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書名:うさぎ関連小話&小ネタ
章名:うさ耳会長

話名:うさ耳会長 - 18) 書き初め


作:ひまうさ
公開日(更新日):2011.2.17
状態:公開
ページ数:1 頁
文字数:881 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚

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p.1

 うちの学校には、一風変わったーー。

「書けた?」
「まだです」
 うちの学校には、一風変わった生徒会長がいる。ある一点を除けば、非の打ち所のないほぼ完璧な人だと言っても過言ではない。文武両道、公明正大、容姿は十人並みだが、その並外れた内面の輝きは瞳から溢れ出している。

「書けた?」
「出来たら言いますから、うろちょろしないでください」
 ここまで美辞麗句を並べ立てても、結局のところ、会長はある一点において、誰にも真似の出来ない特徴を持っている。それはこの俺の目の前にいる会長の頭の上で、ピンと高く立っている、白くてふわふわとしてて、時々ひくひくと動く二本の、耳だ。しかも、ただの耳じゃない。本物にしか見えないウサギの耳だ。

ある秋、唐突に会長の頭に生えたウサギの耳は、それまでは硬派と言われていた会長に、無限大の可愛さを付加してしまった。おかげで、現在の会長の向かうところに敵となりそうなものはひとつもない。そういう意味では、円滑に生徒会業務も続けられるし、文句があるはずもないのだが。

 手元に筆を手に取り、硯で墨をつける。そのまま、ひとつ息を吐き出し、俺は筆を持つ右手の着物の袂を左手で軽く押さえた。ふっと息を吐き、覚悟を決めて、一気にそれを描き出す。

 室内には俺と会長の二人がいるというのに、辺りには紙の上に筆を走らせる音しかしない。ものの一分もたたないうちに俺は筆を止め、最後にもう一度筆に墨をつけて、描いた一点にバツ印をつけた。

「できました」
 俺がいうと、すぐさま隣に会長が飛んできて、おれの手元を覗き込む。

「見事な墨絵ね」
 俺が描いたのは文字ではなく、物心ついたころには祖父から習っていた墨で描く絵だ。今の会長の姿を描いた上で、頭の上の愛らしいウサギ耳にバツ印をつけたのだ。

「でも、このバツはいただけないわー」
「別に俺は会長の姿絵を描いたわけじゃありませんから」
 今年こそ、会長にこのウサギ耳をとっていただく。ただし、会長が痛くない方法で。

「そう。頑張ってね」
 ウサギ耳を気に入っている会長は、件の耳をピンと立てて、楽しそうに、何故か嬉しそうに笑っていた。

あとがき

書き初めというか、墨絵を使った抱負(何
ひそかに毎日更新を目論んで、いきなり撃沈(え
マイペースが一番ですね.


2011/01/03 授乳しながら足が痺れた日に


小説家になろうで公開
(2011/01/01)


サイト公開
(2011/02/17)