耳元で唸る轟音で一気に覚醒した。
「な、梅さん!?」
「はよぅ逃げやーっ」
目の前には怯んでいる剣士が三人。石川は負傷しているらしく、左肩を右手で抑えているにもかかわらず、畳に点々と鮮血が滴っている。
「い、石川っ」
「俺は大丈夫だ。あなたは窓から早くっ」
「馬鹿言うな!」
才谷の腰から小太刀を抜き放ち、才谷と石川の前に立つ。
「私はこのために来たんだ」
深く息を吸い込む。
「な、何をゆうちゅうんながっ?」
「すぐに片付ける。二人とも大人しくしていろ」
私の言にいきり立つ男たちを無限に構えて、待ち構える。平静を失った相手を倒すのは容易い。
向かってきた相手の剣を冷静に小太刀で受け止める。空いた手で懐から懐剣を取りだし、心臓に突き立てる。
「っ!!!」
倒れた相手を力で押し倒し、次に向かってきた相手を小太刀で一刀の元、切り伏せる。
「去れ。この人たちを傷つけることは、この私が許さない」
残った相手に氷の言葉を放つ。今必要なのは、相手を圧倒する威圧感。それならば、幼少の頃から叩きこまれている。
「今ならば、命だけは助けてやれる」
むせ返る血の匂いが、気持ち悪い。だからこそ余計に機嫌が悪くなる。また、着物を汚してしまった。烝に怒られるだろうか?
まあ、いいや。助けられたんなら、それで。
意識を失う寸前、誰かに抱き留められた気がした。