帰ってきたら君の姿がなかった。
「兄上。遅くなるならちゃんと連絡してくださいっ」
「朔、彼女は」
居場所を知っているであろう離れに住む妹に問うと、いつもの口調で呆れられた。
「まあ、またあの子ったら…」
「どこにいるんだい?」
朔の言うとおりに部屋へ戻れば、俺の着物を抱えるように君は眠っていた。
抱き上げれば頬に残る涙の跡がよく見える。
「ごめんね、一人にして」
俺のためにこの世界に残ってくれた君が、一人で俺の帰りを待つことがどれだけ寂しいことか。わかってあげられなかったね。
涙の跡を舐めると少し塩辛かった。
「あ、景時さん…?」
「おはよう」
ぼんやりとしていたのが状況に気がついて、暴れ出す。
「あ、わ、私、!」
「ごめんね、遅くなって」
「いいえ、その、あの、えーっとこれはっ」
「うん」
彼女を抱えたままで部屋に座り、その続きを促す。
「その昨日の夜は寒かったから、」
「うん」
「帰ってきた景時さんも寒いだろうって思って、」
「うん」
「それで、えっと…」
「?」
「景時さんの香りがいっぱいだったから、安心、しちゃって」
気がついたら、眠ってしまっていた、と。
ごめんね、とひとつ口づけを落とす。これは一人で夜を過ごさせてしまった、お詫び。
ありがとう、ともうひとつ口づけを落とす。これはこんなにも俺のことを想ってくれているキミへのお礼。
昨日の仕事が長引いたお陰でお休みを貰ったから。
今日は一日中、一緒にいよう。
遥時3で景時さん。
ああもう、この人大好きです。すべてを包み込むような優しさがもうっ
でも、ものすごくへたれなところも含めて大好きーっ!
(2006/09/11)