幕末恋華>> 土方歳三>> 梅の花

書名:幕末恋華
章名:土方歳三

話名:梅の花


作:ひまうさ
公開日(更新日):2006.10.25
状態:公開
ページ数:3 頁
文字数:767 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚
#梅の花
#白牡丹…
#月夜月夜に…

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p.1

 縁側から咲いたばかりの梅の花を眺めていた。白梅の甘やかな薫りに目を閉じる。

「梅、か」
「ええ、今年最初の梅の花です」
 しばらくの間二人で眺めていると、突然隣で土方さんが冊子を取り出し、さらりと何かを書き込んだ。

 横目で覗いてみる。



『梅の花一輪咲ても梅は梅』



 呆気にとられている私を残して、土方さんは行ってしまったけれど。

「…風流…?」
 私の中にはいい知れない疑問が残った。



p.2

 庭に牡丹の木があることが気がついたのは、つい先日のことだった。浪士組(今は新選組)に入ってから必死でやってきて、花に気を配るような心も忘れていた。

 大輪というにふさわしい白牡丹の側にしゃがみ込み、触れないように眺めて楽しむ。

 今夜みたいな満月の明るい光に照らされたから余計に白く見える牡丹を見ていると、自然と心が癒される気がした。

「あ」
 思い立って、私はある人を捜しにその場を後にした。



p.3

 子供のように嬉しそうにはしゃいでいる彼女に手を引かれ、やってきた場所には大輪の白牡丹が咲いていた。月の光を受け、それは神々し、清々しいほどに白く。とても綺麗だ。

「私だけで見るにはもったいなくて」
 嬉々としている彼女は普段と違い、とても少女らしい笑顔で笑っていた。

「土方さん、触っちゃ駄目ですっ」
 そっと触れた牡丹がほろりと掌に零れる。

「あー、落ちちゃいましたね」
 残念そうな彼女の頭にそれを乗せてみたが、少ししっくりと来ない。

「…一応、何をしているのか聞いて良いですか」
 ひとつの月を越える度に強くなってゆく彼女だけれど、願いが叶うなら、どうか今のままで変わらずにいて欲しいと想った。

「あ、何笑っているんですか!?」
 俺らしくもない願いだ。だが、何故だろう。そうあってほしいというのは自然な願いだ。どれだけの血で塗れても、その芯の白さまでは失わないでほしいと、切に願った。

あとがき

私に俳句の心はわからないんですけど、これは良い句なんですか?
私に分からないので、うちのヒロインも理解に苦しんでしまいます。
まぁ、鈴花も苦しんでるからいいか(いいのか。
(2006/10/25)


牡丹って、満開になると簡単に落ちますよね。
小さい頃はよくそれを毟りながら帰ったなぁ~(ぇ。
(2006/10/25)


句を考えてて、自分の世界に入り込んでいる土方さんには、どうか意味不明な行動でヒロインを困らせてほしい!
一応、土方さんの俳句を元に書いてみました。あのイベントからしばらく後、がいいかなぁ?
(2006/10/25)


ファイルをまとめた。
拍手だし、短いし。
ついでにタイトルも変えようかとも思ったけど、まあいいか。
(2012/10/12)