すべてを消し去ってしまいたかった。消しゴムで全部消せれば。透明なペンキで全部元に戻せれば。何度も何度も同じことを考えてしまうほどに私は弱かった。
貴方は私が強いと言ったけど、ずっと、ずっと怖かった。無くしてしまうことが怖かったから、ずっと一人でいたのに、貴方は私のことなんてなんにも考えないで土足で入り込んできて、深淵で泣き続ける私を抱きしめてくれた。
温もりを知らなければ、平気でいられた。貴方と出会わなければ、こんなにも孤独を自覚しないでいられた。
二人でいた部屋の中は空っぽになってしまった。そこかしこに貴方の思い出は残っているけど、貴方だけがいない。
どこにも、いない。
もう、貴方が好きだと言ってくれた声もでないの。貴方がいないと笑えない。ねぇ、どうか、お願いだから。誰か、嘘だといって。世界中探しても、どこにも貴方がいないだなんて、意地悪しないで教えて。
どうすれば、貴方のところへ行けるの?