風に向かって声を出す。
「あー」
震える声が楽しくて、飽きもせずにずっとそうしている彼女を、私はいつものように縁側に座ったままで小さく笑った。
「今日も暑いわねぇ」
「はーさんが夏にしておくからでしょー」
震える声はいつもの不機嫌さの欠片もない。それほどに扇風機で遊ぶのが気に入ったらしい珍しい彼女に代わり、席を立つ。
「ねーまた雪降らせてよ。夏の雪」
「ふふふ、そんなことしたらお客様が驚いちゃうわ」
え、と彼女が顔を上げて、私の目線を辿る。次には慌てて立ち上がり、ぱたぱたと逃げていってしまった。
久々に「モノカキさんに30のお題」よりはーさんです。
毎日暑いんで、雪でもみたいなぁと。私の個人的な願望です。
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