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書名:幕末恋華
章名:読切

話名:恋華@藤堂 - 年賀


作:ひまうさ
公開日(更新日):2009.1.9
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:539 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚

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p.1

 歳の初めは挨拶に始まり、挨拶に終わる。

 年頃の私も無理矢理に晴れやかな振り袖を着せられ、年始回りに駆り出されていたのは仕方がない。なのに彼はものも言わず駆け去ってしまった。こっちは面白くもない宴に駆り出されて、その上誤解までされては堪らない。

「平助さんっ」
 ようやく追いついた裏路地で伸ばした腕はするりと抜けて、気がつけばその腕に抱かれていた。背後に回って抱きしめられているから顔など見えないが、辺りは夕闇に飲まれているし、きっと目の前にあってもよく見えない。

 耳元で切なげにため息をつかれる。

「どうして、追いかけてきたんだ」
 そんなに泣きそうな声で聞かないで。答えなんて決まってる。

「君が…どうしようもなく好きなんだ。だけど、俺は…っ」
 彼は新選組にいて、それを辞められないのだということも知っていた。大切な仲間がいるから、と。わかりきったことなので、

「俺は、」
 続く言葉は聞こえなかったけど、言いたいことはわかった。離れかける腕を引き寄せたら、思う以上に近くに顔があった。驚いたけど、近くに見える驚いた顔が嬉しくて、笑ってしまった。

「諦めるって何故ですか?」
「私は一緒にいられるだけで幸せなのに」
 そんな簡単なこともわからないのと笑うと、彼は泣きそうな顔で笑った。

あとがき

前回はご心配をおかけしました。
暖かいメッセージを有難うございます。
久しぶりに平助@幕末恋華夢です


思いがけず頂いた年賀メールの御礼で書いたものです
苦手な平助夢なのはそのため。


本年もよろしくお願いします
m(_ _)m


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(2009/01/09)