだよ。しかも、行く先々でカレンさんとみよさんはナンパされまくりだし。私なんて、空気だよ、空気!

「はぁ~」
「……休憩」
「よっしゃ! じゃあ、紅茶淹れなおしてくるね~」
 本日は夏休み最終日の前日。三人で、仲良く宿題をやってるわけで。まあ、主に私とカレンさんがみよさんにノートを写させてもらうんだけどね。交換条件が、幼馴染みの情報ってのは、みよさんらしいっていうか。

 カレンさんが用意してくれたアイスティは喫茶店なんか目じゃないぐらいマジウマの一級品だ。こういうとき、カレンさんてお嬢様なのかなと思う。値段とかしらないけど、これ絶対高そうだし。

 ちなみに、カレンさんがお嬢様かどうかは詳しく聞いたことはないけど、はば学内に親衛隊がいるのは見た。

「夏が終わるねぇ」
「遊んだねぇ」
 私とカレンさんの呟きを、みよさんが真顔で見つめる。遊び過ぎで、宿題を溜めてた私たちに対する抗議ですか、みよさん。怖いよ!

「バンビ」
「はいはい、えーっと、どこまで話したっけ? てか、今の情報ならみよさんのが詳しいと思うよ」
 宿題を写させてもらう代わりに、こうして宿題の合間に私は二人に思い出話をする。これも、なんだか定番だ。

「いい。もっとバンビの小さい頃の話聞きたい」
「えー、私はみよさんとカレンさんの話のが……」
「宿題」
「えーっと、うん、引越するのが決まった後からだっけ?」
「そう」
 思い出しながら、私の脳裏には入学式の前日の夜に見た夢の声が響いていた。二人と再会してからも一度だけ見たその夢は、嫌になる程鮮明に思い浮かぶ。

「じゃあ、もう、ここへは来られない?」
 そう言ったのはコウ君で、睨んでいるのが泣くのを堪えてるからだってわかっていたから、私は必死で泣くのを我慢してた。

「うん、遠くに行っちゃうから」
 だけど、堪えるのも上手くいかなくて、結局私は二人の前で俯いて、ボロボロと泣いてしまって。

「自分だけ、ここに残ればいいよ! そうしなよ!」
「無理だよ」
 子供だけで生活できないことは、三人ともわかっていたけど、コウ君がそんなことを言ってくれたのが嬉しかった。一緒に、そうだ、私はあのまま一緒に三人でいたかった。

「バンビ、大丈夫?」
 気がつくと、みよさんとカレンさんの二人が気づかうように私を見ていて、私はかすかに潤んだ瞳を瞬きで誤魔化して笑った。

「えへへ、ちょっと思い出してしんみりしちゃった。あーあの頃は二人とも可愛かったのに、なんであんな風に育っちゃったんだろ」
 少しの間の後で、まずカレンさんが腕を伸ばしてきて、私をみよさんにするみたいに抱きしめた。

「バンビ、可愛いっ!」
 それから、みよさんが私の頭を優しく撫でてくれた。

「大丈夫。全部、うまくいくから」
「……カレンさん、みよさん? 二人とも、何、どうしたの?」
 私が混乱している間に二人はなにやら目配せしていて。

「こうなったら、アタシは全面的にバンビを応援しちゃう!」
「バンビ、なにか知りたくなったら、必ず相談して」
「そういえば、ミヨ……」
 そして、今度は二人で私に背を向けて、小声で何かを話し合っている。悪巧みっていうか、そんな感じ。でも、こうしていても絵になるなぁ、この二人。

「カレンさんもみよさんもかわいいなぁ」
 こういう子たちだったら、コウ君やルカ君も……って、違う違う。何考えてるの、私。

「バンビははばたきネット見てる?」
「うん」
「じゃあさ、これからは毎週ちゃんとチェックすること。あと、ちゃんと流行とか気をつけて、ファッションチェックして、毎週アタシとデートすることっ」
「ふふっ、いーよ、みよさんも一緒に遊ぼー」
 私がへらりと笑うと、何故かふたりとも生暖かい目で私を見つめてくる。なんでだろう。でも、どんな顔しても可愛いって、お得だなぁ。

「……カレン」
「うん、わかってる。でも、今はこれでいいんだよ。バンビだもん」
「そうね」
「ふふ」
「ふふふ」
「どこに遊びに行こっか。あ、でも、ここで三人でまったりってのもいいなぁ。毎日来てもいい、カレンさん?」
「いっそのこと、バンビもミヨも住んじゃう?」
「いいね~」
 そんな風に過ごす夏の終わりは、初めての高校生の夏としては、私には十分なものだった。

あとがき

なんとなく続き。
1学期は魅力上げで成績不振。
さりげなく大迫フラグを立ててみる(え。
終りが見えてないのですが、とりあえず公開(まてぃ)。
(2013/02/19)