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書名:読切
章名:テーマ(500文字制限) - 「面」

話名:テーマ「面」 - 面妖


作:ひまうさ
公開日(更新日):2009.2.13
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:481 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚

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p.1

「ここでの妖怪や物の怪。それがたぶん私を指すのだと思うよ」
 金髪に青目の面妖な男は寂しげに笑った。彼の言う意味がよくわからないのは、おそらく私がまだ子供だからだ。

「そうか」
 唐撫子の鞠を手に花橘の襲ねを引きずりながら男に近づき、大きな手を取る。私にとって彼が何者かなどというのはどうでもいいことだ。

「話はそれで終わりだな?じゃあ、遊ぼう」
 面食らった顔をした後で男は屈み、顔を見合わせ、先ほどよりも強めに言い聞かせる言の葉を紡ぐ。

「だから、私と遊ぶと君が穢れて、」
 可笑しな事を言うヤツだ。

「遊んだら汚れるのは当前だ。それより遊ぶのか、遊ばないのか?」
 彼の額を空いた手で叩いた拍子に、手元から鞠がこぼれ落ちた。急いで追いかけ、それを手にする。

「っ!……あのね、」
「おい、ゆくぞっ」
 困った様子の男に向かい、私は拾い上げた鞠を放り投げた。新緑に鞠の緋が鮮明な赤を描くのを追う。

「……意気地無しめ」
 先ほどまで男が居た虚空を見つめ、呟いた自分の声は泣きそうに震えていた。

 人とか妖とか、そんなのは些末なことだ。私はただ誰でも良いから遊び相手が欲しかっただけなのに。

あとがき

 「夏目友人帳」を見てたら、妖怪話を書きたくなった。
 時代は平安ぐらいがいいなぁ、てそれって遥かじゃね?という経過を得て、金髪碧眼=面妖。
(2009/02/11)


公開
(2009/02/13)