「駄目ったら駄目!!」
「いいじゃん!!俺は、葉桜さんと出掛けたい!!」
この後に及んでまだ言うか!と榛野は痛む頭を押さえて、自分の後ろを顎でしゃくる。
「平助くんは、この現状を見て、そう言ってるのかな?」
こめかみに青筋を浮かべた榛野を、負けじと見つめ返して藤堂は頷く。
「私のいない1ヶ月でここまで散らかしておいて?」
そう。たかだか1ヶ月。用事に重ねて任務があり、屯所を留守にしていた葉桜。
普段、屯所内の掃除やおさんどん…いわゆる家事全般を一手に引き受けている彼女が、たったの1ヶ月。留守にしただけで、部屋には埃が積もり、蜘蛛が芸術的な技を駆使し、台所は汚れ、洗濯物は高く積み上がっていたのだから。彼女の怒りもごもっとも。
とは、傍から見物していた原田の見解で。
「平助よぉ。お前の気持ちもわかるが、この状態で榛野を連れてくワケにいかねぇだろ」
「だって、それは当番の隊士がサボったからだろ?」
葉桜さんがやる必要ないじゃないか。と見かねた原田の言葉に一歩も退かない。
藤堂の言葉もごもっとも。と、自分も洗濯を後回しにしてしまった原田は後ろ頭を掻く。
「それは…まぁ、そうなんだけどな」
「だったら、俺達が1ヶ月ぶりに散歩に行くのは、正当な要求でしょ?」
それならば、自分が仕事を優先するのも正当ではないのか。と思う榛野だったけれど、1ヶ月ぶりに藤堂とゆっくりしたいと思うのも確かで…だけれど、この現状をほったらかして行ける榛野ではない事を藤堂も十二分に理解していた。
「だから、自分の仕事を全うしなかった隊士達に、ちゃんと責任をとらせれば問題はないよね」
にっと笑って、原田を振り向いた藤堂は、その手を握って言った。
「左之さん。号令役。やってね」
最早疑問系で無い藤堂に、何故か青い顔で頷いて、原田はそそくさと台所を後にする。
「じゃあ、お散歩。行こうか」
くるりと振り向いて満面の笑みを浮かべた藤堂は、どうしたものかと額を押さえた榛野の手を取り、走り出す。
「わ、ちょ、平助くん!!」
「だって、毎日毎日。葉桜さんに逢いたくて仕方がなかったんだ。迷惑だった?」
なんてちょっぴり上目遣いに言われてしまえば、榛野としても同じ事を思っていたのだから異論はなく。
「ううん。私も、凄く逢いたかった」
可愛らしい藤堂にメロメロになりながらも、にっこりと笑い返して手を強く握った。
オマケ
「は、原田さぁん!何だって急に掃除なんですか!?」
「お前等、榛野と平助。どっちにどやされてぇ?」
どんよりとした表情で言った原田に、隊士達の顔が輝いたと同時に曇る。
「もしかして、榛野さん今日帰って…」
「あ~。だからよ、今日中に片付かねぇと……」
それ以上は言いたくない。と原田が珍しくも真面目に洗濯を再開し、こうしてはいられない。と他の隊士達もバタバタと屯所内を駆け回る。
「左之。そっちは終わりそうか?」
「ああ、そっちはどうだ新八?」
ひょいと台所から顔を出した永倉に、洗濯物を持ち上げて訊ねる。
「ああ、何とか終わりそうだ」
「そりゃあ良かった」
「終わらねぇと飯抜きじゃすまねぇだろうしなぁ」
はぁ。と盛大な溜息を吐いた2人に桜庭はクスクスと笑う。
「別に良いじゃないですか。平助くんが葉桜ちゃんにべったりしてるのくらい」
「お前は何もわかっちゃいねぇな」
首を傾げる桜庭の頭をポンと叩き、永倉は目を据わらせて言う。
「いいか、この男所帯の中。一輪の花がだなぁ。他の男とベタベタしてるっつうのは…目の毒なんだよ」
「そうそう」
「…………」
一瞬。真面目に聞いた自分が馬鹿だった。と桜庭は小さく息を吐き。
「お掃除。頑張って下さいね」
にこやかに笑い。桜庭は足取りも荒く去って行った。
END
ってか微妙すぎてごめんよ。
これでも頑張ってみた(ぇ)
返品可(笑)
黒い平ちゃんがちょーらぶりーvV
有り難く飾らせていただきます。
一条さん、ありがとうございました~♪
(06/03/30 09:24)