柔らかな午後の日差しを浴びつつ、若芽の揃う芝生の上で両腕を頭の下において枕にし、惰眠を貪る。
穏やかな春の午後、大学近くの公園の他の場所にはもっと人が多い。だけどここには不思議と誰も寄り付かない。まあ、公園内とは言い難いからなと、俺は小さく苦笑した。
風が桜の香りと傍らで気持ちよさげに眠る女の寝息を届けてくる。
…女?
何気なく見た姿を慌ててもう一度確認する。断っておくが、俺には彼女なんていない。
白すぎず、黒すぎず、化粧もしていない肌はまだきめ細かで瑞々しく、春より夏祭りのほうが似合いそうな浴衣姿で、解かれた長く真っ直ぐな黒髪が青葉と重なる。
っ!
小さなクシャミされて慌てる。寒いのだろうか。
着ていたジャケットを脱いで、女の肩口にかけてやる。最中ひらひらと落ちてきた薄紅の欠片が女の鼻先におちる。
っ!
合点のいった俺は安堵して桜の枝を見上げた。女が誰なのかわからないが、こんな花見も悪くないかもなと小さな苦笑を零した。
一週間一更新落としそうなので(そんな理由か
最近女性視点とか第三者視点が多いので、たまには男視点ではーさん(結局はーさん
おもてなしを書こうとしたんですが、桜を見ていたら花見になり、はーさんが寝てしまいました
(2009/03/13)