歳の初めは挨拶に始まり、挨拶に終わる。
年頃の私も無理矢理に晴れやかな振り袖を着せられ、年始回りに駆り出されていたのは仕方がない。なのに彼はものも言わず駆け去ってしまった。こっちは面白くもない宴に駆り出されて、その上誤解までされては堪らない。
「平助さんっ」
ようやく追いついた裏路地で伸ばした腕はするりと抜けて、気がつけばその腕に抱かれていた。背後に回って抱きしめられているから顔など見えないが、辺りは夕闇に飲まれているし、きっと目の前にあってもよく見えない。
耳元で切なげにため息をつかれる。
「どうして、追いかけてきたんだ」
そんなに泣きそうな声で聞かないで。答えなんて決まってる。
「君が…どうしようもなく好きなんだ。だけど、俺は…っ」
彼は新選組にいて、それを辞められないのだということも知っていた。大切な仲間がいるから、と。わかりきったことなので、
「俺は、」
続く言葉は聞こえなかったけど、言いたいことはわかった。離れかける腕を引き寄せたら、思う以上に近くに顔があった。驚いたけど、近くに見える驚いた顔が嬉しくて、笑ってしまった。
「諦めるって何故ですか?」
「私は一緒にいられるだけで幸せなのに」
そんな簡単なこともわからないのと笑うと、彼は泣きそうな顔で笑った。
前回はご心配をおかけしました。
暖かいメッセージを有難うございます。
久しぶりに平助@幕末恋華夢です
思いがけず頂いた年賀メールの御礼で書いたものです
苦手な平助夢なのはそのため。
本年もよろしくお願いします
m(_ _)m
拍手でも夢でも他でもリクエストは年中受付中です
(2009/01/09)