ひゅんっと水面を小石が跳ねてゆく。
「腕は鈍ってないね」
「あったりまえよぉ~」
彼女は河原に座り、小石を数回手の上で弄ぶ。バスケを止めてから何年経とうと、変わらないのだろうと思う。
俺も石をとり、水面を走らせる。
「…リョーマこそ、腕鈍ったんじゃない?」
「うるさいよ」
彼女の小石が跳ねた数より、一回少ない。
いつもいつも彼女にはほんの少し、手が届かない。
手加減されているようで、でもそれが心地よくて。
ねえ、いつかそこに追いついたら。
俺のものになってよ。