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書名:読切
章名:お題

話名:暗いお題で笑うバトン - 暗いお題で笑うバトン[4]


作:ひまうさ
公開日(更新日):2011.3.7 (2011.3.9)
状態:公開
ページ数:3 頁
文字数:1068 文字
四百字詰原稿用紙換算枚数:約 1 枚
※次のお題で短文を作って下さい。ただし内容はコメディー限定です。

1. 最期の日に
2. 守れなかった約束
3. 失ったもの
4.
5.
前話「暗いお題で笑うバトン - 暗いお題で笑うバトン[3]」へ 1. 最期の日に 2. 守れなかった約束 3. 失ったもの あとがきへ

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p.1

1. 最期の日に



「もしもさー」
 唐突に彼女が言い出した。学校帰りの道をふらふらと踊るように歩く彼女は、正直危なっかしくて落ち着かない。でも、動く度に揺れる髪が綺麗でつい見とれてしまう。

「もしも明日死んじゃうって聞いたら、どうする?」
 そういえば、最近女子の間でそんな話題が流行っているとか、噂好きな友人が言っていたような。

「どうもしない」
「えー」
 そもそも「もしも」なんて仮定に意味などないだろう。仮定なんてするぐらいなら、行動してしまえばいい。

 ふらふらと歩く彼女の腕をつかんで引き寄せ、顔を近づける。

「俺はお前がいればそれでいい」
 もしも明日世界が滅んでも。君さえいてくれるなら、俺はなんだってできるから。

 首から上まで真っ赤になった君は、嬉しそうに、幸せそうに笑った。

「私も」
 はにかみながら、君が言う。

「おんなじこと考えてた」
 愛しくて、愛しくて、愛しくて。二人寄り添いながら歩く道がいつまでも変わらないように、俺は誰に誓えばいいだろう。



p.2

2. 守れなかった約束



 頭を軽く小突かれたような気がして、俺は顔を上げる。目の前の席には困った様子で微笑む彼女がいる。

「先に帰っててって、言ったのに」
 優しい文句を聞きながら、俺は両腕を高く上げて、伸びをする。

「そうだな」
 委員会の仕事で遅くなると言われたのは覚えている。時計を見ると、もう七時近い。

「で、これから帰るのか?」
「うん」
 立ち上がり、机の脇に掛けておいた鞄を手にする。

「じゃあ、行くか」
「え?」
「帰るんだろ?」
 歩き出す俺の後をすぐに彼女が追いかけてきて、隣に並ぶ。

「……どうして」
「あ? 寝てたら、こんな時間になっただけだ」
 ひとりで帰したくなかったと言えればいいのかもしれないが、どちらかと言えば違う。俺が君と帰りたいというだけのワガママだから、口には出せない。

 そんな格好悪い俺を君にだけは知られたくないんだ。

「ありがとう」
 小さな君の呟きに、俺は笑う。礼を言うのは俺のほうだ。

 約束を守れなかった俺を赦してくれて、ありがとう。



p.3

3. 失ったもの



 以前の俺なら、ひとりの時間が好きだった。誰かと長時間いるなんて、耐えられない。友達と馬鹿騒ぎだって好きだけど、どこかで一人になる時間が必要だった。

「あ、もうこんな時間」
 隣で俺に寄りかかり、マンガを読んでいた彼女が、身体を起こす。

 部屋の中は暖かいのに、二人の間を通り抜ける空気が冷たい。

「わ」
 とっさに君の身体を引き寄せる。

「何?」
 もう少しだけ。君となら、いつまででも、一緒にいたい。一人で過ごす時間なんて、もういらないから。

あとがき

1. 最期の日に
リハビリ小話。
甘さはどうかな?
(2011/3/7)


2. 守れなかった約束
優しい関係。
(2011/3/8)


3. 失ったもの
旦那様に言われた実話。
惚気ともいう。
(2011/3/9)


ファイル統合
続きのお題は失念。なんだったかな…
(2014/9/4)