隣の席の人はとても真面目で天然だ。
「手塚君、ノート貸して」
不真面目なわけでもない私がそういうのを怪訝そうに見るけど、素直に貸してくれる。
綺麗な字体で丁寧に書き写されたノートの端に、さらさらりと書き込んで。
「有難う」
にっこり笑って返すと、程なくしてその耳が赤くなった。
「からかっているのか?」
不器用な彼の声。
「んーん、大マジ。あ、返事いらない」
-- 私は手塚国光が大好きです --
夕陽の光が教室に差し込む。
窓の外には運動部の、とりわけ目の前のテニス部の掛け声がよく聞こえる。
「部活行かなくて良いの?」
ドアに立ちつくしていた俺の前で、彼女は普段通り振り返りもせずに声をかける。
待っていたわけではないのだろう。返事はいらないと、言ったのだから。
だが、もしも俺をもう一度見てくれたなら。
「こらこら。青学テニス部部長がそんな情けない顔をしないのっ」
橙色の光に照らされ、彼女は普段よりも柔らかく微笑む。誰に対してもそうだから、期待などしていなかったのに。
手招きに誘われ、彼女の隣に立つ。
「そんな顔をさせるために告白したんじゃないわ」
軽く柔らかい力で、俺の胸を拳で叩く。その細い手首を掴む。
普段なら絶対しない大きな瞳で俺を見上げる。
「返事を」
「いらないって」
泣き出しそうに笑っている彼女がとても愛おしくて、胸に抱き込む。
「好きだ」
返事は無く、ただ彼女は俺の胸に体を寄せた。
リクエストは「青学部長」なので、全体的に大人な風味に。
悪戯っぽく告白したのに大人に返されて困るヒロイン。
一条さんリクエストありがとうございました!
こちらから先を追加すると言っておいて、こんな出来。
ごめんなさいー!!
またリクエストお待ちしてます♪
(06/04/10 12:55)