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書名:幕末恋風記
章名:他

話名:幕末恋風記 12章 - 十二章本編のあの辺


作:ひまうさ
公開日(更新日):2006.9.11
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:565 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚
デフォルト名:榛野/葉桜
1)
(才谷 by 幕恋)

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p.1

「才谷さん、あんたまだ幕府に情けをかけるつもりか?」
 腕の中で、彼女は表情もなく、ただ無心に眠っている。ここにある確かな温もり。それを欲したときにはもう道は定まっていたのだろう。彼女を救いたいから、わしはわしの道を行く。

「ああ、そのつもりじゃ」
「あんた本当に甘すぎるぜ!」
 声を荒げる石川に対して、口元に指を立てる。

「しっ」
 はっとして、石川が落ち着くのを待ち、続ける。

「何事も荒っぽい手段はいかん。禍根を残せばまた次の火種になるだけぜよ」
 禍根を残せば、彼女の身が危うくなるばかりだ。

「いや、物事を大きく変えるには一度根こそぎぶち壊す必要がある!」
「江戸であれ、室町であれ戦乱の中から平和をつかんだ!」
 彼の言うことも一理あるが、それではダメだ。彼女の望む道に血があっては、いけない。これ以上、彼女に苦しんで欲しくはない。

「大勢の人が死による。それでもえいのか?」
 躊躇うと思った。だが、彼はわしとまったく同じ考えではないのだと思い知らされる。

「この世に流血なき革命はない!」
 心のどこかで信じていた。石川だけは、同意してくれるものだと。

 だが、結局は彼女だけなのか。

 腕の中の温もりを抱く手に力を籠める。たったひとりでも理解者があるなら、わしは進んでいけるから。

「…石川」
 意を決した言葉は、階下の騒々しさにかき消された。

あとがき

ネタバレでごめんなさい。
ええと、「揺らぎの葉」で梅さんたちの死なないバージョンを模索中。
本編に含めるか、まったく別ルートとして書くかは、未定。
(2006/09/11)


本編に入りました。