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書名:読切
章名:お題

話名:文章修行家さんに40の短文描写お題


作:ひまうさ
公開日(更新日):2006.5.19
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:3421 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 3 枚

配布元:文章修行家さんに40の短文描写お題

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p.1

修行の指標

1) お題に沿って、65文字以内 で 場面を描写

2) 「モノローグ(内面描写/心の声)」・「抽象性」・「理論理屈の語り」を排除した、具体的な描写

3) 65文字の中に独立したドラマを



 00. お名前とサイト名と一言

名はひまうさ。恋愛小説サイト「HIMAUSAGI」のオーナーです。

ひまうさぎ調査隊の隊員です。面白そうなので挑戦します。



 01. 告白  【66文字】

 ざわざわとした音が外から内から騒ぎ立てる中、発車を報せるベルの音に無理やりに足を動かす。

「さよなら」
 それが私に出来る精一杯の強がり。



 02. 嘘  【64文字】

「大っ嫌い!」
  赤い空と赤い陽を背に、ジャングルジムから彼の腕へと飛び込んだ。大嫌いで大好きな人の胸は揺れることなく私を捕らえた。



 03. 卒業  【66文字】

  昨日まで居心地の良い場所だと思っていたのに、今日来てみたら全然知らない場所に見えた。それを実感したら、昨日は出なかった涙が出てきた。



 04. 旅  【61文字】

  空が青いので、この道をどこまでも行ってやろうと自転車をこいだ。気分的には小旅行。だけど、今日中に県内を出るのは難しそうだ。



 05. 学ぶ  【64文字】

  誰にだって限界がある。手元の赤い×が沢山ついた白い紙を強く握った。痛い、と思って握った手を開くと、私の手にも赤い×が出来ていた。



 06. 電車  【60文字】

  心地良い揺れは私を眠りの淵へと誘惑してゆく。それを妨げるようにがたんと大きな揺れが起き、隣の男が寄りかかってきた。重い。



 07. ペット  【50文字】

  彼女が俺とそれをマジマジと見比べる。

「へぇぇぇ」
  強い怒りを含んだそれに、籠の中のそれはバタバタと羽音を立てた。



 08. 癖  【64文字】

  黒く艶のある髪を撫でると、彼女は気持ちよさそうに目を閉じた。

「もう癖なんじゃない?」
  指通りのよい彼女の髪はするりと逃れて落ちた。



 09. おとな  【58文字】

  切ったばかりのケータイを乱暴にソファーへと投げ捨てた。仕事でドタキャン。納得するのがおとななんて言われても知らない。



 10. 食事  【61文字】

  静かすぎて目が覚めた。時計を見ればもう昼過ぎ。だけど、今日は久々のオフだし、一人きりだし、食事を作る気力もないし。

「寝よ」



 11. 本  【61文字】

  ヘッドホンから流れてくる音の隙間に彼女の声を聞き、外して本を置く。何故か疲れ切っている彼女に笑って問いかけたら、殴られた。



 12. 夢  【68文字】

  ざわめきの中から彼女の声を聞き分け立ち止まる。

「変な夢みた!」
  また寝ていたのかと呆れかえっていると、プリントの変な落書きを突き出された。



 13. 女と女  【68文字】

「弟がいつもお世話になってます」
「まあお姉さんでしたか」
  居心地悪そうな彼女の肩に手を置き、ほらみたことかと笑いかけたら、俯いてしまった。



 14. 手紙  【67文字】

  ピンクのベッドにピンクのカーテン。ピンクじゃない机の上にはピンクの書き置きが遺されていた。

「居るなら探してやるさ」
  握り込んだ拳が痛い。



 15. 信仰  【65文字】

  人よりも鳩の数が多いそこを突っ切り、がらがらと鈴を鳴らす。

「便利な彼氏が見つかりますように!」
「おい」
  隣の男に軽く頭をどつかれた。



 16. 遊び  【64文字】

  キラキラと光の帯が闇に弾ける。くるくる回せば、後ろから抱きしめられて。

「危ねぇだろ」
  だって綺麗でしょ、と言ったら子供と笑われた。



 17. 初体験  【59文字】

  油に水を落としたら跳ねてきた。

「放っておきなさいよ、ただの痴話喧嘩なんだから」
  独り者には解らない喧嘩は諫めようがない。



 18. 仕事  【61文字】



  誰もいない部屋にサーバーの音だけがごうごうと響いている。本当なら今日はデートなのに。抜け出せない迷路を前にため息を吐いた。



 19. 化粧  【62文字】

  慣れない白粉の匂いに顔を顰める。

「ほら動かないの」
  楽しそうな彼女たちはとても楽しそうに道具を操り、俺を女にしようとしている。



 20. 怒り  【69文字】

  強く拳を打ち付けた壁は傷つかず、私の手にだけ痛みが残った。悔やんでも悔やみきれない悲しみと怒りは全て内面に帰す。誰が思い通りになるものか。



 21. 神秘  【68文字】

  ふゆふゆと黄緑の光が闇を照らす。昔は灯りにもしたというそれは懐中電灯よりも弱々しい。

「綺麗だね」
  うっとりとした彼女の言葉に素直に頷いた。



 22. 噂  【64文字】

  がしゃんと音を立てておいたカップから黒い液体が跳ねた。今日は黒い服だから跳ねても平気だけど、平気じゃないのは今聞いたばかりの噂。



 23. 彼と彼女  【61文字】

  手が触れたぐらいで赤くなっている目の前の男を醒めた目で見る私がいた。やはり外見と中身は伴わないモノだと実感した瞬間だった。



 24. 悲しみ  【61文字】

  風が吹こうが雨が降ろうが雪が降ろうが地震が起きようがどうでもいい。貴方がいなくなった時に、私の世界は崩壊してしまったから。



 25. 生  【59文字】

  流れる血を相手に突きつけると、相手は肩を震わせ、後ずさる。生きているからこうして血も流れるし、怒りもする。それを識れ。



 26. 死  【65文字】

  アスファルトにじわじわと赤黒い染みが広がってゆく。それはもう動かないのに、震える手でまだ温かい躰を抱きしめた。嘘だ、と心が叫んだ。



 27. 芝居  【62文字】

  彼らから見えないところまできてから走りだす。近くの公園で誰もいない場所まで行って叫んだ。

「ウソつきっ」
  三文芝居はもう沢山だ。



 28. 体   【68文字】

  背中に触れるとその肩が跳ね、手元でカップが音を立てる。割れた音はしていないのだ心配はないだろう。

「何」
  平静を保とうとする躰を抱きしめた。



 29. 感謝   【62文字】

  足早に彼に近づく間、高鳴る心臓を無理やりに収める。足音に気が付き、振り返った彼の前で強く微笑んだ。

「ご招待有難う、会長さん」



 30. イベント  【63文字】

  人混みの中で離れた左手を探せば、右手を両手で掴まれる。

「迷子にならないでよ!」
  涙目で訴える強がりな彼女をとても愛しいと想った。



 31. やわらかさ  【63文字】

  おそるおそる指で突くと、きゅと握られる。握る力は弱いが、その柔らかさが容易に壊れてしまう気がして、私はとたんに動けなくなった。



 32. 痛み  【63文字】

  指先に走る痛みをとっさに口に含んでいた。鉄を舐めたことはないけど、鉄色と言われるその味に顔を顰める。次に来るのは痛みだろうか。



 33. 好き  【60文字】

  真っ白な紙に一文字ずつ丁寧に綴ってゆく。二文字目で宛名の人が帰ってきたので、そのままぐしゃぐしゃと塗りつぶしてしまった。



 34. 今昔(いまむかし)   【63文字】

  かすかな面影さえも残っていない様に落胆しつつ、その場を後にする。全ての思い出は大きなマンションに押しつぶされ、今は跡形もない。



 35. 渇き  【64文字】

  砂浜の黒い色がゆっくりと白くなり、すぐにまた来る波に黒くなる。どれだけの水があろうとすぐに乾いてしまう姿は、自分と同じに思えた。



 36. 浪漫  【67文字】

  闇の中で手を掴まれ、どきりとした。

「…ハンカチある?」
  啜り泣く声に安堵し、次いで呆れかえりつつ渡す。ここまで恋愛映画で泣く奴も珍しい。



 37. 季節  【64文字】

  少しでも涼しさを求めて廊下へ移動する。人手ごった返してはいるが、教室の中よりは遥かに涼しい廊下の窓辺に寄りかかる。あー生き返る。



 38. 別れ  【61文字】

  そこへ近づくにつれて段々と足が重くなり、繋ぐ手の力が強くなる。離れたくないという私の想いを断ち切るように、追い風が吹いた。



 39. 欲  【68文字】

  じっと見つめるショーケースから可愛いテディが私を呼んでいる。

「アレ欲しいのか?」
「いらない」
  本当に欲しいものは自分で買うって決めている。



 40. 贈り物  【60文字】

  目の前で踊る熊に呆気にとられている私の前で、彼は必死に笑いを堪えている。

「お前、こーゆーの好きだったよな」
「ちがーう!」



あとがき

短文だけなので一気に書いてしまいましたが…文章力ないなぁ。
でも、こーゆー制限付きのお題って楽しいかも。
気が向いたら、また挑戦したいと思います。
(つか、仕事中にやることじゃないですね)
(2006/05/19 15:20)