日付が変わる一分前、私は通話ボタンを押した。数回の呼び出しコールの後。
「いてて…」
軽い痛みを訴えた彼の声に、慌てる。
「大丈夫ですか?」
「ちょっと爪先ぶつけただけだし、平気だ。で、どうした、こんな時間に」
いつもはこんな時間に電話をかけないから、慌てさせてしまったことに少し罪悪感が滲む。
「その、ちょっと声、聞きたくて」
向こう側から返される前に、言葉をつなぐ。
「だめでしたよね、平日ですし、明日も小次郎さんは朝早い…」
苦い笑いで誤魔化そうとした私の声を落ち着いた声が遮る。
「ダメじゃねぇよ。ダメなわけない。他でもないお前の電話だ。嬉しいに決まってる。ーーありがとな」
落ち着いた彼の声に、ホッと安堵の息が溢れる。
「…本当は会いに行けたら良かったんですけど」
お互いの生活はまだ始まったばかりで、頻繁に会いに行く余裕はない。だから、電話だけでもと思ったのだが、思った以上に声を聞いたら私のほうが会いたくなってしまった。
「そっちの生活はもう慣れたのか?」
「ええ、まあ…」
「さすが俺の真面目ちゃんだ」
柔らかく優しい彼の声に、ぎゅっと胸が締め付けられる。今すぐ会いに行きたいけれど、何もかもを放り出してしまう私では彼の隣に立てない。だから、今はこれだけ。
「小次郎さん」
「なんだ?」
時計の針が丁度深夜零時になった。
「誕生日おめでとうございます。大好きです」
「一番最初に言いたくて、こんな時間に電話しちゃいました」
「私、小次郎さんに出会えてよかった」
「あなたを好きになって良かったです」
「これから先もずーっと一緒にいてくださいね」
一気に言祝ぎ、締めの言葉を紡ぐ。
「おやすみなさい、小次郎さん」
そのまま通話を終了しようとしたら、慌てた声が飛んできた。
「待て待て待て、切るなよ!?」
どうやら、照れ隠しに切ろうとしたのはバレていたらしい。
「あー…まずは、ありがとな。こんな嬉しい誕生日プレゼントは初めてだ」
「プレゼントは別に送ってあります」
「流石だな。ともかく、だ。誕生日って言うなら、もう一つだけ、いいか」
それから、伝えられた願いに、嬉しくて泣きそうになったのは私の方だ。
ーー今度の週末、会いに行く。デートしようぜ。
ーーはい!
支部で先に公開して、本サイトに置き忘れてた(おい
先生BD記念SS。
お仕事中の妄想らくがきを形にしたもの。
ホントは電話えってぃな感じにするつもりだったけど、影も形もない。
なぜなら、たぶんそこまで先生にはまっていないから?
ちょっとキャラブレブレで申し訳ない感じ。
たぶん若の担任が事件起こしたりしなければ、先生にもはまれたかも?
それとも、年・・・かな・・・・・・・
読了ありがとうございました。
2022.05.25というか26 ひまうさ