高い場所から見上げる空は時に高く、時に蒼が深い気がする。
「ユーシア」
名を呼ばれ、顔を向ける。
「やっぱ、ここにいたな。お前見張り中じゃなかったか?」
咎めるでない苦笑まじりの友人にこちらも笑って返す。
「ここに攻め込むのはよほどの阿呆だよ。ーー4年前の悪夢を再現したいなら別だけど」
「だからって、サボりの理由にはならねぇぞ」
「そこはそれ、リジョンに任せた」
「おま、俺は仮にも師団長だぞ」
上司を使う気か、と小突かれる。
「師団長かぁ。えらくなったもんだよね。学生時代は万年二位だったくせに」
彼の視線が僕の手元に移る。そこにあるのは二体のひょろりとした小さな人形だ。手足につけられた細い糸は僕の両手に繋がっている。
「学年一位様がまっとうに仕事してたら、俺だってなれやしねぇよ」
指を動かすと彼らは軽々と跳ねてから、得意げに胸を張った。
「そんなことないって」
すかさずガツンと拳が降ってくる。
「なにするのさ~」
「思ってもないこと言うからだ」
人形のが素直だと言われ、かすかに笑う。
「何キモい笑い方してんだよ」
そう言うのは彼ぐらいだ。
塔の端で遠くを見渡す彼を少し眩しく眺める。
「なあ、ユーシア。そろそろなのか?」
不意に言われたのでなんのことかわからなかった。
「お前のじーさんの予言」
ああ、覚えてたのか。
「あれはデマだよ」
「じゃあなんで今更見張りに立ってんだよ」
俺は騙されねーぞ、と快活にリジョンは笑った。
某SNSでイラストを元に書いた話。珍しくシリアス風味。
ケータイで書くと指が疲れるからここまでにしました。
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(2008/12/16)