彼女は笑わない人形と言われていた。感情なんてもっていないという者だっていた。だけど、俺は彼女は鉄面皮なんて言葉が全然似合わない女だって知ってるんだ。
「もっと笑えばいいのに」
俺の部屋で笑いながらTVに夢中の彼女にいうと、ぷっくりと紅色に染まる頬を膨らませた。
「やーよ」
「笑った方がカワイイのに」
俺が言うとすっくと立って俺の隣に来て、頬をつねりあげる。
「可愛いわけないでしょっ」
「いでで、カワイイに決まってるよ。俺の彼女だもん」
抓る手がなくなったので隣の彼女を見ると、俯いてそっぽを向いてしまっていた。でも、首まで真っ赤になってしまっている彼女がどんな顔をしているか、俺は知ってるんだ。
「何照れてるの」
「照れてないっ」
ほら、こっちを向いた顔は怒っているけど、木苺みたいに染まってる。
「あーもーカワイイなー」
「可愛くなんかないっ」
騒ぐ彼女を抱きしめると、すぐに笑顔に変わる。愛しい愛しい、俺だけの笑顔。外でこんな顔をしないと知っているからこそ、余計に愛しい。
ねえ、いつまでも俺だけのために笑ってて?
余りに凄惨な話しか浮かばなかったので考え直してみたら、バカップルに…!
たぶん幼なじみかなんかで、付き合い始めの初々しい感じ。
(2009/02/08)
公開
(2009/02/13)