足音が聞えてきて、目を上げるとそこにはいつも彼がいる。
ほの暗い本棚の間をひとつずつ覗いて、そうして、私を見つけて、走り出そうとした足を止めた瞬間だけ、キュッと音がなって。平静を装って、ゆっくりと歩いてくる人。ゆっくりと歩いてるけど、誰が来てるかなんて、バレバレよ。
「ミヤマさん」
「なんですか、ルーピン君」
本当は、にっこりと微笑んで彼を見て、「なあに?」とか可愛らしく返したいけど、なかなか思うようにいかないのがまずこういう時だ。固い口調で返して、下から見上げると、視力の悪さも手伝って、つい睨んでしまうカタチに出来あがる。
我ながら可愛くない。
「今日はなんの本を読んでるんだい?」
それでも怒ったりせずにニコニコと笑顔で寄ってきてくれるのは、彼が最初だった。無愛想とか、怖いとか、そんなことしか言われたことなんてなかったから、それがとても新鮮で、いっぺんに好きになってしまった。
我ながら単純。
でもそれ以上自分が浮かれないように、自分で留めを指してしまう。
「で、今日は何の本を探しに来たのかな?」
パタンと本を閉じると即座に羊皮紙の切れ端を出された。そこには本日彼が出されたのであろう課題が記されている。そこに書いてあるのは大抵二つ。ひとつでも毎日彼はやってくる。
彼がどうして私を探すかなんて、分かりきっている。要は、課題に必要な本を探して欲しいということなのだ。その紙を受け取って目を通すとすぐに必要な本の題名も装丁も浮かび上がってくる。そのぐらい私がこのホグワーツの図書室に入り浸っているという証拠でもある。
彼の隣をすり抜ける時、かすかに香るチョコレート臭。…そんな香水あったかな。ないか。ないよね。うん。
途中で脚立を見つけて、それも抱えて歩く。
「持とうか?」
「いい」
親切に言ってくれてもとっさに出てくるのは冷たく堅い返事ばかり。愛想なんてものは、きっと生まれてくる時に母の中へ置いてきてしまったのかもしれない。
目的の奥の書棚についてから、脚立を置いて、その上に登る。普通の女の子ならきっとスカートがどうとか恥ずかしがって出来ないかもしれないけど、私はこれがあると知っているから男子の制服を来ている。別に来てくれるのを期待してというわけではない。単純に図書室に来る奴らがよく私に本を探してくれと頼むからだ。髪も一本に結わえているので一見男に見えるらしく、訊ねてくる男女の比率は半々だ。
「また魔法薬学で失敗したのか?」
「そんなところ」
「だったら、この本がいい。書くものはあるか?」
「うん、ここに」
「367頁の…」
こうして教えてあげるのが果たしていいことなのか分からないけれど、ついヒントを与えたくなってしまう性分なのだ。
「いつもありがとう、ミヤマさん」
「後は、防衛術か」
「うん」
脚立を降りて、また抱えあげる。運びなれたそれは大した苦にはならない。けれど、彼の前を歩くのはいつまでたっても慣れない。
もっともこんな動揺が少しも面に出ないから、彼も安心して頼ってくるのだろう。
魔法悪戯仕掛人と称して、校内を騒がせているらしいけど、彼はいつも一歩の距離を崩さない。そして、私も。
二人にとって丁度良い距離がこのぐらいなのだろうなと、心が綻んだ。
(リーマス視点)
前を歩く髪が揺れる。男子の制服をつけて、髪を一本にきっちりと結わえて、そうしている姿はどうみても男だという人がいたけど、この目の前を毅然と歩く姿は、どうみても僕には可愛らしい女の子にしか思えない。何度会っても、何度話してもそうだ。
レイブンクローのネクタイをきっちりと止めて、白いシャツに素肌が淡く透ける。彼女は気がついていないのだろうけど、大抵の男はそんな君を見るために、そんな君と話すために本探しを頼んでいるんだ。もちろん、僕も例に漏れず。
「防衛術でこんな範囲までやったかな…」
脚立を立てかけながら、いつものように上の段を眺める。それがとても綺麗だと思う。魔法の光を受けている彼女は、とても神秘的だ。
「君はどの学年でどこの範囲を習うかまで知ってるって本当?」
「自然に覚えただけよ」
なんでもないことのように言う。彼女はどこまでも本に詳しく、どれだけの術が使えるのかも計り知れない。
これだけの魅力ある彼女に近づくものは多いけど、彼女に触れるものは少ない。それは彼女の持つ特有の空気の檻みたいで、触れようとしても壁が、とても聖なる力をもって彼女を護っている。
「これと…これも役に立つと思う」
彼女が急に振り向いたので驚いた。まさか触れたいと思っていると気がついたのだろうか。
伸ばした手の先で、彼女が本を上げる。ギリギリ届かない位置まで。
「課題というのは嘘」
きっぱりとした口調で、僕を見下ろしている。
「そして、これはいつもの悪戯ではない」
これもまたきっぱりと言い切る。
「ミヤマさん?」
取った本を棚に戻し、脚立に座り込んだまま僕を見下ろしている。睨まれているのに、そんな気がしない。とても優しい目を見ているのだとわかる。とても純粋な目をしている。
「何をする気だ?」
彼女は教師ではない。親でもないし、友達だと思ってもくれていないだろう。本を探してくれと頼みに来る、ただの同級生のはずだ。なのに、どうしてそんな目で僕を。
「さっさと寮へ帰って、ポッター君やブラック君にでも聞くんだな。せめて」
ふっと口の端が上がる。笑って、る。
「その魔法薬学のレポートを終らせて来い。次の課題が出るまでの時間だけ、これは教えてやれる」
腕を上げて、杖を振り上げる真似をする。ないはずの彼女の杖がそこにあるかのように見えて、僕は一歩退いた。確認して、ぱっとその手を広げて見せた。光が瞬くように、目の前が弾ける。
彼女がこのホグワーツの図書室以外の場所にいるということ以上に、実践に秀でているとは聞いたことはない。もちろん、本探しはマダム・ピンスより頼りになると評判だ。だが、闇の魔術に対する防衛術は本を読んだくらいで身につくものではない。それこそ実戦こそが役に立つもののはずだろう。どれだけ読んでも、決して扱えるものではーー。
「さっさと終らせて来い。待ってる」
普段、こんなに楽しそうな彼女をみたことがあっただろうか。それは、もちろん、誰もないに決まっている。
脚立を降りて、楽しそうに行ってしまうまで、僕は彼女から目が離せなかった。普段からあまり表情の変わらない彼女が、こんなに楽しそうにしている姿を見られるのがうれしくて、僕は本を握り締める。
急いで課題をやろう。終ったら、ジェームズとシリウスに気がつかれないように、彼女と。
「こら、廊下は走らない!!」
本を抱えて寮へ戻る途中、マクゴナガル先生に見つかったけど、それどころじゃない。早く、早くしなきゃ!!
「ジェームズ、魔法薬学手伝って!!」
ドアを開けると同時に叫ぶと、ベッドに寝ていたシリウスが飛び起きた。
「な、なんだぁ?」
ジェームズは本から顔を上げて、微笑んでいる。
「いいよ」
そのときはとても嬉しくてそれどころじゃなかったから、ジェームズがどうして微笑んでいるのかなんて気にならなかった。
(シリウス視点)
急にレポートを頑張り出す友人に、シリウスは普通にいぶかしんでいた。何がなんでも今日終わらせると言って聞かないのだ。まだ提出まで一週間はあるから大丈夫だと言っていたのは、今日この部屋を出るまでのリーマスだというのに。
「なー」
「そうじゃない、ここはマンドレイクの…」
「さっき先に忘れ草って…」
何の薬だ、何の。
急にやる気だして、一体何だっていうんだ。
「つっまんねー」
「「フィルチに悪戯でもしてこれば」」
こっちを見もせずに二人は声を揃えている。てか、ひとりでやってもつまんねーだろーが。
杖を装備し、マントを引っ掛けて部屋を出る。相手してくれないわ、目が覚めちまってるわで機嫌もよくない。誰か暇つぶしであいてしてくれねーかなと、ホグワーツ内を歩き回る。
「ぶ、ブラック先輩、あああの」
何度か呼びとめられ、何度か告白され、だんだんそれも面倒になって、ふらりと図書室に立ち寄る。別に勉強する気はないが、ここなら、ひとりで放って置いてくれる確率が高い。
窓際のテーブルに陣取り、机に両腕を置いて、その上に自分の頭を乗せる。やることもないし、あとは寝るぐらいしか。
「…用はもう済んだはずだ」
「返事を聞いていないといっている。照れる必要はない。お前が私に気があるという報せは届いているのだから」
聞き覚えのあるとんでもない自信過剰な声は、スリザリンのなんとかいう上級生だ。相手をしてやっているのは、誰だ。あんなもん適当に放っておけば良いのに。
「誰がそんな出任せを言ったのか知らないが、ひとりひとりの名前を覚えるほど暇ではない。つまり、私は別にお前の名前さえも知らん。用は済んだのだから、さっさとそこをどけ」
言葉の端々に深い怒りの刃が突き刺さっている。自分が言われるとかなり、痛い。顔も名前も知られてると自負しているだけに、痛い。
「リサ…」
「親しく名前を呼び合うほどの仲ではない。勝手に呼ぶな」
関係ないが、彼女の実家は日本でもかなり雪の多い地域らしい。そんな場所で育つと声まで冷たくなるのだろうか。
大きな音と本の落ちる音がする。
「…威勢が良いな…」
「それはどー…もっ」
本棚が揺れる音と、苦しげな呻き声。しかし、それは男の声であって、女の声ではない。
「まだやる気なら、『決闘』してやってもいいぞ」
それまでの静けさが嘘のような、挑発的な声が聞えて。直後、本棚の間から転がるように男が出てきた。鳩尾を食らわされたのだろう。苦しげに腹を押さえながら、急いで図書室を出ていった。俺には眠ったフリしてたから、気づかなかったんだろう。
情けねぇ。女に負けてやんの。スリザリンもたいしたことねぇな。
彼の出てきた本棚の奥からは、もう他の音はない。カチャリと、脚立を揺らす金属音があったあたり、おそらく先ほどの彼女はまだいるに違いない。そこにいるのは本人は表に出さないが、レイブンクローで一番の実力者と噂される少女のはずだ。
視線もいい加減うざいし、ちょっとしたひまつぶしで椅子を立った。
「今日は何の本…」
ローブを着けていない白いシャツが剥き出しの細い肩に、一本に結わえた黒髪が揺れる。振りかえった表情はいつもどおり堅く、笑い方など忘れてしまったかのように眉を顰める。何事もなかったように普通にしている。が、隠そうとしても不機嫌は隠しようもないらしい。俺がこいつと会うのはいつもこんな状況だ。
「何しにきた。ブラック君」
「見物」
平然と返すと、ますます眉が顰められた。彼女は顔が悪いわけじゃない。ただ、笑わないだけ。本以外の何事にも無関心で無表情。ただそれだけのことだ。逆にいえば、笑わないことで返って、学生達の興味を買っているともいう。黄色人種という割に肌は白く、男子生徒の制服を着ているため中性的で、しかしその細い肩は紛れようもなく女性でもあって。さまざまな要因を経て、男女ともにファンが多い。
「もう終ったぞ」
「知ってる。いつもながらすげーな、あんた。あれ、スリザリンの上級生じゃないのか?」
「知らん」
そっけない言葉は俺に向かって放たれたのだろうが、その視線は既に手元の本に移っているようだ。
「たまに本を探してやったが、それだけだ。…スリザリンだったか?」
視線が宙を移動する。どうやら思い出そうとしているらしい。が、本当に相手の顔さえ満足にみていないようだ。
「はは…」
「図書室で騒ぐな。迷惑だ」
笑い出そうとしたところを視線で射抜かれ、即座に収められた。何かを彷彿とさせる強い視線。足が竦んだように、一歩も動くことも出来なければ、呼吸さえも止まってしまいそうだ。
「ルーピン君は、どうしてる?」
「あいつなら急にやる気出して、苦手なレポートやってるよ」
空気が和らいだ。氷に閉ざされた世界に春の息吹を吹き込むように、それまでの射る視線が優しくなる。俺が見たのはほんの一瞬だったけど、空気だけは実に楽しそうに変化したままだ。
「…なんで、そんなこと…?」
彼女はもうこちらに全然意識を払っていない。本を読んで微笑んでいる。人間には決して見せないが、本を読んでいる最中はよく笑うのか。
答えてくれそうもないので、俺は図書室を後にした。
翌日の早朝。日もまだ入りこんでいない図書室にリーマスは駆け込んでいた。だれより早く、彼女に会いたかった気持ちに嘘はない。それと半分は早く来て驚かそうと思っただけだ。常に図書室にいる彼女が何時に来て何時に帰っているのか知っている者はいないが、朝食前にふと立ち寄ってもいるらしいとは聞いたことがある。
「…早いな、リーマス君」
いつもの場所で、いつもの脚立の上で、彼女はあのときと同じ微笑を浮かべている。
「何時からいるの?」
「さぁな。それよりレポートはもう終ったのか」
「うん」
「では、行くか」
脚立を降りて、それを畳んで壁に立てかける。その行動は極力、音を立てないように細心の注意を払われている。そして、貸出カウンターに一度入り、ローブを肩に掛けて戻ってくる。
スタスタと図書室を出て行ってしまう彼女を慌てて追いかける。図書室から動かない彼女がこうもあっさりと出るとは思わなかったので、内心かなり驚いていた。本棚の間を歩いていた時と変わらず、彼女は真っ直ぐに綺麗な姿勢で歩く。背中で揺れる髪は今日もまっすぐで、一糸の乱れもない。
「行くって、どこに? 朝食は?」
「なんだ、食べていないのか」
不思議そうに返される。朝とはいえ、まだホグワーツ城は眠っている時間だ。なんて当たり前のことを。
「ミヤマさんは食べたの?」
返ってきたのは、朝食は食べない主義なんだとあっさり返された。
「放課後にするか?」
僕を気遣う心配そうな声。先ほどまでの楽しそうな笑顔も消えている。
「ぼ、僕も朝食は…」
彼女といられる時間と朝食と、どちらが大切か。どちらも大切だけど、今は彼女の関心が僕から離れる前に繋ぎとめておきたい。
その願いは自分の空腹の音にあっさりと邪魔されてしまった。
「無理はしないほうが良いぞ。空腹では集中力も途切れやすい。集中をかいた呪文など、本来の十分の一の威力も出ないだろう」
スピードをちっとも落とさずに歩く彼女は、すぐに廊下の角を曲がってしまう。ローブの裾がかろうじて見えるのを、小走りに追いかける。
そこはもう大広間で。
「…え、なんで?」
立ち止まった僕の手にひんやりとした彼女の手が触れた。
図書室からここまでは、結構距離もあるし、僕の思い違いでなければ、さっきの廊下の角を曲がったぐらいじゃ着かない筈なんだけど。
「私の専用通路だ。誰にも言うなよ?」
手を引かれて下から覗きこまれる瞳は、僕達が悪戯をするときと同じ光を宿している。あの図書室で防衛術を教えてくれるといった時と、同じ瞳だ。ただ違うのは上目遣いの彼女は思っていた以上に可愛らしく、また手を引かれていたために、いつも以上にその距離が近かったというコトで。その肌に触れたいと思う自分に気がついて、目を逸らしてしまった。
「わかったか?」
「う、うん」
本人は無意識なのだろうけど、その表情で顔を近づけるのはやめてほしい。抱きしめてしまいたい、触れてしまいたいと思ってしまう。
「それじゃあな」
僕の様子をかすかに笑って、彼女は隣を通り抜けて行く。図書室にいつもいるのに、彼女から香る甘い香りに思わずその肩を掴んでいた。
「…どこ、行くの? ミヤマさんこそ、朝食は?」
「私か? 私はーー」
驚いて見開かれていた瞳が淋しい優しさを宿す。これも意識してのことではないのだろうけど、どうにかその淋しさを取り除けてしまえたらと思ってしまう。
「ーー朝は食べないんだ」
振り絞られた言葉は苦さに満ちて、とても嘘だとわかってしまう。嘘は得意ではないのだろう。
ここで分かれてしまったら、もうチャンスは来ない気がした。噂じゃ、彼女から何かを教えてやるということなんて、まずありえないし、まして闇の魔術に対する防衛術を教えると直接言われた者などいない。
「食べなくてもいいからさ、付き合ってよ」
「…何故」
「僕、ひとりで食べるのは好きじゃないし、友達はみんなまだ起きて来ないから」
居てくれるだけで良い。そういうと俯いたまま、頷いてくれる。拒絶されなくて良かった。
「ありがとう」
勇気を出して、腕ではなく、手を掴んで歩き出す。それだけでもきっと僕のドキドキは伝わってしまうかもしれない。でも、今日、今この時は逃せない。
グリフィンドールの席に着く。それを気にするでもなく、彼女は僕の隣に座った。
「何か飲む?」
「…自分でやる」
席を立ってカップを取ろうとするのを制止し、彼女に渡す。
「昨日から、聞きたかったことがあるんだ」
「…食べ終わってからにしたらどうだ」
食べ終わってからでははぐらかされてしまいそうだ。だから、その台詞は敢えて聞えない振りをしておく。
「なんで教えてくれる気になったの?」
ポットを引き寄せて、高めの位置から紅茶を落とし、リズム良く止めて、またそれをテーブルに置く。こちらの言うことなど聞いていない様子に苛立ちを覚える。湯気の立つカップをフゥフゥと吹いて、中身を冷ます。一吹きごとに白煙は辺りに散らばり、あっという間に空気に溶けて消えてしまう。それに気がつかずに何度も吹いて、ようやく口をつけたと思ったら、すぐに引き離す。
「…っ」
「ねぇ」
「…なんだ」
こっちを向かないで、また吹いて冷ます。杖を持っているのだから、ちょっとぐらい魔法を使ったって良いと思うのだが。
「ミヤマさんってば」
「早く食べたらどうだ」
そっけない声が返ってくる。かといって怒っているというわけでなく、湯気の熱さに当たった頬が紅を浮かべる。
「リサさん、こっち見てよ」
それまで反応のなかった彼女が、ぴたりと固まった。
「な、んだ…?」
固まったまま、こちらは向いてくれないが、少なくとも返事は返ってくるようになったから良しとしよう。
「どうして、闇の魔術に対する防衛術なら、教えられるって言ってくれたの?」
「…あれは、ひとりでやるよりも相手がいたほうが覚えやすいだろう」
それだけだという口調がいつもよりも固い。
「いつも課題のヒントとか全員にあげてるの?」
この質問には答えが返って来ない。
「リサさん?」
さっきから微動だにしないその顔を覗きこむ。僕の行動は誰が見ても普通なのに、彼女はいよいよ固まってしまった。
「ねぇ?」
「…あ、あぁ」
カラカラの声が届く。様子が、いつもと違う。カタカタと音のなりそうなぐらい、震えている。
思ったのは、それがもしかして僕のせいなのかもしれないと。彼女には言っていない、僕の正体。それに、気がついてしまったのではないかと。だとしたら、これ以上つっこんで聞いてしまうのはマズイ。怖がらせたいワケじゃないんだから。
食事に戻りかける僕の耳に、小さな声が届く。あんまり小さな音だったから、聞き間違いかと思った。
「…ルーピン君だけだ…」
「え?」
「…ほかのやつに教えるほど、暇じゃない…」
一言一言を小さいけれど、はっきりと口にする。
「僕だけ…?」
今度は頷くだけ。だが、顔を背けてしまうとその顔が朱に染まっているのがよくわかる。
これは、期待しても、いいのかな。
「…その、余計だったかもしれんが…」
図書室以外で見る姿は数段たおやかで、図書室での毅然とした様子が隠され、守りたくなる弱さをみせる。もっとも僕じゃ守れる保証なんてないけれど。
「いや、すごく助かったよ」
「…しかし、ルーピン君には良い友人がいるだろう。私のヒントなんて、大した足しにはならない…」
持っていたカップをテーブルに置く。カタカタという震えが消える。震えが消えたわけでなく、音を立てるものがなくなっただけで、必死に押し隠そうして両手を膝に重ねて押しつけている。半分は成功しているけど、
「そんなことはないよ。ジェームズとかシリウスよりよっぽど分かりやすいし」
「…そ、そうか?」
心配そうにこちらを見上げる瞳は、素直に喜んでもいいのかどうか迷っている。同時に彼女の震えも無くなったことに安堵する。
「うん。だから、いつも頼んでたんだ」
もしかして、て。思っちゃダメかな。君も同じ気持ちだったと。
「リサさんに会いたかったから、行ってたんだよ?」
目をますます見開いて、次いで口を抑えて顔を背ける。その恥らう姿が愛しくて、手を伸ばす。
触れる柔らかで細い肩が跳ねあがるのを、そっと、そっと包み込む。
「あ、わ、たし、に…っ?」
「じゃなきゃ、魔法薬学なんてシリウスの写してるよ」
「あ、は。それじゃ、意味、ないぞ」
「そう言って、いっつも怒られてたんだよねー」
押し返す力は弱いけれど、あえてそれに流されてみる。離れた距離を利用して、額を合わせる。近い位置で見える彼女は、どうしようもないぐらい、可愛い。
「朝、僕が行くってわかってた?」
「…いいや」
「昨日、僕が喜んでたって知ってた?」
「…いいや」
覗きこむ顔は耳まで真っ赤で、落ちてくる髪を耳にかけてやるだけで、震えが伝わってくる。
「僕を、好き?」
「……」
ガタリと音を立てて、彼女が立ちあがる。引き止めようも無いぐらい急いでいて、背を向ける寸前のその顔が焼きつく。
「し、失礼する…っ」
逃げているのに、こんなに全身で肯定されているのがわかるなんて。キミぐらいのものだよ。
残されたカップに目をやる。まだほのかに立ち上る白煙は、真っ直ぐ。嫌われては、いないと思うけど。でも、だんだんと不安にもなってくる。このゆらゆらゆれる煙を見ていると。彼女の居なくなった隣の席を見ていると。彼女の温もりを求めて、カップに口をつけた。
「リーマス、彼女、追わなくていいのかい?」
声に気づいて顔を上げると、ジェームズが優しく微笑んでいる。
「きっと待ってるよ。今朝だって、いつもより早く図書室に向かったらしいから」
なんでジェームズはそんなことを知っているんだろう。
「図書室で騒ぐと怒られるし、どうせなら外に行けば?」
差し出されたものは僕の箒で、一体どこまでこの悪友はわかっているんだろうと思いつつ受け取る。
「ありがとう」
「貸しひとつね」
冗談混じりの声を聞きつつ、大広間を後にする。途中眠そうなシリウスとピーターともすれ違ったけど、ふたりとも追っては来なかった。もしかして、ジェームズからもう聞いているのかも知れない。
そんなにわかりやすいかな、僕。
苦笑しながら走っている僕を、数人が不思議そうに振りかえっていた。
驚いた…! 何にって、人生で2番目ぐらいに驚いた。ダンブルドア校長と会った時以上に、驚いた!!
「てか、絶対バレた…!」
誰もいない廊下で顔を抑えてしゃがみこむ。この時間、だれもここを通らないことはわかってる。まだ朝食前だ。
思い出すのはさっきまでのルーピン君の顔とか仕草とか、そんなのばっかりで。何をしゃべっていたのかさえすでにおぼろげだ。唯一覚えているのは一番近くで聞えた、アレ。
『僕を、好き?』
疑問系をとっていたけれど、アレは確信されていた。気がつかれていない自信どころか、なんとも思われていないと思っていたのに、とんでもないフェイントだ。
これからどんな顔して話せばいいのかどころか、普通に会えるのかさえ怪しい。彼の体質は知っているから、きっと避けたら傷つく。でも、普段通りにできるのか。自分。
「…無理…絶対、無理…!」
こっそり小さく騒いでいる私は絶対、今誰かが見たら変に思う。段々と冷静になってきた頭を振って、最後の熱まで振り払い、ひたりと廊下を見据える。
ともかく今は図書室に行こう。あそこに行けば、気分も落ち着く。
そう考えたのが甘かった。図書室に、脚立の側にすでに彼は待ち構えたように立っている。
「遅かったね」
「る、ルーピン君…っ」
「時間ある?」
ないなんて、言えるわけが無い。いつもどおり、いつもどおりと深呼吸する私の手をとる。
「ちょっと付き合ってよ」
ガタガタと窓を開けて、私を図書室から引きずり出そうとする。
「ま、待て…!?」
「待てない」
耳元で囁かれ、力が抜けたところを外に放り出される。風の音が耳のすぐ隣で聞える。でも、怖くて目が開けられない。
「ごめん、すぐだから」
そんな囁きを聞いた気もするけど、近くのものにしがみつくのに必死でそれどころで無い。
ひとりで箒に乗るのは慣れたけど、2人乗りはダメなんだ。ルーピン君が苦手と聞いたことはないから大丈夫だとは思うけれど、それでも怖いものは怖い。抱き寄せられたのも気休めにしかならない。
「箒、苦手?」
「2人乗りが苦手なだけだ…!」
「それはごめん」
謝っているのに声音がそれを裏切っている。楽しんでいる。
(なんて、男だ!!)
そう思っても、やはり嫌いにはなれない自分もたしかに存在している。ここまで、好きになっていたとは。自分でもびっくりだ。
「…大丈夫?」
そんなわけがあるかと言い返したくても、目も開けられないのに出来るわけが無い。風の音は変らず耳の隣をすり抜けて、私をからかって行く。
「もう着いたけど」
「…本当か?」
恐る恐る顔を上げる耳に、くつくつという笑い声が聞える。
「あ」
その場所は、私がルーピン君と防衛術の練習をしようとしていた場所で、どうしてわかったのかと振りかえる。彼はまだ笑っている。
「ここで良い?」
イイも何も。
「あ、ああ」
気の抜けた返事しか返せなくて、彼もまたそれを笑っている。
「1時間目は薬草学だったな。準備はしてあるのか?」
「ジェームズに頼んだ」
「そうか。だったら、ギリギリまでできるな」
なんでも無い風に努めているのに、彼のくつくつ笑いは止まらないようだ。気にせずに呪文を紡ぐ。
「笑わせ呪文でもかけてやろうか」
「ごめん、ごめん」
そう言いながら、まだ笑っている。
私に続いて呪文を唱える。淀みない響きが、苦笑にかき消える。
「真面目にやる気があるか?」
「ある、けど」
「これ以上笑いつづける気なら、やめるぞ」
「待って、待ってよ。やめるから」
慌てる様子に、どうしてか短い笑みが零れた。今、嬉しいか愉しいかと聞かれたら、両方と言い切ってしまうだろう。彼のクスクス笑いが伝染して、自分の口からも溢れ出す。
「やはり明日からにしよう」
呼び寄せ呪文を唱えて杖を振る。そこには大広間に在った朝食が1人分現れた。一人分とはいっても、半分以上がデザートな辺り、誰のためのものかはわかりきっている。もう一度杖を振ると、今度は風が和らいだ。
「…すご…」
「1時間目まではまだ時間も在る。ゆっくり食べろ」
何か言いたそうに開かれる口に、片手を挙げて制止する。そのまま隣に座ると、彼もまた大人しく座ってくれた。
「それで、私の話を聞いてくれるか? 聞き流してくれて構わない」
朝の静かなこの場所で、何を告白する気もなかった。ただ、理不尽に笑われるのが耐えられないなんて、つまらない虚栄。
「入学したばかりの時は、けっこう箒の2人乗りもしてたんだ。7年生に兄がいたからな。ハッフルパフ生で、大して頭がよかったわけでもなかったけど、私には優しい大好きな兄だった」
あれからこの話をするのは初めてで、過去のことと割り切っていても、手の平が汗ばんでくる。せめて動揺を悟られたくなくて、視線を外して、杖をしまう。
「幾晩も寮を抜け出して、2人で夜の散歩をしていた」
思い出すだけで胸が痛くなる程の郷愁に、両手を握って、胸元に引き寄せる。視線を感じる。
「リサさんが?」
「今じゃ信じられんだろう?」
あの頃の私を知っているものはいない。誰も忘れてしまった。自分でさえも、あの頃の気持ちは忘れていた。想いを記憶の引き出しに詰めて、鍵をかけていた。
「風が強い夜でな、風になれるかもしれないなどと馬鹿なことを言って、笑っていたんだ。実際、今じゃありえないほどのスピードも出たぞ。最新の箒なんかじゃ敵わない。まさに、風を越える早さで飛んだ」
せっかく出した料理には手もつけず、彼は話しに聞き入ってくれているようだった。だが、それでは本当に朝食を食べはぐれてしまうだろう。
自分でパンを取り、バターを塗って、キャベツとタマゴを挟み、それを差し出す。
「食べないのか?」
大人しく受け取り、ぼんやりとそれに口をつけるのを見ながら、自分でもクラッカーに木苺のジャムを塗って、口に放りこみ、紅茶を流しこむ。熱めの液体は、喉を焼き、身体の中心を通りぬけてゆく。
「馬鹿だったよ。私も兄も。風になれるはずがなかった。急に吹いてきた逆風に煽られて、落ちる時は一気だったよ」
今でも耳を通り抜ける風に警告される。危ない、危険だ、と。何かが警報を鳴らしていたのに、聞えないフリをしていたんだ。結果、私は多くを失った。優しく愚かだった兄と、箒乗りの愉しさと、監督生になる資格と。幸せになる資格。
「それ以来、2人乗りは苦手なんだ」
「…ごめん、僕、知らなくて…」
「知っている奴のほうが少ないぞ。私が教師以外でこの話をしたのは、ルーピン君が初めてだ」
「そうなんだ」
「言いふらすなよ?」
冗談めかしていってやっても、彼は真剣に考えこんでしまっている。
「言いふらすなんて、しないよ。それより僕が気になるのはーー」
呼ばれるほどに強い視線を感じて、首を巡らせると、ピキンと耳の後ろ辺りに激痛が走った。
「った」
「後遺症?」
「いや、あれだ。よくあるだろ。なんか、こう、雷の線が通ってくみたいなやつ」
耳の辺りにそっと触れる自分ではない手に、身体中が動くのを止める。何の命令も届かなくなって、近くに在る彼の吐息まで聞えてきそうな距離であることに、緊張が3乗どころか10乗されたみたいだ。
「あぁ、良かった」
強い力で頭を引き寄せられ、そのまま身体が強く締めつけられる。
「もしかして、リサさん、そのお兄さんのこと好きだった?」
「誰がなんといおうと、最高の兄だったぞ」
「本当にお兄さんとして、好きだった?」
早い鼓動の音を何故か落ち着いた気持ちで聞いて、両目を閉じる。
「たしかに、そんな誤解もしていた」
でも、今は確かに兄として、家族として好きだったのだとわかる。好きの種類が違うのだ。根本的に。
私の返答には、安堵の溜息が返ってきた。同時にひとつの鼓動が穏やかになる。
「僕は?」
一瞬、言われたことの意味がわからなかった。
「嫌われてないとは自惚れてるけど、リサさんの中で、僕はどんな風に好き?」
自分の早い鼓動がさらに加速して、身体中が熱を持つ。
「な、なに」
「教えてよ」
身体中が抱きしめられる力強さに悲鳴をあげる。
「痛いっ」
抗議の声は叶えられ、また腕が緩む。そうすると、見上げるほどの余裕も出てくる。
「いっつもさ、図書室でひとりでいるよね」
穏やかな視線から目が離せなくなる。顔を上げるんじゃなかった。
「あ、あぁ」
「好きでそうしてると思ってたんだけど、もしかしてさ、」
影が降りてくる。
「これは僕の勝手な推測だけど、わざとひとりでいるのかなって」
互いの額がぶつかり合って、私は悲鳴をあげそうになるのを堪える。恐怖ではなく、恥ずかしさで零れかけた悲鳴だ。
「沈黙は肯定ともとれるよ」
間近に見える瞳は深い色に困った顔の私を映している。
「そのお兄さんは今はどうしてる? まさか、」
「生きてるに決まってるだろう。先日結婚したばかりだ」
「そう」
また安堵して、良かったと呟く。閉じた瞳の奥で何を考えているのかと首をかしげる。
「さっきからなんだ、良かったって?」
「リサさんが生きていて良かった。ここにいてくれて良かった。会えて良かった、かな」
静かに、湖面に広がる波紋みたいに穏やかで、温かい。
「僕、リサさんが、リサが好きだよ」
ゆっくりと開かれる瞳は、穏やかで、静かで、だけれど奥に心を溶かす甘さを持っている。
「だからさ、一緒にいたいんだ。一人にしておきたくない。ダメかな」
ダメかといわれて、だめだといえるようならとっくに言っている。
「だが、寮が違う」
「リサ、寮には寝るためにしか帰ってないじゃない」
「え、なんで知っているんだ!?」
「それに一人部屋でしょ? 会いに行くよ」
「は?」
どうしてそんなことまで知っているんだ? 第一どうやって。
「だから、窓開けといてよね」
つまり箒で飛んでくると。
「っ!」
声は空気中ではない別の場所に吸い込まれた。
柔らかななにかが自分の唇に触れているのはわかる。目の前どころか至近距離、睫毛も触れそうな位置にルーピン君の目があるのもわかる。そこに映っているのが私の瞳だけというのもわかる。
つまり、冷静になるまでもなく、彼にキス、されているということで。
「ひとりにしておきたくないし、ひとりでいたくないでしょ?」
「な、る、ルーピン」
「ね」
もう一度触れてくる力を押し返せるはずもなく。だって、どうしたって私は彼が好きだったから。好きだから、信じられない状況に抗えない。
「それから、リーマスって呼んでよ」
「、なぜ?」
「僕がリサに呼んで欲しいから」
なんども落ちてくるキスに身を任せながら、瞳が潤んでくるのを感じた。理由なんかしらない。
「リーマス」
「それから」
まだ、なにか在るのかと薄く目を開く。そこには心を解く瞳で困ったように笑う彼がいて。
『僕以外に、優しくしすぎないで』
きっと嫉妬に狂って、殺してしまうからと。
(リーマス視点)
図書室には優しい魔女が居る。
「ミヤマさん」
本棚の影、普段通りの場所で脚立に座ったままの彼女に声をかけようとしていた少年は、一瞬立ち止まり、頬を染め、次には顔面を蒼白にして逃げ去った。
立ち去ったではなく、逃げ去ったで間違いはない。
「これで何人目だ? なんなんだ、一体」
顔を上げたリサの目には無人の通路しか見当たらなくて、あとは遠ざかってゆく足音しか残らない。そんな状態がリーマスと個人的に会うようになってからずっと続いていては、いい加減気になっても来るのだろう。わかっていても僕はやめないけどね。
「リサ」
前触れなくそこに出現した僕に向かって、彼女は柔らかい笑みを向けてくる。以前とは大違い。
「ずっと隠れているつもりなのかとおもったぞ、リーマス」
中世的だった仕草も表情も、今は誰が見ても女性のものに変わりつつある。氷みたいで透明だった笑顔には色が加わり、特有の優しい灯りが隠されずに顕れている。
「気がついてたんだ」
「いや、ついさっきだ」
開いていた本を閉じ、脚立から軽く飛び降りる。着ている者は相変わらず男子学生の制服だ。
「それ、透明マントだろう。見せてもらってもいいか?」
こうして良く話すようになってから気がついたが、リサは人一倍好奇心が強い。
「入ってみる?」
それに、簡単に無防備になる。透明マントで包まれたというのに、声ひとつ立てない。
「中は広いな」
「でしょ? 定員3名なんだ」
「ふむ」
こんなに近くに僕が居るのに、興味深々にゆらゆら揺れる景色に触れる。僕の存在なんてそれほど気にしていないのかと思ったが、かすかに肩が震えているのに気がつく。
「リサ?」
「ジェームズはどうやってこんなものを手に入れたんだろうな」
するりと彼女の口から親友のファーストネームが出てくることに、ちょっと、いや、かなり驚いた。僕でさえ、なかなか呼んでもらえなかったのに。どんな手を使ったのか、あとで聞き出そうと決意する。とりあえずは、目の前の可愛いリサだけど。
「なぁ?」
「ちょっとは警戒してよ。まったく」
後ろからそのまま抱きしめる。抵抗の感はないが、硬直はしているようだ。それは、良い意味で意識されていると思っていいんだよね。
「リーマス」
「なにかな?」
「ここは、図書室なんだが」
「大丈夫。透明マントの中で見つかるわけないじゃない」
「いや、でも、な?」
潤んだ瞳で見上げてくるリサに、そっと触れるだけのキスを落とす。だって、そんな目で見上げられて、耐えられる男なんていないよ。これだから、ひとりになんてしておけない。
「ちょ、っ」
「可愛いよ、リサ」
「バカ」
首にまわってくる腕にも愛しさを感じる。必要以上に触れるのを嫌がる性格だと知っているから。もう、ずっと触れたかったから。
「ーー好きーー」
その言葉がどちらから零れたものだったのか。知っているのはきっと、無人の本棚だけ。
うわー…何が書きたかったんだろう。とりあえず、透明マントの中でキス?
リーマスの彼女はどうも真面目に書きすぎる傾向があるような気がします。
さらにリーマスも自分設定。うわぉう!<何。
しかし、アレです。
犬夢読みながら、テニプリCD聞きながら、なぜに自分はリーマス書いてるのか。
(だからこんな話になったのか?)
(2003/09/28)
ちょっと長いけど。
ひとつにまとめてもいいよね。
(2012/10/12)