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書名:読切
章名:テーマ(500文字制限)

話名:テーマ「変わらないもの」 - 残される者達


作:ひまうさ
公開日(更新日):2008.11.14
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:409 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚

テーマ「変わらないもの」

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p.1

 庭先から遠く眺める空は蒼く果てがない。

「どうしたィ?」
 ふわりと柔らかに抱きしめられて、その太い腕にそっと自分の細い腕を添えた。

「…函館で副長が死んだって」
 彼はぴくりとも動かない。

「行かなくて、いいの?」
 抱きしめる力が強められ、耳元で溜息と共に吐き出される。

「お前をおいていけるかよ」
 顎を掴まれ、上向けられて口が重なる。

「時代は代わっても、俺らは生き続けなきゃならねェ。生きて、伝えなきゃな」
 その声は諦めを多分に含んでいて、私はそのまま唇を噛んだ。

「痛っ、なにすんでィ」
「私の好きになった人は私を理由にしませんッ」
 顔を背けると、少しの間をおいてから肩口に頭が乗せられた。謝罪の言葉にそっと私は彼の髪を撫でる。誰よりも口惜しいのは貴方だから、赦してあげる。

「時代は変わっても、私は、私だけはこのままそばにいるから」
「…っ」
「貴方もそのままでいてください」
 わかった、と小さな呟きに私も静かに微笑んだ。

あとがき

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(2008/11/08)


公開
(2008/11/14)