よく晴れた日は外に出てお茶をしようと彼女はいう。ダージリンの紅茶に焼きたてのスコーン。彼女が用意する席につき、俺は殊更にゆっくりとカップを傾ける。湯気の向こう、彼女が勝ち誇るように笑った。
「どう?美味しい?」
「まだ食べてないよ」
笑いながら返すと小さく頬を膨らませる。こんな何気ない日常が幸せだといったら、君は笑うね。だけど本当に幸せなんだ。夢にまで見たとは言わないけれど、君が描く幸福の色を俺は誰に感謝すればいいんだろうか。
手招きに誘われる彼女の腕を引く。腕の中にすっぽりと収まる小さな体を抱きしめる。
「今はお茶の時間!」
クスクス笑う耳元で囁く。
「キスもダメ?」
「ダメっ」
クスクス笑いながら、彼女の柔らかな口唇が俺の頬にあたる。
「私がするから、ダメ」
可愛い君のワガママ。
「ズルイな」
「そうよ、ズルイの」
クスりと笑う君の口を奪う。
「ダメだって」
笑いながら抵抗する君に愛を囁く。
「ありがとう。愛してる」
どういたしましてとまた君が笑う。ああ、幸せ過ぎて、おかしくなりそうだ。