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書名:はーさん
章名:WEB拍手

話名:足水


作:ひまうさ
公開日(更新日):2006.5.16
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:434 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚

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p.1

 暑いのは夏だからであって、だからといって、暑いのに耐えられるわけもなく。

「はーさん!?」
 振り返ると、彼女が仁王立ちしている。彼女が怒っているのは果たして、素足で庭に出ていることか、浴衣の裾をたくし上げていることか、庭の池を囲っている石に座っていることか。

 それとも池に足をつっこんで涼んでいることか。

「気持ちいーよ」
「もー、そろそろ予約のお客さん来るっていったじゃん」
「そーだっけ?」
 そもそも予約制じゃないじゃん。

「今度からそうすることにしようって言ったのはーさんでしょっ」
 言ったかなぁ、と考え込んでいると彼女が庭に降りてくる。

「そんなに暑いなら、春とか秋にすればいいのに」
 好きにできるんでしょ、と怒られたけど、それは難しい注文なのだ。だって、夏以外の季節を長く思い浮かべていられないのだ。

「…ごめん」
「いや、いいよ」
 わかっている彼女がすまなそうに言うのに笑って返す。

「しかたない。お仕事しますか」
 涼むのはここまで。たまには彼女の言うことを聞いてやろう。

あとがき

はーさんの夏のひととき。