読切>> テーマ(500文字制限)>> すべてを消し去ってしまいたかった

書名:読切
章名:テーマ(500文字制限)

話名:すべてを消し去ってしまいたかった


作:ひまうさ
公開日(更新日):2008.11.14
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:403 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚
テーマ「変わらないもの」
前話「テーマ「四季」 - 「四季」をテーマにした散文」へ p.1 へ あとがきへ 次話「テーマ「変わらないもの」 - 放課後の教室」へ

<< 読切<< テーマ(500文字制限)<< すべてを消し去ってしまいたかった

p.1

 すべてを消し去ってしまいたかった。消しゴムで全部消せれば。透明なペンキで全部元に戻せれば。何度も何度も同じことを考えてしまうほどに私は弱かった。

 貴方は私が強いと言ったけど、ずっと、ずっと怖かった。無くしてしまうことが怖かったから、ずっと一人でいたのに、貴方は私のことなんてなんにも考えないで土足で入り込んできて、深淵で泣き続ける私を抱きしめてくれた。

 温もりを知らなければ、平気でいられた。貴方と出会わなければ、こんなにも孤独を自覚しないでいられた。

 二人でいた部屋の中は空っぽになってしまった。そこかしこに貴方の思い出は残っているけど、貴方だけがいない。



 どこにも、いない。



 もう、貴方が好きだと言ってくれた声もでないの。貴方がいないと笑えない。ねぇ、どうか、お願いだから。誰か、嘘だといって。世界中探しても、どこにも貴方がいないだなんて、意地悪しないで教えて。

 どうすれば、貴方のところへ行けるの?

あとがき

「変わらないでほしいもの」と考え直したら、とんでもないことに。
(2008/11/05)


公開
(2008/11/14)