はーさん>> WEB拍手>> 春眠

書名:はーさん
章名:WEB拍手

話名:春眠


作:ひまうさ
公開日(更新日):2009.3.13
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:419 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚

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p.1

 柔らかな午後の日差しを浴びつつ、若芽の揃う芝生の上で両腕を頭の下において枕にし、惰眠を貪る。

 穏やかな春の午後、大学近くの公園の他の場所にはもっと人が多い。だけどここには不思議と誰も寄り付かない。まあ、公園内とは言い難いからなと、俺は小さく苦笑した。

 風が桜の香りと傍らで気持ちよさげに眠る女の寝息を届けてくる。

 …女?

 何気なく見た姿を慌ててもう一度確認する。断っておくが、俺には彼女なんていない。

 白すぎず、黒すぎず、化粧もしていない肌はまだきめ細かで瑞々しく、春より夏祭りのほうが似合いそうな浴衣姿で、解かれた長く真っ直ぐな黒髪が青葉と重なる。

 っ!

 小さなクシャミされて慌てる。寒いのだろうか。

 着ていたジャケットを脱いで、女の肩口にかけてやる。最中ひらひらと落ちてきた薄紅の欠片が女の鼻先におちる。

 っ!

 合点のいった俺は安堵して桜の枝を見上げた。女が誰なのかわからないが、こんな花見も悪くないかもなと小さな苦笑を零した。

あとがき

一週間一更新落としそうなので(そんな理由か
最近女性視点とか第三者視点が多いので、たまには男視点ではーさん(結局はーさん
おもてなしを書こうとしたんですが、桜を見ていたら花見になり、はーさんが寝てしまいました
(2009/03/13)