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書名:読切
章名:テーマ(500文字制限) - 「面」

話名:テーマ「面」 - 馬鹿な男


作:ひまうさ
公開日(更新日):2009.2.20
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:394 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚

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p.1

 どうして、と呆然と呟く彼の声を嘲笑う。

「厭きたって、聞こえなかった?」
 なんで、とカラカラの声が耳に届く。

「何でも何も仕方ないでしょ。一緒にいても楽しくなくなっちゃったんだもん」
「昨日まで一緒に…っ」
「我慢してたの、気が付かなかった?」
 彼が私の名前を呼ぶのを目を閉じて聞く。これが、きっと聞き納めだ。

 近づいてくる足音に心臓がドクドクと高鳴る。嘘だと気が付いて欲しい反面、気が付かないでと祈る。上手く騙せれば、彼の命だけは守られる。

 襟元を掴みあげる彼を目を開いて迎えた。真っ直ぐで曇り無いその目が何よりも私は好きだった。

「馬鹿な(ひと)
 一瞬彼は顔を歪ませ、勢いつけて私を突き放した。冷たい床の上で彼の駆け去る足音を聞き、頬を一筋、冷たい液体が零れる。

 大好きだったけど、愛していたけど、これからの私に巻き込みたくないから。

「…さよなら」
 小さく囁く声は虚空に消えた。

あとがき

 あれー?書きたいところまで書ききれない…。
(2009/02/11)


公開
(2009/02/20)