ハリポタ(親世代)>> 読み切り>> 親世代@リリー - Little change

書名:ハリポタ(親世代)
章名:読み切り

話名:親世代@リリー - Little change


作:ひまうさ
公開日(更新日):2003.2.3
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:2113 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 2 枚
デフォルト名:///カミキ/ミオ
1)
J様へ

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p.1

 リリーははっきり言わなくても誰が見ても美人だと思う。鏡よ鏡よ鏡さんなんて聞かなくても、絶対に。

「なに?」
 身嗜みと称して薄く化粧しているけど、それでもしなくても全然。まず私とじゃ素材からして違う。

「なんなの、ミオ?」
「いや、美人だなーって」
 それから素直で可愛い。こういう風に誉めると、白い透き通った肌がすぐに赤く染まる。

「やだもうからかわないでよ」
「本心本心」
 きししと歯を見せて笑うと、控え目だけど優しく笑ってくれる。私の親友は美人で気立てがよくてすごく素直だ。

「ミオに言われるとからかわれているようにしか思えないわ」
「なんで?」
 わかってないわねと、ため息をつかれてしまった。そんな姿さえも絵的にすごく綺麗だ。美人は三日で飽きるなんて、絶対嘘。毎日見てても飽きない。そういえば、彼女がこんなふうに化粧するようになったのは、いつからだっただろう。

「ミオもお化粧する?」
「似合わないし、いいよ」
 リリーの隣でいくら化粧しても誰が見るっていうんだろう。引きたて役とまで自分を卑下する気はないけど、別に飾ろうとも思わない。

「それに、めんどくさい」
 本心だった。困ったように微笑む姿は、やっぱり可愛くて綺麗だ。綺麗の比率の方が高いだろうか。

「またそーゆーこと言って。誰かさんの為にオシャレしたいんじゃないの?」
「え!?」
 意味ありげに微笑まれて、私の方が赤くなる。言ってるリリーも赤いけど。

「なんなら、手伝ってあげましょうか?」
「いえいえ似合わないことはやめておきますわ」
「似合わないなんてことないのに」
 残念そうに言われても、リリー以上に綺麗になれそうもない。

「試しに少しやってみなさいよ」
「やめとくー」
「いいから」
「よくないから」
 いつもの押し問答をものともせずに顔を洗って、髪を梳かす為に鏡台に立つ。

「やってあげる」
「は!?」
 何故か眉を寄せて気難しい顔をしているリリーに、腕をとって椅子まで引っ張ってこられて座らせられる。

「リリー!?」
「たまにはあいつらの驚く顔って見てみたいじゃない」
 それはむしろ私のためというより、自分の楽しみのためではないのですか。

 心の中ではそう思っていても、なかなか口には出せないものである。

「えっと、じゃあ私もリリーの髪やってあげよっか…?」
 手がわずかに止まる。作戦、成功、か?

 と思ったのもつかの間で、止まることなく私の髪を操るのが感じられる。

「お願い、しようかしら」
 かすかに声が震えている。動揺が伝わってくるのは気のせいなのかどうかわからない。

 髪を梳かしながら、少しだけ教えてくれた。親友といえる友達が、実はミオが初めてだと言うこと。肉親の姉にはとても嫌われていること。

「ママとパパがあんまり私ばっかりかまうものだから、拗ねてしまってるのだと思うの」
 ホグワーツに入学して以来、姉とはほとんど口を聞いていないという。

「それでも昔はこうやって髪を結いあったりしてたんだけど」
 できた、といって私の正面にまわってくる。手に持っているのは、なにか化粧道具にみえるんですけ、ど。

「リリー、えと、髪だけでい…」
「こうやって、やってあげたかったの」
 その本当に本当にうれしそうな顔を前にして、どうして止められるだろう。たった二人の姉妹なのに、憎まれて辛くないハズがない。でも、リリーの笑顔が絶えることはない。それこそが、リリーの強さで、美しさの秘訣なのかもしれないと思った。外見ではなく、内面の弱さを受けとめる強さが、彼女をよりいっそう美人にする。

「ねぇミオ。あなたは本当に私なんかより、とても綺麗なの。だから自信を持って」
 そういって鏡を見せる。

「リリー以上の美人はいないのよ」
「ミオ以上の美人を私も知らないわ」
 誉め殺し、じゃなく。なんだか言葉の魔法にかけられるみたいだ。そういえば、リリーはルーン文字の成績もよかった。

「悪戯仕掛人も見直すわよ」
「うわー…そんなのは別にいいんだけどさ」
 普段一緒に馬鹿やってる友人に見直されたところで、なんとも思わないんだけどな。

「昨日の手紙、なんかあったの?」
 柔らかな笑顔が一瞬だけ固くなる。

「なんでもないわ」
 話してはくれないらしい。いつか話してくれるだろうか。

「うわ、もうこんな時間!!早く朝ご飯食べに行こう?」
 時計を見て驚いたフリして話を変えようとした時、丁度リリーが何かいいたそうに口を開閉させた。なんだろうと見返すと、曖昧な微笑みが返ってくる。

「そうね、たぶんジェームズ達も待ちくたびれてるわ」
「あいつらはどうでもいいけど、朝ご飯は一日の活力のもとよ。食べはぐれたら授業どころじゃないわ!!」
 リリーを急きたてて談話室へと降りる。入口のドアを開けようとする手を少しだけ留める。

「あぁ明日は私がリリーの髪担当よ?」
 深みがかった赤い髪にそっと触れていうと、リリーは恥かしそうにしながら肯いた。

「明日もミオの髪、結わせてね」
「OK。でも、化粧は今日だけよ」
「なにいってるの」
 もうすぐ談話室にはいつもとは違う朝の空気が訪れる。

 悪戯仕掛人のあっけにとられた顔を見られるまであと少し。彼らがミオに友人以上の感情を抱くまで、もう少し。

あとがき

Jさんのリクエストで、リリー嬢との普通の会話。あ、うわ、石投げないでください。いてて。
普通の会話というものがわからなくて、とりあえず、髪。髪が綺麗なのって、憧れますね~。
ここからなんか繋げるのも面白いですよね。
この主人公に対するJ氏、Si氏、R氏、Se氏の感想みたいのとか。
(なにげにP氏が抜けているのは…好みの問題ですv)
ま、そのうち。
(2003/02/03)